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7月31日(月)の「今日のダーリン」に
相馬野馬追の感想を載せました。
「今日のダーリン」は
1日で読めなくなってしまうので、
せっかくですからここに全文を残します。
ぜひさんま寄席前にも、
ゆっくり読んでくださいね。
2017年7月31日(月)
「今日のダーリン」
・「相馬野馬追」の本祭りを見学してきた。
東北の夏祭りのひとつだというけれど、
これについて、地元の人たちはいくらでも語れるようだ。
基本的に三日間、別々の神事が続くので、
「こういうものです」という短い説明がむつかしい。
相馬市、南相馬市、双葉郡と、広大な地域で、
集ったり並んだり競ったりを、次々に繰り広げるので、
いつどこで、なにを見るのかも、実はよくわからない。
集中してある時間にたのしむ花火大会などとは、
まったく逆で、時間も空間も広がってつながっている。
つまり、こういうものは、即席には絶対につくれない。
広大な地域が、あるカルチャーに覆われているのだ。
言い伝えによれば、平将門まで遡る歴史があり、
この地に生まれたものは赤ん坊のときから、
大人になり老いてこの世に別れを告げるときまで、
ずっとこの文化に関わり、それに浸って生きるのだ。
これほどの広さと長さと、そしてしつこさに、
速度や変化ばかりを価値としている現代の人びとは、
少しあきれながら、なんだこれはと心を昂ぶらせる。
身体に染み込んでいるようなカルチャーが、
ぼくらには、とてもうらやましく思えた。
「相馬野馬追」は、福島のある地域の神事であり、
ある時代の戦闘訓練だったのだろうけれど、
現代の文明によって、新たにつくるのは無理な怪物だ。
このカルチャーの粘り強さは、
2011年の東日本大震災のときにも発揮された。
津波に襲われ、「第一原発」の事故の避難地域も含まれた
この地域では、その年にも「相馬野馬追」が続けられた。
規模は縮小されたとはいえ、止めずに続ける選択をした。
千年とも言われる歴史のなかでは、
この年のような困難な選択の場面は何度かあったろう。
続けるというのは、それを潜り抜けて生き残ることだ。
日本のさまざまな地方には、この相馬のような
尊敬したい文化がまだまだたくさんあるのだろうな。
立川志の輔さんとやってきた『気仙沼さんま寄席』を、
福島の相馬というところで実現できるということに、
いい意味での緊張感が生まれてきた。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
もちろん落語、もちろん笑いの集いです。奮ってご参加を。