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糸井 |
平さんは、まず
ガソリンの調達をしたり
物資を配ったりしてたんですよね。
そこからスコップ団になるまでには
どんな道のりがあったんでしょうか。
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平 |
そうですね‥‥あのころはみんな
ガソリンスタンドに並んで
横入りしたといってはケンカしたり、
スーパーで「おひとりさま3点まで」なのに
「あいつ、5点買ったぞ」という、
そういうちっちゃいケンカが絶えませんでした。
スーパーで5つ買うこと、
それが小さいことかといったらそうじゃない。
死活問題です。
ほんとうに「1点でも多く」という気持ちは
誰にだってあったでしょう。
ただ、そういうことを子どもたちに
あまりにも見せすぎたな、と思いました。
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糸井 |
そういう実感が、ありました?
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平 |
ありました。
僕自身はそういうことをできるだけ
やらないようにしようと思いました。
子どもたちの前で、自分が買ってきたものを
配ったりして、
「そういう大人だけじゃないんだよ」
ということを見せたい意識が
まずはありました。
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糸井 |
悪い言葉を遣えば、いわゆる
「ええかっこしい」ですね。
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平 |
はい、そうです。
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糸井 |
「ええかっこしい」というのは
人間にとって必要なところですね。
人が「ええかっこしい」の部分を
なくしちゃったら、つまんない。
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平 |
ええ。本性をさらけ出して
自分のこと以外は知らねえよ、
ということでいいのであれば、
この世の中はいったいどうなっちゃうのか?
もっと「ひどいこと」に発展する可能性も持った
思想のはじまりだな、と思いました。
だから、とにかく自分ががまんしてでも
僕は誰かのためにやるという姿勢を保とう、
と考えたんです。
だけど「できるのかな?」という疑問が。
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糸井 |
自信がなかった?
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平 |
自信はなかった。
やったことないから。
ただ、できる限りかっこつけようと思いました。
それならわかりやすいし、できる。
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糸井 |
スコップ団の、
「名乗るほどの者じゃございません」
という掃除のしかたは、
そこから来たんだね。
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平 |
はい。 |