ほぼ日乗組員が1人1冊、古本を買います。

chef

ジビエの料理本。

2021/11/10 16:25
学生時代(37年前!)から通っている神保町古書店街。
美術展カタログの「ブックブラザー源喜堂」は
卒論の資料さがしでお世話になったし、
半地下が雑誌コーナーだったのも好きだったな〜。
古書センターの中は怪しい店がたくさんあって
(いまよりディープだったと思う)、
映画のパンフレットや
田河水泡の漫画を買ったおぼえが。
どこかのビルのワンフロアには
ジョージア(当時はグルジアと言った)のお店があって
珍しいワインを売ってたりもしてました。
そこでニコ・ピロスマニのポスターを買ったんだっけ? 
と、歩いているといろいろ思い出がよみがえります。
そうそう「レオ・マカラズヤ」というカバン屋があって、
そこではじめてRIMOWAのトランクを買ったんですよ。
まだ日本にちゃんと代理店がなかった時代でした。
いまはそのお店もなくなって、更地になっちゃいました。

最近は現代アートとファッション、写真、
ちょっと怪しいエロティック系書籍が充実している
「小宮山書店」を上から下まで見たり
(横尾さんの演劇のポスターもあります)、
料理書の「悠久堂書店」に顔を出すていどです。
残念ながらきょうは「小宮山書店」は定休日でしたが、
「悠久堂書店」はあいてました。
ここではわりと最近、
『タイム ライフ ブックス 世界の料理』全集や
『サントリー 洋酒マメ天国』全集を買ったなあ。
ということで、なにか料理本に
面白いものがないかなと探していたら、
見つけたのがジビエの本です。
『Gibier et Volaille dans la cuisine internationale』
というフランスの本を、編集抜粋翻訳した
『ジビエ・ヴォライユ料理 猟鳥獣と飼育鳥』で、
1977年の刊行。
版元は「三洋出版貿易株式会社」。
調べてみると1970年代から90年代にかけて
フランス系の料理本をたくさん出していた
出版社のようです。

ぼくは料理本が好きですが、
実用というよりも「よみもの」だったりします。
この本も、さてアカシカを調理するか! 
‥‥というわけじゃなく、
「そうか、こういう世界があるのか、ふむふむ」
というのがたのしくってワクワク。
でもこの本、
フランス語の調理の単語がわかる人むけなので、
ぼくにはよく理解できない記述も多いんですよ。
「ジビエとヴォライユ用のファルスには、リエするためにパナードが必要である。ファルス・フィーヌはムースあるいはムスリーヌのファルスと呼ばれ、生クリームでモンテし、ムース、ムスリーヌ、クネルなどを作るのに使う。」
なんて書かれてます。
呪文か古文書か。
料理写真のカラーページもあるのだけれど、
ちょっとマネするのは難しいと思うな。
でもまあ、楽しいからいっか。

ちなみにぼくの父は友釣りと狩猟が趣味だったので、
家の冷凍庫にはジビエがいっぱいでした
(専用冷凍庫があった時代も!)。
カレーのお肉は鹿肉がほとんどだったけれど、
それを「ジビエ」とは呼んでいなかったなあ。
『ゴールデンカムイ』に獣肉の脳みそを
ヒンナヒンナ(ありがたや〜)と
言いながら食べるシーンがありますが、
そういえばぼくも食べさせられていたので、
漫画を読んだとき、すこしも違和感がなかったです。
当時のわが家は、経済的にはとても貧しかったけれど、
ある意味、ゆたかだったと思っています。

ところで「悠久堂書店」には全集も豊富で
(料理本の全集というものがあるのです)、
きょうも「ザ・グッド・クック」というシリーズが
ほしくなりましたが、
全巻揃いは、とてもじゃないけど
重くて持てそうにないですよね。
あとジビエの本はフランス語のものもありました。
「フランスではこれも食べちゃうの?」
という珍しい動物がいっぱい載ってました。