気仙沼のほぼ日便り

夏休み。
気仙沼の街の中でもたくさんの
子どもたちの姿を見かけるようになりました。

8月1日、みなみまちcadocco(かどっこ)では、
絵本のよみきかせ会と
旗作りワークショップが行われ、
私もお手伝いをさせていただきました。

テーマとなる絵本は『にじいろのさかな』です。
キラキラのホログラム印刷が使われた、
いろとりどりの美しい魚たちが印象的な絵本で、
全世界でベストセラーになっています。
今回のワークショップは、
この絵本の作者である
マーカス・フィスターさんと、
気仙沼の子どもたちが一緒になって
気仙沼みなとまつりで飾るための旗を、
作ることになっています。

フィスターさんは、
ワークショップ前日から気仙沼に訪れ、
まずは市内の様子をごらんになりました。
はじめて、津波の被害を受けた土地を
訪れたというフィスターさん。
津波の威力や、被害について、
ご本人からたくさんの質問を受けました。

『にじいろのさかな』シリーズは、
キラキラのうろこを持つさかなが主人公です。
どのお話も、美しい海と、
さまざまな海の生き物たちが登場し、
仲間や家族の大切さ、優しさを教えてくれます。

ここ、気仙沼は
「海と生きる」という
スローガンを掲げた街でもあります。
津波でたくさんのものを奪っていった海ですが、
たくさんの恵みや喜びを与えてくれるのも、
また海です。

生まれたときから海に親しんできた
子どもたちにとって、
海の美しさ、楽しさは、身近なもの。
フィスターさんと子どもたちが、
どんな作品を生み出すのか、
私たちスタッフも楽しみにしながら、
ワークショップのスタートを迎えました

まずは、絵本の朗読から。
読み手は、ラジオ「けせんぬまさいがいFM」の
ナビゲーターを勤める藤村洋介さん、
気仙沼でお仕事をしながら、
歌い手としての活動も行っている
佐々木裕子さんです。
「あおくふかい とおくのうみに……」
と、優しい声でお話がはじまると、
子どもたちも、
すっと物語の世界に入り込んでいきました。

そして、フィスターさんが登場。
フィスターさんが大きな紙に
スラスラとさかなたちの絵を描くと、
子どもたちから歓声と拍手が!

旗作りワークショップは、
まず厚紙を魚の形に切り取り、
そこに濃いめに溶いた絵の具をつけて、
布にスタンプをしていく手順で行われます。
厚紙へ下書きをしているとき、
「背ヒレがないじゃないの!」とお母さんが指摘し
「これはマンボウだから…」と答える子もいて
さすが気仙沼!というやりとりも見られました

さらに、厚紙に色を塗り始めると、子どもたちから
「銀色ないの?」と聞かれます。
青ではなく、銀色……。
私も言われるまで気づきませんでした。
みんなが見慣れたさかなといえば、
絵本の世界のおさかなさんではなく、
スーパーの切り身でもなく、
まるまる一匹の魚なのだ、ということに。
みんな、私よりもずっと、
さかなのことに詳しかったです。

絵の具スタンプを何度も繰り返すうちに、
色とりどりの色が加わってきます。
模様にこだわる子、色の混ざり方を楽しむ子
それぞれに個性が出てきて、
私も見ているだけで面白かったです。

最後にラメが入ったのりをつけ、
キラキラさかなの旗が完成!
みんなで記念撮影をしました。

完成した旗は、みなとまつりでも飾られました。
海の街におよぐ、みんなのさかなの旗。

わくわくするような、
元気になるような、
そんな旗ができました。