ラーメン作りがはじまります。
まず湯煎されてた丼を取り出し、
そこに何か透明な白い粉をサラサラ入れる。
かなり大量。
テーブルスプーン1杯分ほどを入れるのですね。
丼の底はキラキラ光る。
化学調味料が入っていると思っていたけど、
これほど大量に入っているとは思わなかった。
度がすぎるとえぐみや雑味が出てしまい、
舌が疲れてむしろおいしくなくなっちゃうのが化学調味料。
だから絶対、こんな量は使わない。
そういう彼を尻目に次々、
並べた丼に透明な粉をサラサラ入れる。
そして今度は、おたまをタレの入った鍋に突っ込んで、
大量の脂と一緒にすくい上げる。
すくい上げたそれをすぐに丼に注いでいくのかと思ったら、
火のついたレンジの上でしばらく煽る。
脂が軽く沸騰します。
それをすかさず、丼の中に注いでいく。
ジャッと湿った音がして、
一瞬にして白い粉に熱が入ってそれがとろける。
もう一方の手に別のおたまを握ってスープを、
そこに注いでかき混ぜる。
化学調味料は高温で焼ききることで、えぐみが消える。
動物性の脂の旨味や風味が
化学調味料の弱点を補う役目もしてくれる。
なるほど、それであれほど大量に使っていながら、
そのおいしさを失わないんだ‥‥、と、まず感心。
ところで麺はまだ茹でてないよね。
どうするんだ‥‥、と思っていると、
おもむろに麺をつかんで湯に落とす。
丼の中のスープはどんどん冷めていく。
冷めていくけど、もともと高温。
だからあとから麺を茹で、
それが茹で上がるタイミングこそが、
スープが適温になるというわけ。
つまりその店のラーメンが、安いくせしておいしいわけは、
普通の店が使わぬ量の化学調味料を使っているから。
化学調味料とは、安価においしさを作り出すための
魔法の粉であるわけです。
だからそれを使えば、絶対的に安い料理を創造できる。
けれど、安くしてやれと使いすぎると逆効果。
例えば、おいしいのだけど、
食べてる途中で無性に水を飲みたくなる
料理に出会うことがある。
しかもそのとき。
ただの水を飲んでいるのに、
水が甘くておいしく感じることがある。
それは、その料理が必要以上の化学調味料を使っていて、
それに舌が疲れてしまった証拠なのです。
おいしすぎると、舌が疲れる。
疲れた舌が、洗ってちょうだい!
ってお水をねだった‥‥、というわけですね。
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