社長に学べ!

田んぼしかなかったところに

糸井 ロフトを会社として立ち上げてから
もう‥‥どのくらい経ちます?
安森 12年だね。
糸井 そんなになりますか。
安森 なりますね。
糸井 いま、取締役相談役となったわけですけど、
あらためて振り返ってみると、
ロフトって会社のことを、どう思います?
安森

「めちゃくちゃイメージのいいお店」って
わけじゃあないけど、
おかげさまで、収益は上げられるようになった。

‥‥そういう会社かな。
糸井 えっと‥‥そうなんですか?
安森さんの認識では。
安森 うん、ただしね、「収益」という点から見たら、
明らかに、キラキラ輝く会社のなかの、ひとつ。
糸井 そうでしょうね。
安森

12年前、会社を設立したころ‥‥。

ぼくが、いちばんはじめに考えたのは、
「商品」のことじゃなかったんだよね。
糸井 それは‥‥。
安森 「ウチに来ていただいているお客さまって
 どういうお客さまなんだ?」ってこと。
糸井 なるほど。
安森 で、とても運のいいことに、
ロフトに来てくださるお客さまの年代と
当時のウチの娘の年代がピッタリで。
糸井 娘さん、おいくつなんですか。
安森 いま、上が33で、下が29。
糸井 ちょうど、今の「ほぼ日」のお客さまと
重なりますね。
安森

だから、やつらの言動を観察していると、
お客さまの購買のスタイルなんかがわかってくる。

そういう意味で、運が良かったなぁってね。
糸井 うん、うん。
安森 お店にいらしてくださるお客さまの姿に
ものすごくリアリティを持てたから。
糸井 息づかいがわかりますよね。
安森 もし、この幸運がなかったら、
ぼくは、ここまで会社や事業にたいして
自信を持てなかったかもしれないね。
糸井 「自分から遠い人」を研究しなきゃならない。
安森 そう‥‥まぁ、かつては、そういうことが
もっとも得意な企業にいたわけですけどね。
糸井 西武百貨店。
安森 ええ。
糸井 そこからロフトを分社化して、今は相談役となって‥‥
なつかしさって、あります?
安森 うん、企画書の厚い会社だったよね。
糸井 あたまのいい人が、たくさんいて。
安森

そうですね‥‥まぁ、あの時代っていうのは、
タイヘンだったですよね、おたがい。

もちろん、いい意味でも悪い意味でも。
糸井 まぁね、そう言われれば(笑)。
安森 でも、いいコピーを考えたじゃない、イトイさん。
糸井 安森さんだって、まるで落下傘部隊みたいに
過酷な場所へ降下していったじゃないですか。
安森 えっと、「筑波西武」のこと?
糸井 あれは「誰にもできないから、おまえ行け」ですよ。
安森 いや、そんなことないそんなことない。
糸井

1985年に、筑波で科学万博が開催されたとき、
今の筑波研究学園都市をはじめ
その周辺が開発されていったタイミングで
西武百貨店も進出していった‥‥。

もともと、田んぼしかなかったところにね。
安森 はい。
糸井 で、その田んぼのまんなかの
新しいデパートを「どうにかしなさい」と言われたのが、
安森さんだったと。
安森 いまから‥‥24年前ですかね。
糸井 そんなに経ちますか。
安森 まさに全盛のときよ!
糸井 あはははは(笑)。
<続きます!>
2008-08-06-WED
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