今は「フリーター」という
カッコいい言葉があるけど、
あの頃は何となく定職のない人を
「プー太郎」と言っていました。
僕だってプー太郎でしたもん。
僕は、フリーターの元祖です。
15年ぐらい前は、
「新人類」とか言ってたんじゃなかった?
言ってましたね(笑)。
言ってましたよね。
坂本竜馬は「素浪人」かな。
あの頃は、藩を離れただけで浪人生活。
お姉さんとおりょうに
食べさせてもらったわけだから、
坂本竜馬は素浪人です。
たしかに。
国家の論理からみれば、
フリーターは収入が少ないから、
税金が少なくなって、
年金や社会保険制度が崩れますから、
ひどい言われようですよ。
でも、正社員、正社員というけど、
何をもって正社員というのかな?と思うぐらい、
正社員って、よくわからないものですよ。
しかも、このあいだなんて、厚生労働省が
「月30時間を超える残業手当については、
割増率を25%から50%に引き上げる」
という法案を通そうとしているんです。
そういう法律ができると、
企業は残業をさせなくなるだろうから。
国民を労働力としてみなす国家の、
昔の、戦前戦後すぐの論理ですよ。
少子化と並行して、
その話が行なわれていますね。
なんでそういうふうに
人が動くと思えるんでしょうか。
ねえ? どうして女性が
これに物申さないのかな、と
僕は不思議に思うくらいなんですよ。
物申す余裕が
ないんじゃないですかね。
実際そんな話も知らないで
忙しく、たのしく働いてる人も、
逆にいっぱいいるのかもしれません。
僕の娘は、音楽家でフリーターです。
絶対就職しない。
このあいだも、
大銀行の頭取の友達に紹介したけど、
もう名刺もろたって全然興味がないの。
僕らやったら
「えー、うわっ、大社長!」
「派遣の注文くれるかもしれない。
人事部長紹介してもらおう」
「ここ、株価上がるかな」
とか言ってるのにね。
そんなこと、うちの娘なんて全然関係ないです、
音楽家だから。
こんなおっさんと話したって
おもしろくないからと言って、
もう全然話もせえへん。
そこまで豊かになってる
とも言えるんですよね。
経済で縛られてない人が
ものすごいいっぱい出てきた。
出てきたね。
フリーターで楽しい人も、
いっぱいいますからね。
いっぱいいます。
フリーターから音楽家が
毎年2〜3万人出てくるんです。
わかります。
だって、
そうなりたくて
みんな生きてんですもん
。
娘だけじゃなくて、知りあいにも
たくさんそういう子たちがいる。
そんなに豊かな生活じゃないのに、
自分でたのしんでますよ。
勝ち負けの原理で動く時代というのが
おそらく終わったんです。
終わりましたね。
それをみんな「二極分化」だとか言うんです。
僕がビックリしたのは
格差の是正をしなきゃならないと
さかんに言われ出したことです。
中央と地方、金持ちと貧しいもの、
正社員とそうでないもの、
そういうことを「格差」と
言おうとしている。
なんでそういうふうな判断をするんだろう。
その分け方がおかしいですね。
一人一人にみんな考えもあって、
感情がある動物であるにもかかわらず、
それを全部二分化する。
自分がいい位置にいる、
という考え方をするんでしょうね。
官僚は、立場が強いところにいるから。
苦労してここまで来た、ということも
あるでしょうし。
うん、苦労して来たし。
そのものさしで見たことを全部
「格差」だとか言うから、
僕はエーッと思ってしまう。
(明日につづきます!)
2006-09-13-WED