しばらく考えて、鴨さんは言いました。
まず「なんでだろう」と。
たぶん、それは単純な理由ではなくて、
いくつかのことが重なって、
しかもそのときどきによって
行く理由も微妙に変わるのでしょう。
彼がいろいろことばを選びながら
言ったのは、つぎのようなことでした。
「まず、行くことのなかった場所に
ぼくが行ける、ということがありますよね。
あと、行くと、よろこばれることが多い。
それはぼくだからというわけではなく、
人が行くと、よろこばれますから。
ぼくが行って、復興に役立つとは思いません。
むしろ、ぼくはなんの役にも立たない。
あの、ぼくは、いつも、
旅に出るとこういう感じですから(笑)、
危なっかしくて、みんなが助けてくれる。
そうですね、だから、いちばんの理由は、
ぼくが行くと、みんなに
『やることができる』ということかもしれない。
やることがないのって、いやじゃないですか。
もてなしてくれる人、教えてくれる人、
迎えてくれる人、会いに来てくれる人、
みんなにやることがふえるから、
ぼくは役に立たないのに、
役に立たないからこそ、
行くのかもしれません」
まず「なんでだろう」と。
たぶん、それは単純な理由ではなくて、
いくつかのことが重なって、
しかもそのときどきによって
行く理由も微妙に変わるのでしょう。
彼がいろいろことばを選びながら
言ったのは、つぎのようなことでした。
「まず、行くことのなかった場所に
ぼくが行ける、ということがありますよね。
あと、行くと、よろこばれることが多い。
それはぼくだからというわけではなく、
人が行くと、よろこばれますから。
ぼくが行って、復興に役立つとは思いません。
むしろ、ぼくはなんの役にも立たない。
あの、ぼくは、いつも、
旅に出るとこういう感じですから(笑)、
危なっかしくて、みんなが助けてくれる。
そうですね、だから、いちばんの理由は、
ぼくが行くと、みんなに
『やることができる』ということかもしれない。
やることがないのって、いやじゃないですか。
もてなしてくれる人、教えてくれる人、
迎えてくれる人、会いに来てくれる人、
みんなにやることがふえるから、
ぼくは役に立たないのに、
役に立たないからこそ、
行くのかもしれません」