今日はときどき伺う「手塚書房」さんへ。
歌舞伎など古典芸能の本が
とにかく充実している古本屋です。
目にとまったのはこちら。
タイトルずばり、『藝』。
20世紀を代表する歌舞伎役者・
六代目尾上菊五郎(1885-1949)が
ストレートに藝について語った本です。
むかしの役者さんが語る芸談は
今読むととてもおもしろいんです。
パラパラとめくってみると、
「端役にも心掛」なる一節が。
稀代の名優として知られた菊五郎が、
若いころ、セリフが一言もない
家来の役を演じたときのこと。
本番の舞台で、突然、先輩役者から
「茶を所望いたす」と
アドリブで言われたそうです。
台本にない展開なので、
そもそも茶の道具すらありません。
冷や汗をかいていると
「用意はないか」と続けてまた一言。
「ハッ」と返事をすると
「粗相な奴じゃのう、ハハハハハ」
と先輩役者は笑い、その日は終わりました。
大慌てで茶道具を袋に入れて
次の日からまた毎日、舞台に持って出ましたが
とうとう千穐楽まで一度も
舞台上で話しかけられることはなかったと。
すると千穐楽の終演後、
その先輩から声をかけられて
「舞台で持ってた袋を見せな」。
準備していた茶道具を取り出すと、
「役者はふだんから
この心がけがなければいけない」
と先輩は笑ったそうです。
当時の舞台の雰囲気、役者たちの関係性が、
においたってくるようではありませんか。
やー、たまりません。
歌舞伎など古典芸能の本が
とにかく充実している古本屋です。
目にとまったのはこちら。
タイトルずばり、『藝』。
20世紀を代表する歌舞伎役者・
六代目尾上菊五郎(1885-1949)が
ストレートに藝について語った本です。
むかしの役者さんが語る芸談は
今読むととてもおもしろいんです。
パラパラとめくってみると、
「端役にも心掛」なる一節が。
稀代の名優として知られた菊五郎が、
若いころ、セリフが一言もない
家来の役を演じたときのこと。
本番の舞台で、突然、先輩役者から
「茶を所望いたす」と
アドリブで言われたそうです。
台本にない展開なので、
そもそも茶の道具すらありません。
冷や汗をかいていると
「用意はないか」と続けてまた一言。
「ハッ」と返事をすると
「粗相な奴じゃのう、ハハハハハ」
と先輩役者は笑い、その日は終わりました。
大慌てで茶道具を袋に入れて
次の日からまた毎日、舞台に持って出ましたが
とうとう千穐楽まで一度も
舞台上で話しかけられることはなかったと。
すると千穐楽の終演後、
その先輩から声をかけられて
「舞台で持ってた袋を見せな」。
準備していた茶道具を取り出すと、
「役者はふだんから
この心がけがなければいけない」
と先輩は笑ったそうです。
当時の舞台の雰囲気、役者たちの関係性が、
においたってくるようではありませんか。
やー、たまりません。