さーて、どのコンテンツが良かったなぁとか しゃべったほうがいいですか? そういうこと、みなさんお好きでしょうかね? |
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順位をつけて、発表してくださーい!(笑) | |
順位は‥‥つけられないかもしれないなぁ。 だから 可能性がある、という話をしましょうか。 |
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はい、お願いします。 | |
じゃ、さっそく。 永田さんがさっき言っちゃったんですけど、 「手」は可能性があると思います。 もっとメディアを大きくしても、やれそう。 |
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大きく、というのは? | |
ようするに、女性誌だとかテレビだとか、 そういう大きさのメディアでも この「手の話」ってできると思うんです。 というのも、 昔から「手の魅力」について考えてる人って、 たくさんいたんですよね。 |
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あ、そうなんですか。 | |
いや、ようするに、世の中にはね。 でも、表現をする人たちが そういう「手」の特集なりコンテンツなりを やらなかったというだけで。 |
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なるほど。 | |
おそらく、小さいメディアでやる場合には かるい変態の話に収まるんです。 だけど、大きな規模に広げてやった場合には 「手の魅力」が 明確な「得点」になるんですよね、その人の。 つまり、手が魅力的だったおかげで 急にモテるようになった人が増えたり あるいは「手」から派生して うなじや歯並びバージョンも出てきたりとか、 そういう広がりを感じます、コンテンツとして。 |
広がりという視点は、重要ですね。 | |
だから「見せかた」をどう工夫するかが、 これからの苦労じゃないかなぁ。 あのままだと、 やっぱり愛好家が猥談してるのと 同じに見えちゃって、 通りがかりの人を引き込めないんだよね。 |
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ああ、なるほど。つまり、広がらない。 | |
「たまんないよね〜」みたいな話で 終わらないための 表現上の工夫を、見てみたいですね。 それと、その「手」のチームは もうひとつ、 絵のコンテンツも作ってましたよね。 |
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はい。 | |
あちらも、大人と子どもの両方に 何を描いてもらったら面白いか、という問題を きちんと考えられていたと思う。 好きなもの、嫌いなもの、鬼、虫‥‥みたいな、 問題を出すちからがあったし。 |
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ええ、ええ。 | |
なにより、コンテンツの雰囲気からして 「あー、こいつら けっこう仲良く楽しくやってたな」 というのが想像できたんです。 |
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一人のものになっちゃうと‥‥。 | |
ふくらまないんですよ。 ほぼ日の作りかたでもそうなんですけど、 たったひとりで考えて どこまで走っていくっていうやり方では 面白くて 豊かなコンテンツって、作れないんです。 その意味でいうと、 あのチームはよくできてたなと思います。 |
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全員 | おおー。 |
あの‥‥平野レミさんの料理本で 「手」がイラスト表現になってる本があって。 料理やその他は、写真なのに。 |
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ええ。 | |
その理由について、夫の和田誠さんが 「料理写真に写る手っていうのは、 なまなましい。 手ってのは、すごく微妙なものであるから、 そのまま載せたくない。 だから、 出てくる手を、ぜんぶイラストにした」 とおっしゃっていたんですね。 養老孟司さんによれば、 解剖台の上の死体で いちばん表情があってこわいのは 顔よりも手なんだそうです。 だから、手っていうのは、 気持ち悪いものでもあるんですよ。 |
なるほど。 | |
ぼくも、はじめてこのコンテンツを見たときに、 ああ、これって 和田さんの言ってたことだなって思ったんです。 だから、このコンテンツで 手をタイプ別にグループ分けしたりする場合は 写真より 絵のほうがいいかもって、ちょっと思いました。 |
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マガジンハウスの「anan」が まーこ(日笠雅水さん)の手相観の本をつくるときは、 かならず、 上田三根子さんというイラストレーターに 手を描いてもらってるんです。 それはつまり、その人の描く手のイラストが、 気持ち悪くなくて、 手相観の本に出てきても不自然でないくらい リアリティもあるから、なんですよね。 |
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なるほど。 | |
そのへんは、見事ですよね。 それと「手が気持ち悪い」というのは、 他者なんですよ、手って。 |
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他者? | |
たとえば、 「熱いから触っちゃダメよ」って言われたのに わざわざ触って 「アチッ!」とか言ってる子どもいるでしょ? あれって、自分の身体の一部なのに 手ならどうなってもいいと思ってるわけで。 |
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ああ‥‥。 | |
あるいは、暗闇で何にも見えないときには かならず、手を前に出しますよね。 それも同じ。 他者なのに、自分の身体の一部でもある という気持ち悪さが、 つきまとうんだと思うんですよね。 |
なるほど、なるほど‥‥面白いです。 話を「ラブレター」に変えたいんですけれど、 いいですか。 |
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はい。 | |
糸井さん、さきほど ラブレターの宛先が人じゃない ということに、 すごく反応されてたじゃないですか。 |
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ええ。 | |
あれは、なぜ? | |
たぶん、ラブレターを思いついたときには、 「LOVE」が たっぷり、入ってたんだと思うんですよね。 でも、実際ラブレターを書く段になったら、 本当に書くべき相手と内容を隠して、 鼻毛とか、コンタクトとか、体脂肪とか‥‥。 |
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はい、はい。 | |
で、たいがい、隠してるところに その人の「いちばんやりたいこと」が 潜んでるもんなんです。 |
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なるほど‥‥。 | |
そこに真正面からぶつからずに 鼻毛とか、コンタクトとか、体脂肪にしちゃったんで、 残念だなあと思って。 |
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自分をさらけ出したほうが、 面白かったんでしょうか。 |
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フィクションですからってウソをついて 本物のラブレターを書いたら、 たぶん、 ここにいるみんなが、よろこんだと思う。 |
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なるほど。 | |
いまどき、すごく難しいと思うんですよ、 本物のラブレターを書くのって。 いったん「書くぞ!」という気になっても 絶対「立ち往生」しますよね。 |
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そうでしょうね。 | |
自分には、なんてちからがないんだと 思うかもしれないし、 これで通じるだろうかって 思い悩むかもしれないし、 うまく書けたような気がしたときには 素直によろこべるかもしれない。 それって、 見ていて面白かったと思うけどね。 |
全員 | ああ‥‥。 |
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だから「ああ、もったいない」と思って。 | |
全員 | あああーー‥‥。 |
別の言いかたをすると、 やっぱり「恥をかいておく練習」って、 学生のうちに やっておいたほうがいいと思うんです。 |
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あ、そうですね。 | |
おまえ誰々のこと好きだろうって言われて 真っ赤になってバレちゃったとか、 そんなのさ、 大人になったら、できないぞー! |
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全員 | (笑) |
その意味では、渾身のラブレターを書くことを 松家さんの授業とは関係なく おやりになったらどうでしょうかね、みなさん。 |
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全員 | ざわざわ。 |
それと「おばあちゃんがよく出てくる」理由も、 ぼくには、なんとなくわかるんです。 さっき 「最近の学生は、 おばあちゃんのほうを向いてるんですね」 みたいな話になったけど、 これは、大昔からそうなんですよ。 |
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ええ。 | |
つまり「おばあちゃん」という記号は、 ひとつには 「都市」に対する「田舎」であり、 「純粋」とか「無知」のシンボルでもあって、 「尊敬してます」とか言うと、褒められる。 つまり「ジョーカー」なんです。 コピーライティングや表現における 「おばあちゃん」というのは。 |
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なるほど。 | |
だから「おばあちゃん」を出してきたときには、 自分で自分を 「あぶねえな」と思ったほうがいい。 その表現は、使われ過ぎてますから。 |
はー‥‥。 | |
あと、おばあちゃんたちに 大学を体験してもらうというコンテンツで、 おばあちゃん、 最後に作文を書いてくれたんですよね。 |
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はい。 | |
あれ、おばあちゃん、偉かったと思うんです。 | |
それは、つまりどういう? | |
まだ、さまぁ〜ずがバカルディだったころ、 こういうギャグがあったんですよ。 喫茶店で 「ここのコーヒー、おいしいね」って言ったら 「じゃ、作文をお願いします」って。 |
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全員 | (笑) |
笑うけど、これ、本当にイヤだと思うんですよ、 作文を書かされるのって。 中学や高校のころ、みんな、イヤじゃなかった? |
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全員 | ‥‥‥‥。 |
そんなイヤなものを、 おばあちゃんは、書いてくれたんだから。 |
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だから「ほぼ日」のことで言うと、 「出てくれる人」がどう思うかというのは 相当プライオリティが高いです。 コンテンツを作るうえで、ぼくらの中では。 |
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そうですね。 | |
なるほど、出演者がどう思うか。 |
デザインの授業を受けるなんて、 ふだんのおばあちゃんの好奇心とは まったくちがうわけだから、 座ってるだけでも、 なかなか、つらかったと思うんですよね。 ようするに、 おばあちゃんがずっと大人だからこそ 付き合ってくれたわけで、 そのあたりに対する「畏れ」みたいなものを 持ったうえで、 あの企画をもう一回練り直したら、 すごく、いい企画になるんじゃないかな。 |
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うん、うん。 | |
ついでに言うと、宅急便のコンテンツで 「おばあちゃんからの宅急便」に 何が詰めてあったか‥‥を見せるだけで あれだけ面白いんだから、 あの部分は もっともっと、徹底的にやるべきでしたよね。 そこをもうひとつ磨けば、 「手」に勝つぐらい、面白かったと思う。 |
<続きます>