10軒以上もありますから、
外食産業としては立派なチェーンストアの規模。
うどんのような料理において、
チェーン店であるということは、
「贔屓にしてやろう」
と思う気持ちを阻害する大きな要素のひとつなのです。
にもかかわらず、
「あなたの好きな博多うどんのお店を挙げてください」
というアンケートを地元でとると、
ナンバー1の座を獲得する。
不思議な存在感をもっている店で、
なのに秘密に包まれていたのです。
公式ホームページはない。
広報誌のようなものもなければ、
地元のテレビや雑誌に出ることもほとんどなくて、
調べれば調べるほど謎が謎をよぶ不思議な会社。
その会社の中を見ることはできないかなぁ‥‥、
と思ったのです。
特に工場。
実は博多うどんを食べ歩くにあたって、
見るならやっぱり本店だよね‥‥、と、
牧のうどんの本店を訪ねたのです。
博多空港から1時間近くも走った田舎町。
まもなく本店というその直前に、
偶然、牧のうどんの工場を見つけたのです。
しかもその工場から次々、車がやってきて、
開店直前の本店経由でどこかに向かって飛び出していく。
こりゃ、本格的なチェーンストアのやり方だ‥‥、
と、思ってますます、工場の中をみたくて
しょうがなくなったのです。
どこかにツテはないものかしら。
無理だろうなぁ‥‥、
と思っていたら、あっさり取材がOKになる。
しかも牧のうどんの常務が会ってくれるというので、
ワクワクしながら行ってみて、
ボクの目からあっさりウロコがとれちゃった。
20世紀の外食チェーンが、
お店を増やすために我慢した、
いろんなコトを我慢しないで
お店を増やすことに成功していたのです。
工場はある。
けれど大規模でもなく
機械化されているわけでなく、
ちょっと大きな厨房みたいなところで
仕込みがなされてた。
お店で働く人たちだって、マニュアルなんかで縛られず、
のびのび、いきいき働けている。
これはすかいらーくや
ロイヤルホストが必死にやってきたこと。
つまり20世紀の外食産業のビジネスモデルを
ひっくり返した、新たなビジネスモデルが
そこにあってビックリしたのです。
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