- 糸井
- ぼく、今日の増田さんとの対談は、
「もしかしたら、すごく遠いところに
いる人かもしれない」
と思いながらやってきたんです。
- 増田
- そうですよね。
- 糸井
- だけど、それでもやってきたのは、
自分や「ほぼ日」が、
自分たちがいま想像できる範囲の中で
固まっちゃうのがいやだったんです。
「ほぼ日」の読者の人たちが
増田さんの表現をどう受けとるのかは
わからなかったけど、
まずは最初にこのカフェに来て座ったときの、
「おもしろーい」という感じ。
それでぼく、
「やっぱり勇気を出して、この人に会いたい」
と思ったんです。
そしたら‥‥今日もやっぱりおもしろかった。
- 増田
- 光栄です。
最初にこの場所が
糸井さんのアンテナに引っかかってくれたの、
ほんとにうれしいです。
- 糸井
- だってぼく、オープンの日を待ってましたもん。
- 増田
- まず、糸井さんの耳に届いたことに
スタッフがびっくりして、大騒ぎでした。
何を見たんでしょう。
ネットニュースとかですか?
- 糸井
- たぶん、ネットニュースでしょうね。
ただ、オープン初日は常連さんが来ると思って、
恥ずかしいから、数日後に来たんですけど。
- 増田
- すごい、わざと外していただいたんだ。
ありがとうございます。
いや、もう誰よりも早かったです。
オープニングにお呼びしたかたがたは
もちろん来てくださいましたけど、
そうではなく来てくださったかたの
第一号でした。
だからみんなで、
「やっぱりアンテナ鋭いんだ」って。
- 糸井
- とんでもないです。
だけどなんだろう、
「これは、これからの世の中に大きく関係するよ」
というものにはやっぱり、
嵐の兆候みたいなのがあるんですよね。
なんだかそれは、
ぼーっとしてると、届くんですよ。
それは永ちゃんもそうだったし、
デビュー直後のSMAPにも通じるようななにかで。
- 増田
- その仲間に入れていただいていいのか、
わからないですけど。
‥‥ぼく、もっと、がんばらなきゃ。
- 糸井
- いや、いまのままでいいと思います。
あと、おまけのように言えば、
きゃりーぱみゅぱみゅのことについて、
ぼくはよく知らないですから。
「そういう子がいて、おもしろいね」
とは思ってたけど、そのくらい。
ぼくは、アイドルがいい感じで活躍してるときには、
「ふつうの子っておもしろいんだよ」
ってことだとも思ってて、
活躍してるアイドルって、
ふつうの子のよさをみんな持ってる。
だから、きゃりーぱみゅぱみゅについても、
化ける、化けないに関わらず、
「たぶんこの人は、ふつうの子のよさを
ぜんぶ持ってるんだろうな」
という感じでいたんです。
- 増田
- うん、うん。
そうですね。
- 糸井
- 「ほぼ日」のお客さんはおそらく、
たぶんこの「カワイイモンスターカフェ」に
まったく縁がない人が多いと思うんですけど、
今日の話をきっかけに、増田さんのことを
おもしろがってもらえたらと思います。
- 増田
- 今日のお話から、あんがい興味を
持ってもらえそうなところ、ありそうですね。
- 糸井
- うん、どこかあるんじゃないかな。
いまってgoogleの検索と同じで、
「タグ」でつながる時代だと思うんです。
いろんなものにタグが付いてて、
重なったものは、みんな縁がある。
この対談自体、そういう時代のやりかたですよね。
ぼくが増田さんに興味を持って
「いちばん遠そうだけど、来てみました」
から始まってますから。
でも、遠くなかったじゃないですか。
- 増田
- そうですね。
むしろ、大先輩っていう感じでした。
- 糸井
- ‥‥この店に来るお客さんって、
いまはどうですか?
- 増田
- いまはまだ、そこまで多くの人には
知られていないと思います。
- 糸井
- それ、この店、
普通は最初に決めるはずの
「お客さんのターゲットは誰?」
みたいなことを、決めてないじゃないですか。
- 増田
- ‥‥あ、ばれてる(笑)。
- 糸井
- そりゃ、ばれてますよ(笑)。
というか、ぼくもよくいろんな仕事を
そうやってはじめてきたんです。
「ターゲットはどこですか?」
とか聞かれても、
「ぜんぶだよ。俺がおもしろいと思うものは
ぜんぶおもしろいんだから」
とか冗談のように言いながら。
たぶん、増田さんもそういうやりかたですよね。
- 増田
- そうですね、
とはいえ、それだけじゃ通らないから、
とにかく作ったものを見てもらうように
したりしています。
常に、一所懸命、
苦し紛れのようにいろんなことをやっていて。
- 糸井
- そっか‥‥でもたぶん、
みんなそういう経験してるんですよ。
永ちゃんズは。
- 増田
- 永ちゃんズは(笑)。
- 糸井
- しょっちゅう
「あ、誰も乗ってこないかも」っていう
危機意識を感じながら、
「おっとっと」と苦し紛れでやったことが、
おもしろい次の展開につながっていったりする。
永ちゃんだって、
そういう苦し紛れも通り抜けて、
いろんなことをしてきているから、いまがある。
「このままじゃ古くなる」と危険を感じたら、
あらためて若いバンドを組んで、
全国の小さな会場をまわったりとか。
アメリカに行く前だって
「ほんとにだめかも」ってくらいまで
真剣に考えてますから。
真剣に向かっていって、なんとかする。
それはね、みんな永ちゃんズなの。やっぱり。
- 増田
- 今日、ぼくは糸井さんが
もともと予想してた感じでは
なかったです。
- 糸井
- 逆だったんじゃない?
ぼくが、計算や予測がすごく得意で、
「ああしてこうしてこうすれば、
こうなんじゃない?」
みたいな人だと思ってたでしょう。
- 増田
- もしかしたらそうなのかな、と思ってました。
だけど、そうじゃなかった。
じつは「ハート系」というか。
意外と近いところにいらっしゃるんだなって。
- 糸井
- さんまさんからも言われたんです。
「糸井さん、そんなにいつも考えてばっかりで、
苦しくないですか?」って。
でも、もちろん考えてるときもけっこうあるけど、
それだけじゃない。
ハートもすごくだいじ。
だけどそんなに突っ張りじゃないのは、
突っ張ると人に迷惑かけるし、
周りの子や、うちの社員が泣くから。
- 増田
- (笑)
- 糸井
- じゃあ、またぜひ会いましょう。
- 増田
- はい。ありがとうございました。
楽しかったです。
- 糸井
- ぼくもです。ありがとうございました。
(増田セバスチャンさんとの対談は、これでおしまいです。
また「TOBICHI」での展示は
2016年1月23日より開催する予定です。
くわしくはまた「ほぼ日」上でお知らせします。
どうぞ、おたのしみに。)
また「TOBICHI」での展示は
2016年1月23日より開催する予定です。
くわしくはまた「ほぼ日」上でお知らせします。
どうぞ、おたのしみに。)
2015-12-30-WED