社長に学べ!

さみしさはありますから

安森 社長、辞めちゃったけど、いいの?
糸井 「元社長に学べ!」にします。
安森 じゃあ、無責任な話ができるな。
糸井

いやいやいや(笑)。

でも、やっぱり、そんなに違うもんですか?
社長って肩書で話すのと、そうじゃないのとでは。
安森 そりゃあ、ぜんぜんちがいますよ。
糸井 そこは、聞きたいですねぇ。
安森 どうして?
糸井

だって、そういう立場や気持ちに
なったことないですから。

どんなもんなんだろうって、興味ありますよ。
安森 すごく日常的で身近なことからいうと、
今までは、夜の12時とか1時に寝たとしても、
だいたい5時半、
遅くとも6時には目が覚めて、
それから先は、絶対に眠れなかったんです。
糸井 ほう‥‥。
安森

「午後の予定は何だっけな?」
「会議の議題は何だっけな?」

目が覚めると同時に、
アタマが会社のことを考えはじめる。
糸井 ああー‥‥。
安森 「昨日は一日中、雨が降ってたから、
 売上がイマイチだったかなぁ‥‥」とかね。
糸井 「どうやって
 言いわけしようかな‥‥株主に」とか?
安森 いろんなことが、アタマをめぐりめぐって、
たいがい、眠れなくなるんですよ。
糸井 そういうときは、どうするんですか。
安森 おとなりの布団で、高らかにいびきを‥‥
いやいや、スヤスヤとお休みになられているかたを
けっして起こさぬよう、
そっと部屋を出て行きパソコンに向かう、とかね。
糸井 なるほどなぁ。
安森 それが、今やね‥‥。
糸井 どのように、変わったんですか。
安森

5時半やら6時に目が覚めるのは、同じ。

で、おとなりでお休みになられているかたの寝顔を、
「おお、愛らしい」と思いながら‥‥。
糸井 背景描写からしてちがうんだ(笑)。
安森 もうひと眠り、できます。
糸井 ほう‥‥。
安森

寝てまでも、会社のこと考えなくていい。

ちがいと言うなら、
そこがいちばんのちがいでしょうかね。
糸井 相談役というお仕事は、つまり‥‥。
安森 相談がある場合に、相談される役です。
糸井 ない場合が、あるんですか。
安森

そりゃ、もちろんです。

それにね、相談がないからといってさ、
相談役みずからですよ、
「お前たち、何かオレに相談あるか」と
聞いて回るわけには‥‥なかなかねぇ。
糸井 相談を押しつけるわけにいかないと(笑)。
安森 まぁ、隠居みたいなもんですかね。
糸井

でも、会社によっても
ちがいはあるんでしょうねぇ、きっと。

「ものすごくはたらく相談役」とか。
安森

それはでも‥‥あっちゃいけないと思うよ。

だって、相談役が相談されないために
社長以下、幹部、役員がしっかりしてるってのが
会社としては、健全な姿でしょう。
糸井 なるほど、そのとおりだ。
安森 往々にして、ヒョコヒョコ出ていきがちなんですよ。
世の相談役というのは。
糸井 そこに対しては、批判的なんですね。
安森 いや、批判というより‥‥ぼくの場合は、
一所懸命、そういうふうにしてるんです。
糸井 ヒョコヒョコ出ていかないように?
安森

だって、気持ち的はラクになったんだけど、
とうぜん「さみしさ」はありますから。

‥‥ほんとの話をすると、ね。
<続きます!>
2008-08-05-TUE
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