ただいま製作中!ただいま製作中!

2022/08/15 11:10
akiko.kusaoi

終戦の日に松岡和子さん

8月15日、終戦の日に
翻訳家・松岡和子さんのお話
ほぼ日の學校アプリで配信になるのは、
偶然ではないような気がします。

配信になったのは、去年、
松岡さんが日本人としては3人目、
日本女性としては初めて
シェイクスピアの37戯曲すべてを
個人で完訳した記念の講演です。

大変な偉業ながら、
松岡さんのお話は軽やかで楽しくて、
笑顔にあふれたやさしいものです。
でも、前段として
俳優の内田健司さんが紹介してくださる
松岡さんの人生のはじまりには
戦争が大きな影を落としていました。

松岡さんが生まれたのは、
日米開戦の翌年の1942年。
生まれた場所は、
旧満州の新京(現在の長春)でした。
終戦のとき、お父様は満州国の高官
(司法部と文教部の次長)で、
戦後、旧ソ連に11年抑留され、
日本に引き揚げた家族は
その生死さえ知ることができませんでした。
……とまあ、シェイクスピアが聞いたら
戯曲にしたのではないかと思うような
苦闘があったわけです。
このくだりもぜひアプリでご覧ください。

さて、松岡さんといえば、
ひとつご紹介したいのが、
『繪本 シェイクスピア劇場』。
ちくま文庫のシェイクスピア全集とは
また違う絵で、安野光雅さんが
さまざまな作品の名場面を描いています。
それに松岡和子さんが物語の説明を
つけた贅沢な一冊です。

残念ながら本は品切れのようですが、
古本なら手に入るかもしれません。
9月に彩の国さいたま芸術劇場で
再演される「ヘンリー八世」
ページもあります。
観劇の予習にもピッタリです。