冬になるとカキフライのフェアーが
いろんなところで催されるではないですか。
ほとんどの場合、そのカキフライの牡蠣は
一年前の凍ったカキだったりするのですネ。
去年のカキなら相場や市場に左右されることなく、
商品試作をする段階ですでに原価がはっきりわかる。
安心して料理の価格を決めることができるワケです。
どちらにしても大きな会社はメニュー開発のための
専門の部署があって、
年中、そのためだけの仕事をしている。
大型居酒屋チェーンも同じで、だから膨大な数のメニューを
ひとつひとつ原価に合わせて値段をつける。
あるいは売りたい価格に合わせて
仕入れの仕方を考えることができるのです。
普通の飲食店には年がら年中、仕入れのコトや値付のコトを
考えることを仕事としている専任者がほとんどいない。
経験や勘で「なんとなく損をしないような価格設定をする」
ことが多いのですね。
商品の種類が少なければ少ないほど、
勘の精度は上がります。
料理を作りながら、勘を検証することも簡単になり、
だから「専門店的に商品を絞り込めば
経営に失敗する確率が低くなる」と言われたりもする。
コンサルタントとして
「利益がなかなか出ないんです」
‥‥、っていう相談を受けて、一番最初にすることが、
原価がはっきりわかる商品だけに絞り込んで
営業することができるかどうか考えてみませんか?
というのが、お手伝いの第一歩だったりした。
案外、成功しやすい方法でもありました。
ただそういうアドバイスに頑なに抵抗する人たちがいて、
その代表が中国料理の調理長たち。
「メニューを手にしてその重さと分厚さこそが、
お店の店格」。
だってそれだけ沢山の料理を作ることができる
調理人が働いているというコトなんだからと、
それで作ることができる料理を
あらいざらいメニューに
のっけたがる人たちが多いのですね。
そういう人たちに限って、
麺やご飯物はほとんどが800円。
一品料理は1200円とか1500円。
どう考えても、原価を計算して値付けしたものではない
価格がズラッと並んでいたりするのです。
当然、値付けはひらめきです。
あるいは経験。
それでも潰れずやっていけたということは、
あまり原価をかけずに料理を作り続けていたというコト。
そういうお店の近所に同じようなお店ができて、
そちらがちょっとでも安い値段をつけたりすると
たちまちお客様がそちらに流れる。
負けてはならじと値段を下げると、
途端に儲からなくなったりする。
なんで儲からなくなったかを調べようにも、
ひと品ひと品の原価をしっかり調べてないから
手のうちようがなくなっちゃう。
もし中華料理屋さんにいって、分厚いメニューを手渡され、
そのお店の人達に元気が無かったり、
お店がどこかウラ寂れていたとしたら、
その人達は儲けることが下手な人たち。
おそらく何を食べてもサービス精神旺盛のボリューム感と
味わいだったりするコトでしょう。
一方、分厚いメニューを使いながらも、
立派な建物、インテリア。
従業員の数もタップリいるような店だったらば、
そこはかなりの儲け上手。
何を食べてもおいしいけれど、割高感がいなめない、
いわゆる「高級店」と呼ばれるお店に違いない。
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