「しいたけ占い」などで人気の
占い師・作家のしいたけ.さんによる、
ざっくばらんな悩み相談室です。
みなさんからの青春の悩み相談と、
しいたけ.さんのお返事を、
毎回ひとつずつご紹介していきます。
恵まれているのに
すごく苦しい。
送ってくれたひと
ぱんだ 18歳 女
2001/5/25生まれ
しいたけ.さんへの相談
しいたけ.さんこんにちは。
私はずっとしいたけ占いが大好きで、
いつかしいたけ.さんとお話が出来たらな、
と思っていたので
こういう場が出来たことをすごく嬉しく思います。
私は今高校三年生で、お友達には恵まれているし
家族も優しくて何も悩むことはないと
自分でも思っているのですが、
ただ毎日朝起きて学校に行って帰ってきて
寝るという生活がすごく苦しいです。
授業に出て座っているだけでも
人一倍エネルギーが消費されている気がしています。
頑張りたいとは思うのですが、頑張ろうと思うと
体が動かなくなる時があります。
将来特に目指していることもなく、
今打ち込んでいる趣味もないです。
少しだけでも毎日を楽に過ごせるようになりたいので、
良かったらアドバイスをください。
私のマイブーム
最近は飼っている犬2匹を膝に乗せて、
暖かいココアを飲みながら映画を見ることにハマっています。
そうすることで少し心が回復する気がします。
こうして「しいたけ占い」を読んでくださっている方々と
お話ができる機会をもらって、僕も本当に嬉しいです。
いつもありがとうございます。
このぱんださんの質問に対しては、
完全に僕の憶測で答えていきます。
なので、ちょっと見当違いなことを言ったらごめんなさい。
変なことを言いますよ?
いま、時間って
「自分の手で作っていかなければいけない」
とされているじゃないですか。
もっと具体的に言うと、
「いま」を過ごしている僕らは
「未来」へ向かっていかなければいけない、
とされている。
だからいまの人たちは、けっこうみんな
「あなたはどうしたいんだ?」と、
自分の未来の方向性について
常に問われているような感覚があるのです。
その台詞のままでなくても、ある時期を境に、
そういう要求に応えなければならない雰囲気が
出てきたりする。
で、ぱんださんはいま高校三年生で、
「お友達には恵まれているし
家族も優しくて何も悩むことはないと
自分でも思っているのですが」
と言っている。
でも、読んでいくと、日常生活で
かなりエネルギーを使っていて、
体が動かなくなることがある、という話も出てきます。
これは僕の推測なんですけど、いまのぱんださんは、
「『いままでの時間』から『これからの時間』に
自分を切り替えなければいけない」
と、強く感じすぎてしまってるんじゃないでしょうか。
昔、タイトルは忘れたんですけど、
熊が主人公のギャグ漫画を読んだんです。
主人公が子熊のときは冗談を言ったり、
じゃれたり、お母さんと仲良く暮らしている。
でもある日、自然界では必ずあることなんだけど、
この子熊は、それだけ仲が良かった
お母さんに追い出されるんです。
そのとき、ギャグ漫画だったはずなのに、
そのシーンだけお母さんが
まるでバケモノみたいに描かれていて、すごい怖かった。
子熊の時間は常に「いま」なのです。
いま、お母さんから狩りを教わる。
いま、お母さんのぬくもりを感じながら寝る。
いま、おいしいものを食べる。
でも、この子熊が若者になって
大人の世界に一歩を踏み入れたら、
「これから」の時間に
取り組んでいかなければいけない。
それって、すごい怖いことでしょう?
いまのぱんださんには、それと同じことが
起こっているんじゃないかと思うのです。
ここで一言だけアドバイスをさせて下さい。
自分が「あら、この程度で?」と思うことに
つまずきを感じてきたら、
「周りに迷惑をかけるタイミングがきた」
と思ってほしいのです。
はじめは怖いと思います。
でも「ちゃんと迷惑を掛ける時間」を練習していくと、
後の人生がまぁまぁ楽しくて、
まぁまぁお気楽に過ごせるようになります。
僕はこれまで占いをしてきて、
めちゃくちゃに弱りきった人たちのことも
見てきたのですが、
その人たちに共通した項目があったんです。
それは
「周りの人からの期待を断れなかった」
そして
「いつも周りに良い報告をしようとやってきた」
ということなのです。
あんまり大きな声では言えないけど、
「あの人に会うのはすごく疲れるから、
そろそろ仮病を使おう
‥‥もしもし、本当に申し訳ありません。
ええ、ええ、はい、すみません
‥‥ひゃっほー! よし、ゲームをするぞ!」
とか、ほんのわずか
「悪」の成分がある人っていますよね。
実は、そういう人のほうが、
なんとなく楽しそうな、幸せそうな道を
選んでいっている気がするのです。
僕がいま大好きでお付き合いのある
友人や仕事関係の人も、おでこにうっすらと
「悪」の文字が刻まれていると思います。
だから、ぱんださんもこれから
「試みとしてちょっと甘えてみる」ことを、
やってみてほしいのです。
「自分のレベルを下げて、
甘えとか弱さの側に行ってしまったら、
帰ってこれないんじゃないか」
と思えて怖いかもしれません。
でも、知らなかった世界を知ることって、
常に良いことなのです。
ある用事をサボることで、
「平日休むとこんなに幸せなんだ!」
と新しい世界を知れたりする。
人生という時間には、頑張ることも必要だけど、
ちょくちょく栄養剤としての
「新しい世界を知る幸せ」を感じることが
必要なんじゃないかと、僕は思います。
(明日につづきます)
2020-03-02-MON