ところでボクの父。
外食産業の黎明期には飲食店を経営し、
そのあと、コンサルタントとして
外食産業の急成長を作った人。
特に経営数値のプロを自認している人で、
だからでしょうね。
飲食店に行くとすべてを数字で置き換えてしまう
クセがある。
家賃がいくら。
お店の大きさがこのくらいだから、
改装費にかかったのはこのくらい。
働いている人の人数や様子をながめて、
人件費がこのくらいはかかっているんだろうなと、
料理がやってくるまでずっと数字の話をしたりする。
特に原価のコトには敏感で、一皿一皿、このくらい。
それをこんな値段で売るとは儲けてるなぁ‥‥、
ともううるさいコト。
母に何度もたしなめられる。
だってわかるんだからしょうがないじゃないか‥‥、
とそのたび、子供みたいに口を突き出し言い訳をする。
でもある日。
すばらしい眺望と、エレガントなサービスで
人気のレストランに家族そろっていったときのコトでした。
おそらくそのお店の最大の売り物は雰囲気で、
だからでしょう。
料理はちょっと貧弱でした。
そこに行きたいと言ったのは母。
父はまるで鬼の首を取ったような勢いで、
「ここは原価を20%も使ってないぞ。
まるで客をだますような料理ばかりだ」
とはしゃいで言った。
たまりかねて母が父にこういいました。
私はね、原価何円の料理を
ココに食べに来ているわけじゃないの。
東京をまるで自分のモノにしたみたいな、この景色。
厨房の調理人も、サービスの人たちも、
みんなが私たちのためだけに
働いてくれているんじゃないかしらっていうこの雰囲気。
それも含んでのこの値段なら、
安いとあなたも思うでしょう?
人生をたのしむためには、
自らすすんでダマされてやろうという寛容と、
多少のことには鈍感でいられる才能が必要なのよ。
あなたなんか、銀座に行ったら
すすんでたのしく騙されるでしょう!
クラブで飲むお酒の原価に比べれば、
ここの料理の値段なんて良心的だと私は思うわ。
それでも嫌なら、家に帰ってニンジン齧って
一人でテレビでもご覧あそばせ‥‥、と。
ボクはずっと騙され上手。
さて本題にもどりましょう。
儲けるための3つのポイント。
そのメリットを最大限に享受しようと思ったら、
とあることを心がけなくちゃいけなくなります。
原価シリーズもそろそろ次回でエンディング。
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