忘れられない「1000万分の1日」教えてください。

人生の節目の日、ハプニングに遭った日、
なんだかちょっとうれしかった日‥‥。
ほぼ日手帳の
累計販売部数1000万部到達にちなんで
みなさんから投稿いただいた、
忘れられない「1000万分の1日」をご紹介します。
2024/01/09

地球が回っていた

その日、わたしはハワイ島にいました。
島の端から端まで、さまざまな絶景やお店に立ち寄りながら
車で1日かけて移動をする、という日でした。
まわりはほとんど溶岩か森林か草原か海で、
同じ景色がひたすら続いていく感じなのですが、
どこを走っていても車の窓から見えていたのが太陽でした。

朝から昼にかけては高く上っていき、その後は傾いてくる。
子供のときから知っている、当たり前のことなのですが、
ふだん高層ビルに囲まれて仕事をしているわたしには
なんだか新鮮でおもしろく、いまどこに太陽がいるかを
常にウォッチしながら1日過ごしていました。

夕方になり、夕陽の写真を撮りにいくことにしました。
きれいなサンセットが見える海岸を選び、
太陽が沈む方角や方向を調べながら待っていると、
ついに、目の前の海に沈む瞬間がやってきました。
沈む直前、太陽は一段と膨らみ、赤く染まりました。
水平線に到達してからは、1ミリずつ欠けていきました。
完全に沈んだ後は、水平線上だけ空がピンク色に染まって、
濃い紫色へのグラデーションカラーだけが残りました。

ひとしきり見終わったとき、急に
自分が地面に足の裏をつけて立って、
後ろ向きに回転していくような感覚になった、というか、
映像が見えた気がしました。
一日じゅう海と大地と空と太陽だけを見ていたことで、
太陽が動いているのではなく、宇宙空間に浮いている地球が
自分を乗せてすごい速さで回転している、と
理屈ではなく身体的に感じられたのかもしれません。

いまでもときどき、あの気が遠くなるような感覚と映像が
ふとした瞬間に呼び起こされます。
その度に、宇宙空間でくるくる回る地球に乗っている
超ミクロサイズのわたしの悩みや問題なんて、
めちゃくちゃ小さい! どうってことない! と
いい気分転換になっています。

(こまた)



この日のこまたさんだけが感じた
個人的な経験でありながら、
ふだんとは違う環境に身をおくことで
感覚が変わるのはわかる気も。
これを読んだだけで、わたしも宇宙に思いを馳せました。