今回、勝手にコンテンツを作って 「ほぼ日」に持っていこうと言い出したのは 僕なんですけど‥‥。 |
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犯人!(笑) | |
はい、犯人は私です(笑)。 ‥‥でですね、 ゼミのみんなが迷ったり、悩んだりしたのは、 「自分たちがどういう立場で、 誰に向けて どういうふうにふるまえばいいのか」 という「スタンス」だったんです。 |
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はい、はい。 | |
つまり「ほぼ日」にウケるものを 作ったらいいのか、 あるいは 「ほぼ日」がビックリするものを 作ったらいいのか‥‥。 そこのところを、 みんなが それぞれに考え抜いてくれた結果が、 これらのコンテンツなんですね。 |
なるほど。 | |
ぼくは、このコンテンツの制作に関しては、 基本的に、放置プレイだったんですよ。 とにかく、君たちだけでやんなさいと。 2回だけ相談会みたいなものをやったんですが、 完成形は、今日はじめて見るんです。 |
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へぇ、そうだったんだ。 | |
糸井さんや「ほぼ日」のみなさんにとっては、 学生の「スタンス」って、どう思われました? |
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前回のときに、僕がいちばん厳しく‥‥ みんな、 ボロクソに言われたとかって言うけどさ(笑)、 まぁ、ちょっと厳しめに言ったのは 戦略的になり過ぎるなってことで。 |
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ええ、そうでした。 | |
つまり「言葉にしやすい戦略」なんて、 ぜんぶ役に立たないんですよね。 でも、学校の授業というのは そういうことばっかり教えたがるし、 今現在、いそがしく「実践」をやってる人って 学校の先生ではないですから。 |
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はい、はい。 | |
授業では、その「実践」を見て解説するから、 どうしても 言葉にしやすい「戦略」が語られるんだけど、 それだけを学んできた子は 世の中をわかった気になっちゃうんですよね。 でも、 全員が100点の答案用紙を出すことには 何の意味もないでしょう? |
はい、そうですね。 | |
そこを、早く壊したいんです。 | |
ははぁ。 | |
その意味で‥‥、 つまり「戦略」という意味での「スタンス」なら そこに時間を割くのはもったいないですよね。 たぶん、ぼくらが社内で企画を考えるときは、 そういう会議は‥‥一切ない。 さっきの「手フェチ」チームの人たちは 戦略的になんて ぜんぜん、考えてなかったと思うんです。 もともとが「手って、いいよね」だけだから。 でしょう? |
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はい。 | |
じつは僕‥‥きのう一日だけ ほぼ日の合宿に参加させてもらったんです。 で、その合宿のテーマが 「Don't think. Feel」つまり 「考えるな、感じろ」だったんですね。 この言葉が、すごくおもしろくて。 |
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あ、そうですか。 | |
このゼミは、おととしの4月に始まって この3月、 丸2年続けたところで終わるんですけど、 最初の1年は 『文藝春秋』とか『暮しの手帖』などの かつて国民雑誌と呼ばれた雑誌に どんな魅力があったんだろうということを 研究していたんです。 これって「think」ですよね。 |
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ええ、ええ。 | |
で、後半の今年1年で「ほぼ日」の研究を してきたんですが、 これもまた「think」だったわけです。 |
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はい。 | |
でも、今回、勝手にですけど 自分たちでコンテンツを作りはじめたら、 もう「think」してるだけじゃ もうダメだと、 たぶん、みんなが気づいてくれて。 「feel」を全開にして やってくれた感じがあったんですよね。 |
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ほー‥‥。 | |
僕は‥‥何ていうのかな、 すごく悩みながらコンテンツをつくってる 彼らの姿って、 見ていて、すごく気持ちよかった。 |
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‥‥だってさ。 | |
全員 | (笑) |
ちなみに「スロウライダー」は、どうでした? ある意味で、彼らは典型的で、 「この組み合わせに 本当はなりたくないんですよー」 みたいなことで 変にもめたりしてるのを見てたんですけど、 それが、おかしくて(笑)。 |
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あのコンテンツについては 典型的な言葉がひとつありましたよね。 |
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えー‥‥。 | |
「友だちとはしない会話」という。 | |
あ、はい。 | |
タイトルも それにしちゃえばいいんじゃないですかね。 |
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ああー‥‥。 | |
旅行に行こうが行くまいが、 ぼくらが、いちばん知りたかったのは、 「友だちとはしない会話」って 一体どんなものなんだろう‥‥ということ。 「友だちとはしない会話」 というジャングルを 探検しに行った自分たちを掘っていくほうが 面白かったと思いますね。 |
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なるほど。 | |
ただ、あとで褒めようと思ってたんだけど このチーム、 自己紹介の資料の写真の撮り方が すごく上手だったんです。 |
ありがとうございます! | |
ねえ、ぐっさん。 | |
はい、すごいよかったです。 | |
ほら。 | |
僕もね、この資料のファイルを開いたとき、 ちょっと、じわっとしたんです‥‥いや、本当に。 そこが伝わったのは、すごく、うれしいです。 |
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これは、見事ですよ。字も自分だしね。 この写真がこうして並んでいるところに 「友だちとはしない会話」って 書いてあったら、 俺、そのチームに入ってみたくなるなぁ。 |
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全員 | おおー。 |
テーマを「旅」にしちゃったおかげで、 「あるていどの面白さ」が 小さく保証されちゃったんですよね。 でも、それは捨てちゃったほうがいい。 |
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うん、うん。 | |
さっきの 「本物のラブレターを書いたほうがいい」 というのと同じように、 真正面からぶつかっていったほうが、 面白いものになるんですよ。 |
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‥‥ちょっと「Don't think. Feel.」に 戻っていいですか? 学生たちには話したんですけど、 これまで僕が 編集者としてやってきた仕事のなかで 「考えてやった仕事」って 実は、ひとつもなかったなぁって。 |
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そうだと思う。 | |
とにかく闇雲に 「僕は、これをやりたいんだ!」がまずあって、 その企画を通す段になって 営業部からああ言われ、広告部からこう言われ、 そこではじめて 「考える」にスイッチが入る。 最初から「考えて」、 つまり、こういう読者層が想定されて‥‥ みたいに考えて はじめた仕事はひとつもないんですけど、 そのことって 「Don't think. Feel.」という言葉を 聞かなかったら、気づかなかったんですよ。 |
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へぇー‥‥そうですか。 | |
どうでしょう、 せっかく、糸井さんとこうやって話す機会を いただいているわけだから、 みなさんから 何か聞きたいことがあったら‥‥どうですか? なかなかないですよ、こういう機会。 |
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そんなに意地悪なこと言ってないでしょ? | |
全員 | (笑) |
じゃ、いいですか。 さっき「手」のコンテンツの話をされたとき、 「もっと大きいメディア」 ということで テレビや女性誌を挙げてらっしゃいましたが、 インターネットというメディアは 大きいとは思いませんか。 |
大きいメディアにもなりますよね。 ぼくが言いたかったのは、つまり、 「手フェチ」という名前をつけてる段階で、 表現する側が「小さく」してるんです。 |
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ああ‥‥。 | |
変わった趣味を持った愛好家のみなさんが ヒソヒソ猥談してるって企画に見えちゃう。 それでは、いくら大きなメディアでやっても、 小さいコンテンツになっちゃいますよね。 |
先ほど「戦略的になるな」というお話を されていましたが、 僕は今、3年生で就活してるんですけど、 履歴書には、自己PRとか言って、 これまで、自分がやってきたことの中から 自分をいかによく見せるか、 まさに「戦略的に」考えて書いてるんです。 それについては、どうお考えですか。 |
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うーーーーーーん‥‥。 失敗すればいいんじゃないかねぇ? |
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おお(笑)。 | |
‥‥失敗? | |
就職活動って いろんなことを身につけたふりしたけど、 けっこう無駄だったなあとか、 そんなものとは 別の理由で決まったんだなって気づくのに やっぱり、けっこう時間かかるんですよね。 だから 「俺、昔、その失敗をしてるんだよ」 という話を 後から来る後輩にしてあげられるように いろいろやって 失敗しておくしかないんじゃないかな? |
私、大学に入ってから、 まわりの人たちが すごく知識が豊富だったりとか、 すごく自信がおありで‥‥。 |
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全員 | (笑) |
どんどん自信をなくしてしまって。 自分は知識とかも薄いし、子どもっぽいし、 恥ずかしいって 思うようになっちゃったんですけれど、 今日の「戦略的にならない」のお話を聞いて、 そんな私でも、 やっぱり自分の思ったことはきちんと言って、 やりたいことをやるというのが 大事なのかなと思ったんですけど‥‥ どうでしょうか? |
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うん、それだけまとめてしゃべれたら、 もう満点じゃないですか? ねえ。 |
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ええ。 | |
つまり、自分自身の自己像が明確で、 今いる場所がどういう場所で、 でも、今後どうして行きたいかということが ぜんぶ、しゃべれてるわけだから。 それが、知性ってもんですよ。 |
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ありがとうございました! | |
うん、大丈夫ですよ、あなたは。 |
糸井さんと、あと松家さんにも お聞きしたいんですけど、 悩んだときに、どこを向いて生きてきましたか? 僕の場合は、やっぱり「笑顔」というか、 「泣くより笑って過ごしたい」 というのが、 現時点の自分のゴールだと思っているんですが、 そういう「軸」と言いますか‥‥。 |
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僕はね、大学に5年いたんですけど、 ひたすら「逃げて」ました。 直面しない。 悩みからは逃げて逃げて逃げ回っていたから、 誇れるような答えは、僕にはできません。 だから、みなさんを見てると、 本当にえらいなあと思います。 |
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僕は‥‥何だろうな。 今、一生懸命考えているんだけど‥‥ 点数が低かったんですよね、自分に対する。 だから、助かったと思う。 とにかく、大学やめて働き出したとき、 メシ食えてるってだけで 俺ってすげえなと思ってたくらいなんで、 そこをベースにしてたから、 あんがい強かったのかも、俺の場合は‥‥。 |
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‥‥。 | |
ごめん、あんまりいい答えになってないな。 あなた、今おいくつ? |
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23になりました。 | |
僕が歳をとってから知った考えかたで すごく「ああ、それいいなぁ」と思ったのは、 吉本隆明さんが言う 「自問自答すること」なんです。 |
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はい。 | |
まだね、僕も本当にわかってるのかどうか‥‥ わかりませんけど 自問自答するという考えは、いいなあと思う。 つまりさ、今、ウダウダ悩んでる自分が 実は、けっこう好きだった場合、 自問自答の結果、そのままでいいじゃない? |
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ああ‥‥。 | |
でも、自問自答してみて 「別の自分のほうがいいなぁ」と思ったら、 変わっていけますよね。 |
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うん。 | |
そんなこと思ってますね、今は。 | |
ありがとうございました。 | |
‥‥そろそろ時間も遅いので、 このへんにしておきますか? おいしそうなごはんも 用意されてるみたいだし(笑)。 |
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今日は、本当にありがとうございました。 | |
ありがとうございました! | |
いえいえ、こちらこそ楽しかったです。 じゃあ記念写真、撮りましょうか。みんなで。 |