山下純弘さんと「ギィ アンティック ギャラリー」

今回、サヴィニャックさんのことを勉強しに
ぼくらがうかがったのは、東京、板橋区赤塚にある
「ギィ アンティック ギャラリー」という場所でした。


「ギャラリー」というと、
ふつうはちょっと敷き居が高い印象がありますよね?
でも、ここはそういった堅苦しい場所ではなく、
何といいますか‥‥
街のかわいい雑貨屋さんのような、
そんな、とても気軽で親しみやすい雰囲気でした。
棚にはヨーロッパのかわいいアンティーク玩具が並べられ、
壁には希少なビンテージポスターが展示されています。
(ポスターはもちろんサヴィニャックさんのものが中心)


このカジュアルなギャラリーのオーナーが、
山下純弘さんです。
「ギィ アンティック ギャラリー」設立までのお話や、
サヴィニャックさんとの出会いのいきさつなどについて、
いろいろと、うかがってみました。


「1972年に、カフェをオープンしたのが最初でした。
 学校を卒業して、フランスで料理の勉強をしてたんですが
 そのとき芸術家たちがカフェに集まって、
 一杯のコーヒーを飲みながら夢を語っている、
 そういう場面に触れたんですね。
 これを日本で再現しよう! って思ったんです。
 で、帰国してはじめた店の名前が『カフェ・ド・ギィ』。
 “ギィ”っていうのは、ぼくの大好きなフランス映画
 『シェルブールの雨傘』に登場する
 男性の主人公の名前からとりました。
 当時は、“純喫茶”の時代ですからね、
 “カフェ”っていうのは、他になかったと思いますよ。
 
 その後、ヨーロッパのアンティークに目覚めて、
 『ギィ アンティック ギャラリー』になったのですが、
 当初はブリキのオモチャをメインに扱ってました。
 好きだったんですね、その世界が。
 
 で、いよいよサヴィニャックとの出会いがあります。
 あれはたしか1989年の夏でした。
 いつも利用している東武東上線の駅で、
 『豊島園』のブタのポスターをみたんです。
 そのときは作家の名前までわからなかったんですけど、
 しばらくして、パリのギャラリーで
 同じ画風のポスターをみつけたんです。
 話を聞いてみたら、サヴィニャックという作家で、
 やっぱり『豊島園』のブタを描いた人だったんです。
 それからですね、こつこつとギャラリーに通っては
 すこしずつ原画やオリジナルポスターを
 買いはじめたのは‥‥」

ぼくらがはじめて「ギィ アンティック ギャラリー」に
おじゃましたとき、まず目をひいたのが、
ギャラリーの奥に展示されているこのポスターでした。


チョコレートをかじる男の子。
サヴィニャックさんのポスターのなかでも、
これはとても有名な一枚です。
ぼくらもこのポスターは大好きでしたので、
「わぁ」と言いながら近づいて、よく見て‥‥
びっくりしました。
これ、「原画」だったんです。
サヴィニャックさん本人が描いた絵、そのもの。
それが、ここに、あったのです。
なんだか、思いがけず、
憧れの有名人に出くわしたような気持ちになりました。
この原画を手に入れたときのことについて、
山下さんはこんなふうにお話してくれました。

「パリのギャラリーに何度か通ったんですけど、
 そう簡単に原画は売ってくれないんです。
 でもあるとき、『原画展をやるからいらっしゃい』
 と招待を受けて、いってきたんですよ。
 ぼく、その場で『どうしてもほしい』って言いました。
 そしたらギャラリーのマダムが
 サヴィニャック本人に電話をしてくれたんです。
 『日本人であなたの熱狂的なファンがいるんだけど
  なにか売ってもいい原画はないか』と。
 何枚かの原画をピックアップしてもらって‥‥。
 で、『チョコレートを食べてるのがいいんだけど』
 って聞いてみたら、『ウィ、いいですよ』って‥‥。
 ギャラリーのマダムが言うには、この原画、
 サヴィニャックの家の
 バスタブの下に丸めてつっこまれていたそうです。
 あんまり執着してなかった一枚なんでしょうね。
 ぼくにとっては、ほんとにラッキーでした」


そんな山下さんは、生前のサヴィニャックさんに、
一度お会いしたこともあるそうです。
サヴィニャックさんが晩年暮らしたトゥルーヴィルを
たずねていかれたそうで‥‥。

そのときのエピソードですとか、
サヴィニャックさんの魅力について、
ぼくらはたくさんお話をうかがいました。
とても、そのすべてをここでお伝えできないくらい。

ぜひ、このかわいいギャラリーに足を運んでみてください。
山下さんがいらっしゃれば、
貴重な原画の前で、親切にお話をしてくれるはずです。

原画は販売されていないのですが、
当時、実際に印刷されたオリジナルポスターは、
ここで購入することができるんですよ。


ポストカードや書籍などもありますし、


ビンテージのブリキ玩具とか、


かわいいヨーロッパの雑貨もたくさん。


気軽に、
お散歩気分でたずねてみてはいかがでしょう?

ギィ アンティック ギャラリー

東京都板橋区赤塚新町1−22−9
Tel/03−3939−0808
営業時間/11:00〜19:00(月曜定休)

※オリジナルポスターの購入をご検討のかたは
 あらかじめお電話で、山下さんがいらっしゃる日時を
 ご確認されることをおすすめします。
 オリジナルポスターのお値段については、
 ギャラリーにお電話でお問い合わせくださいね。

Guy Antique Gallery Web Site
http://www.guyantique.com/

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