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どこで何をどう伝えるか、
ということは、きっと
たくさん工夫なさったと思うんですが、
斎藤さんが最初にあてにしたメディアは
いったい何だったんですか。 |
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1998年当時は、
インターネットでお菓子の材料を売るだけで
少しはニュースになる時代でした。
特に徳島だとニュースが少ないので、
「斎徳、お菓子材料の通販はじめる」と
日経徳島支局とかは載せてくれるわけです。
それがなんかの拍子に
全国版に載ったりしてですね。 |
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飛躍のきっかけになったのが、2000年。
NHKのテレビ講座「趣味悠々」という
シリーズで、お菓子の企画があったんです。
今は国会議員になられましたが、
藤野真紀子さんが先生で、という話でした。
広告代理店から、
「クオカさん、今度こういう企画をやるんで、
そのテキストに広告出しませんか」
と連絡が入りました。
たまたま、その広告代理店の担当の女性が
クオカのお客さまだったんですよ。 |
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当時、高松のお店はまだボロボロでしたし、
その方も、お店の様子を知ってたら
そんな話はしてこなかったと思います。
ぼくはその場で「表4(裏表紙)やります」
と返事しました。
「表4は東京ガスに決まってるんで」
って言われたけど、
無理やり表4をお願いしました。
そのかわり、
藤野先生がレシピの中で使っているものは
99パーセント、クオカで買えるようにします、
と約束しました。
それで品揃えを強化したのが、
飛躍のきっかけになったんですよ。 |
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それは冒険でもあり、うれしい話ですよね。
勝算は感じました? |
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自分経営会議ですからね、
「やろうか」「じゃあ、やろう」。 |
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斎藤さんは、いちいち
説明がつくことばっかりを
順番にやってますよね。 |
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大飛躍で
「ここは閃きですよ」
みたいなことじゃなくて、
全部見えるところで、
こうかな? こうかな? と
ひとつずつ変わりだまをつくるみたいに
大きくしている感じがします。 |
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ええ、あんまり変わったことはやってないと
自分でも思います。 |
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だから、クオカのお話は気持ちがいいんですよ。
フロックで、天啓があってとかいうんじゃ
ないんですよね。
スタート当時から比べて、クオカは、
変わったところと
変わってないところがあると思うんですが。 |
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変わってないところは、
いつもお客さまの目線でいることです。
今、中核をなしてるスタッフは、
クオカのホームページで募集して来た人たちです。
もともとクオカのお客さんですから
おいしくたのしくという、
お客様目線を失わないんです。
変わったところは‥‥、変わった、というより
ここまで会社が大きくなってきたので、
「変わらなければいけない」というところに
今、来ているという感じがするんです。 |
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うん、うん。
クオカは、今はみんなが知っている場所に
なりましたけど、
もっと可能性が出てくるわけですよね。 |
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我々の本当の願いは、
手づくりをおいしくしたい
というところなんです。
今のお母さん方ってすごく大変で、
本当においしいものが簡単に
コンビニとかスーパーで
手に入るようになってきちゃってます。
冷凍の炒飯なんかもすごくおいしくて、
なかなかあんなにパラパラにできないですよ。
そういうものとお母さん方が
勝負しなきゃいけなくなっています。
「ママの餃子より冷凍のほうがおいしい」
と、子どもが思ってるかもしれないです。
でも、いい材料でつくれば、
子どもや旦那さんが、
「お母さんのがいちばんおいしい」って
言ってくれるかもしれないですよね。 |
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今、クオカには25万人くらい
お客さんがいらっしゃって、
リピート率が80パーセントぐらいです。
それは、我々がすごくいいサービスをしたり
いい商品を提供してるというよりも、
本当にご家族やご本人が、
おいしいと思ったからだと思います。
クオカがよく知られるようになったといっても、
今はまだまだ、
「趣味はお菓子づくりです」という方か、
セミプロの方にしか知られていません。
まだ、店舗も
東京だと自由が丘と新宿だけ。
全国でたった4店舗しかありません。
銀座で100人に聞いたら、
クオカを知ってる人は
1人か2人でしょう。
これからは、そうじゃない人に
どうアプローチしていくかが課題です。 |
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そうなんです。
今、クオカで
わりと売れてるのは冷凍パン生地です。 |
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発酵寸前の生地が冷凍してあって、
冷蔵庫に移すと発酵して、
次の日オーブンで焼くと、
焼きたてのクロワッサンができる。 |
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本当は我々も
手ごねでパンを焼くほうが
冷凍よりもおいしくできると思っています。
でも、全ての人にそんな時間はありません。
たかがパンされどパンですけど、
やっぱり「しょせんパン」、
主菜があってのパンなんです。
パンにそんなにエネルギー使ってくれればいいけど、
そうじゃありません。
冷凍でちょっと手を加えて
おいしいパンが焼けるんなら
それも提案すべきだと思ったんです。
そういう人たちは、そのうち自分で
やってみようと思ってくれるから。 |
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両方あってかまわないですもんね。
その辺の柔軟性みたいなものがなくて、
趣味の世界って、つい
セクト的になっちゃいますから。 |
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ええ、そうなんです。最初はスタッフに
「そんなのクオカでやる意味がない」
「あんなのパンじゃない」
って、反対されたんですよ。
でも、共稼ぎのお母さんも、子どもたちも
生地をのばしてこねる、
そのプリミティブなたのしさを
味わうことができるから、と。 |
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子どもが、どういうわけだか
手巻き寿司だと食いますよね。
それとおんなじ。 |
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(つづきます) |