SAMさんに、ダンスのはじめかたを聞きにいく。 SAMさんに、ダンスのはじめかたを聞きにいく。
ほぼ日の読みものチームの田中です。
突然ですが、ダンスに興味はありますか? 



僕はいま37歳ですが、
1年ほど前に習いはじめたところ、
想像をはるかに超えておもしろく、
生活がダンスを中心にまわるようになりました。
教室にいくのが毎回たのしみで仕方ないし、
時間があれば練習をしたい。
「どうしていままでやらなかったんだろう?」
「もっとみんなやればいいのに」
と考えるようになりました。



とはいえ自分自身がそうだったように、
ダンスというのは、未経験の人が
「やってみようかな」と思うには、
すこしハードルが高い趣味という気がします。



そこで、未経験の人がダンスをはじめる
きっかけになる記事を作れたらと、
TRFのSAMさんに「ダンスのはじめかた」について
聞きにいってみることにしました。
というのもSAMさんはいま、普通の人に
ダンスの魅力を伝える活動をされているから。



動画の「SAMさんのミニダンス講座」も
ありますので、よければぜひご覧ください。
ここからダンスの世界に足を踏み入れる
人がいたら、僕はとても嬉しいです。
(5)「良いダンス」ってどういうもの?
写真
──
さきほどSAMさんが57歳という
お話がありましたが、
年を重ねたからこそかっこよく踊れる
ダンスというのはありますか?
SAM
年を重ねたからこそかっこよく踊れるダンスは
たぶんなくて、
年を重ねた人が踊るダンスがすごく渋かったり、
味があったりすることはあると思います。
大して動いてないんだけど、すごくいいとか。
ヨボヨボだけど、ちょっとした揺れかたが
かっこいいとか。
ただ、そういうのは70歳とか80歳の
レベルだと思いますね。
僕らみたいにシャキシャキ動けちゃってる人は、
そのへんはまだ伝わりづらいと思う。
どこが味なんだか、わからない。
──
(笑)まだ動けすぎて。
SAM
ただ思うのは、若い頃の自分は、
いろんなことに興味があって、
動きにいろんな枝葉がついていたんです。
そしていまの自分は、
そのあたりをだんだん削ぎ落としている
感覚なんですね。
だから徐々にですけど、僕のダンスも、
「シンプルなステップだけで、
シンプルに見せていく」というところに
行くんじゃないかなと思ってます。
──
SAMさんが考える「良いダンス」って、
どういうものですか?
SAM
まず「理にかなった動き」はありますよね。
──
「理にかなった動き」。
SAM
そして「全部の動きがクリアである」のも、
すごく大事だなと思います。
これはニュアンス的なものですけど、
ダンスって、いろんなポーズの連続だと思うんです。
「そのときそのときで、いちばんいいところに
からだをコントロールできてる」
っていうイメージ。
写真
──
自分の思い通りに、いちばんいいところに。
SAM
そうそう、そうですね。
とはいえダンスには
「パワー」も「スピード」も必要だし、
「トリッキーな動き」もおもしろいし、
一概に言えないんですけど。
そして、あるていど上手い連中の
レベルまで行っちゃうと、
「良いダンス」ってもう好みですよね。
──
SAMさんにもはっきりした好みがありますか?
SAM
あります。何人か上手い連中がいたら
「俺がいちばん好きなの」みたいなのは
確実にある。
毎年『高校生ダンスコンテスト』の
審査員をやってるんですけど、
評価のしかたってほんと、人によるんですね。
高校生らしく、群舞の揃いかたが
きれいなほうがいいという審査員もいれば、
振付のおもしろさとか、構成力で見る人もいます。
ただ、僕の場合はほぼ
「ダンス力(りょく)」ですね。
──
ダンス力。
SAM
つまり、ダンスの上手さで見る。
さっきの「いかにクリアに踊ってるか」とかも
含むんですけど。
1個1個の動きがガチャガチャせず、
クリアにこなせてるかどうかは見てますね。
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──
SAMさんにとって、
あこがれのダンサーのかたはいますか?
SAM
その都度たくさんいますね。
それこそ、はじめたばかりの10代の頃とかは、
身近な先輩だったりもしましたし。
あと若い頃は、さっき言った
『ソウルトレイン』という番組を
自分のバイブル的にしてました。
黒人のアーティストの曲をひたすら流して、
黒人たちがみんな踊るんですけど、
好きなやつを見つけて、そいつが映るところだけを
録画して見たりしてました。
──
ビデオで?
SAM
ビデオで。巻き戻しながら。
あと、1920、30年代に
ダンスミュージカルの映画をたくさん作っていた
「MGM」というアメリカの映画会社があるんですが、
その作品もすごく研究してましたね。
タップダンサーですけど、
フレッド・アステアにジーン・ケリー、
ニコラス・ブラザーズ。
ほんとにかっこよかったんです。
当時YouTubeはなかったので、
ビデオを何回も何回も見て。
情報はすべて自分で取りに行く感じでしたね。
本物見たかったらアメリカまで行って、みたいな。
写真
──
もうすでにいろいろなことをされていますが、
SAMさんがこれから
やってみたいことはありますか?
SAM
いまは、日本の伝統芸能である能と、
ストリートダンスを融合した舞台を
作りたいと思っているんです。
これは、能の宝生流の人と知り合って、
すでにかなり具体的に進んでいます。
まずは自分自身がちゃんと能自体を
理解しようということで、
弟子入りさせてもらって、
毎週教えてもらってるんですけど、
おもしろいんですよ。
──
能とストリートダンスが融合‥‥
全然想像がつかないです。
SAM
僕もまだ想像がつかないです(笑)。
あとは、すこし前に出てきた
「ニュースタイルハッスル」っていう
ペアダンスがあるんですけど、
それをちょっとやりたいなと思ってますね。
けっこうハウスのステップが
活かせそうなんです。
だから、今年は能とハッスルですね。
──
興味の幅がすごいですね。
SAM
僕はおもしろそうだと思ったら、
いろいろやってみるんです。
すぐ時代に合わせちゃうんですよ(笑)。
──
最後にもうひとついいでしょうか。
SAMさんくらいのベテランのかたでも、
ステージで緊張したり、
失敗したりはありますか?
SAM
ガチガチになるとかはないけど、
いい意味での緊張はしますね。
わりとリラックスしてるほうかな、
とは思いますけど。
失敗は‥‥自分の出番にボケッとしてて
出なかったとかは普通にありますよね。
振りを忘れて真っ白になることもあるし(笑)。
写真
──
SAMさんでもそんなことが。
SAM
ありますよ。
だけど僕、TRFだとセンターポジションだから
踊ってなくても気づかれなかったりするんです。
だから急にクラップ(手拍子)とか
しはじめたりして(笑)。
──
そんな(笑)。
SAM
舞台だとそうはいかないですけどね。
──
今日はありがとうございました。
とてもたのしかったです。
SAM
こちらこそ。
これをきっかけに、ダンスをはじめる人が
増えてくれると嬉しいですね。
‥‥あ、そうだ。
──
はい、なんでしょうか。
SAM
一緒に写真撮ろうよ。
TRFのファンクラブにも入ってたんだよね。
ファンクラブを知ってる人が
取材に来てくれたよって、
CHIHARUとETSUにも伝えたいから。
──
ええええ!(急に緊張しはじめる)
いいんですか。すみません。
なんというかもう‥‥
今日は、ほんとうにありがとうございました。
(終わります)
2019-10-05-SAT
SAMさんのミニダンス講座
5.アイソレーションと
SAMさんのフリーダンス
最終回は「アイソレーション」という
からだの動かしかたをご紹介します。
そして、SAMさんのダンスを、あらためて。



写真
いろいろなアイソレーション
からだの部分部分を動かす
「アイソレーション」という動きを
ご紹介します。
こちらも、すこしずつ練習することで
徐々にできるようになっていきます。
写真
SAMさんの動きをあらためて
イントロダクションでも紹介したものですが、
最後にもういちど、あらためて、
SAMさんのダンスをどうぞ。
いろいろな話を聞いたあとで見ると、
よりすごさが増して、見えてきませんか?
MUSIC: Mella Dee "Club Vibe"
興味が湧いてきたみなさん、
もしピンときたらぜひ、
ダンスの世界に飛びこんでみてください。
きっと、たのしい毎日が待っていることと思います。



(おしまいです)