一方、「ライバル店に負けない値段」を
つければいいんだという人もいる。
たしかに同じような料理を売っている
ライバル店の価格設定を意識するのは、
商売としてはしょうがないコト。
けれど他のお店の値段を気にするがあまり、
こんなコトが起こったりします。
チェーン店の居酒屋に行って、メニューを開きます。
どこにいっても同じような料理が
同じような値段でそこには載っている。
一体、今、自分はどのお店に来ているんだろう‥‥、
とメニューを見ているだけでは
わからないようなコトがよくある。
メニューを作るとき。
そういう居酒屋の商品開発をしている人は、
ライバル店のメニューを徹底的に分析し、
いくらくらいのメニューをどのくらい揃えれば
彼らに負けないようにできるかというコトを
食品メーカーに伝えるのですね。
日本全国何百店も出ている、
安価に売れる均一化された食材なんて、
そんなに種類があるわけじゃなく、
しかもその食品メーカーに他の居酒屋チェーンも
同じようなリクエストを送ってきたりするわけです。
気づけば日本中が同じような居酒屋メニューに覆われる。
まるでみんなで手をつないで
ゴールテープを切る徒競走‥‥、みたいな競争。
負けないように他人の出方を気にしつつする戦いは、
ときにこんなに滑稽なモノ。
お客様がわざわざ行ってみたい。
そこの料理やサービスをこころおきなく
たのしみたいと思ってもらえるお店は、
自分の売りたいものを売りたい値段で
うれる自信があるお店。
そして、お店の人が売りたいと思うものを
売りたいと思う値段で買ってくれる人が
ファンがいてくれるお店はシアワセな店。
そういう店を「名店」と呼ぶのだろうと思います。
負けないようにではなく、
勝つためにがんばっているお店の人たちが、
勝つための定石として心がけている法則が
今日の結論となってくれます。
飲食店の値段というのは、
「使った食材の仕入原価のだいたい3倍」。
さて来週に続きます。 |