糸井 | ‥‥1時間、しゃべれるもんですね(笑)。 |
冷泉 | けっこう、話せましたね。 |
糸井 | ひとつ、失敗があったとすれば‥‥ 「かりんとうはうるさい」。 ※糸井重里は、オンエア中に かりんとうをかじりました。 |
冷泉 | あはははは(笑)。 |
糸井 | いやいや、ありがとうございました。 |
冷泉 | ありがとうございました。 |
糸井 | 最後、オバマ型のリーダーの話のところで あたまに浮かんだのは、 岩田(聡・任天堂社長)さんなんですよ。 |
冷泉 | ああー、そうだったんですか。 |
糸井 | むかしから知ってるんですけど、 岩田さんって、「自分がいない」んです。 もちろん、わるい意味じゃなくて。 |
冷泉 | ほう、ほう。 |
糸井 | 何というか‥‥言い換えると 自分のことが、いつも「あとまわし」なんです。 他人の問題すら、 自分の問題であるかのように考えますし(笑)。 でも、そんな彼がリーダーのおかげで、 なんかハッピーなんですよ、まわりが。 |
冷泉 | みんなの世話役を引き受けることじたい、 喜びであるような人って、 やっぱり、必要なんだと思いますね。 |
糸井 | うん、うん‥‥いやぁ、おもしろいなぁ。 ああ、そうそう、送っていただいた 新しい本(『アメリカモデルの終焉』)を いま、読んでるんですけど。 |
冷泉 | 勢いで書いちゃった本なんですが‥‥ いかがです? |
糸井 | 去年、ぼくらが『はたらきたい。』という本で 考えていたことを、思い出しましたね。 つまり、組織がちがうんだったら 考えかたもちがうに決まってる‥‥だとか、 考えかたがちがうから、 こういうふうに組織がちがって、 こう行き詰まっていくんだ‥‥みたいなことを、 すごく冷静に、 淡々と書いてらっしゃるじゃないですか。 半分ぐらい読んだところなんですけど、 人事のいい教科書になりそうな気がしたなぁ。 |
冷泉 | ああ、ありがとうございます。 |
糸井 | 冷泉さんの「本職」というと、 本当は、こちらの方面なんですよね? |
冷泉 | うーん、よくわからないんですよ(笑)。 まぁ、いま現在の本職といえば、 自分では「コミュニケーション」の分野だと 思っているんですけど。 |
糸井 | コミュニケーション論? |
冷泉 | そうですね‥‥大学なんかでやってる 堅苦しいものじゃなくて、 もっと自由な立場から 「日本のコミュニケーション」について、 突き放して、考えてみたいんです。 |
糸井 | それは、さっきの「アメリカの闇」の話とも つながってくるあたりですか。 |
冷泉 | そうですね。 |
糸井 | この『アメリカモデルの終焉』でも、 JMMのレポートでも、 アメリカの「良さ」と「行き詰まる理由」について 書かれているのを読むと、 冷泉さん、すごく生き生きしてますよね。 |
冷泉 | そうですか? |
糸井 | あれは、日本人にも、知ってほしいという 気持ちなんですか? それとも、アメリカに対して、言いたい? |
冷泉 | いまは、アメリカに対して、ですかね。 だから「闇」を抱えてしまうんだよってことを いまの立場から、言えたらなぁって。 |
糸井 | なるほど‥‥「闇」の切り口で アメリカを語るって、ないかもしれないですね。 |
冷泉 | ただね、最近のアメリカの若い人たちは 気づき始めてると思うんです。 |
糸井 | そうですか。 |
冷泉 | たとえば、宮崎駿さんのアニメって アメリカでも、すごく人気があるんですよ。 大学の授業で 「宮崎アニメって、 主人公がだいたい少女でしょ」なんて言うと 「『紅の豚』はちがいます」とか もう、すぐさま訂正が入るくらいだし。 |
糸井 | ほう、ほう。 |
冷泉 | で、典型的なハリウッド映画みたいな 勧善懲悪・善悪二元論は好きじゃないって。 世の中、そうなってないよって言うんです。 |
糸井 | なるほど。 |
冷泉 | これまでのアメリカ的な考えとは ちょっとちがってきてる。 だから「闇」のイメージで話しても、 通じるようになってきてると思うんです。 |
糸井 | ‥‥ぼく、マイケル・ジャクソンって人が おもしろいなぁって、 つねづね思ってるんですけれどね。 |
冷泉 | ええ。 |
糸井 | ネバーランドという「小さな国」をつくって そこの王さまになっちゃったわけでしょう? あれって、 「なんでも好きなことしていいよ」って 言われたときの ひとつの典型だと思うんだけど‥‥。 「だれも遊びにきてくれない遊園地」ほど 寂しいものはないじゃないですか。 |
冷泉 | はい。 |
糸井 | あの「闇」の深さといったら‥‥ね。 |
冷泉 | 誰もいない遊園地をつくっちゃって そこにたたずんだときの気持ち‥‥。 なんか、ブラックホールのなかを のぞいちゃったような感じでしょうか。 |
糸井 | うーん‥‥いや、話は尽きないんですけど、 今日は、お忙しいに決まってる時間を 割いていただいて、ありがとうございました。 |
冷泉 | いえいえ、とんでもないです。 |
糸井 | なんか、はじめてといっていいくらい、 男っぽい企画だったなぁ。 |
冷泉 | え、そうなんですか。 |
糸井 | 思えば、こういう政治まわりの話って、 したことなかったなぁって。 |
冷泉 | でも、昨日、ストリーミング中継をするって 電話いただいたときには どんなことになるかと思いましたが(笑)。 |
糸井 | 実現できて、ほんとによかったです。 急でしたけど(笑)。 |
冷泉 | はい、ありがとうございました(笑)。 |
糸井 | ありがとうございました。 |
<おわります> | |
2009-02-26-FRI |