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2021/10/30 16:51
akiko.kusaoi

『久保田万太郎の履歴書』
という本の履歴書

フェニックスブックスフェア
本日ふたつ目のトークには、
今回仕入れた本のうちの一冊
『久保田万太郎の履歴書』の著者
大高郁子さんにご登壇いただきました。
自著が断裁の淵に立ち、
そこからまた救い出されるのは
いったいどういう気分なのか、
率直なところを語っていただきました。

イラストレーターの大高さんによると、
版元の河出書房新社から
「残念ながら絶版」という連絡がきたのは
今年5月のこと。
刊行から3年ちょっとのことでした。
大高さんからすると、
すでに過去の作品であり、
「身を切られるほど痛い」ということはなく、
自然の流れ、と受け止めたそうです。
その後、「自由価格本」として
セカンドチャンスを得るのは、
本が切り刻まれてしまうよりは、
読者の手に渡る方が良いと考えて
「ありがたいこと」と思ったそうです。
ただし、絶版の本が売れても
著者に新たな印税は入りませんから、
複雑な気持ちがなくはないけれど、
読んでもらえる方がうれしい、と。

その後、から、
この作品がいかに魅力的かという
紹介があり、大高さんから
この本が生まれた経緯、
いわばこの本の「履歴書」を
聞かせてもらいました。
このあたり、とてもおもしろいので、
ぜひ中継アーカイブをご覧ください。

おもしろかったのはトークのあと。
自由価格本を再度市場に流通させている
八木書店のみなさんが
大高さんにサインを求めながら、
口々に感想を語っていかれたこと。
「この仕事を十年していますが、
著者のお話を直接聞くのは初めてでした。
当初、緊張しましたが、
『ありがたい』と言ってもらえて
ほっとしました」
「自分の仕事を再認識しました。
うれしかったです」と。
巡り巡って本がつなぐ縁の
妙味を改めて感じるトークでした。