「しいたけ占い」などで人気の
占い師・作家のしいたけ.さんによる、
ざっくばらんな悩み相談室です。
みなさんからの青春の悩み相談と、
しいたけ.さんのお返事を、
毎回ひとつずつご紹介していきます。
休むとはどういうことか
わかりません。
送ってくれたひと
しーちゃん 31歳 女
しいたけ.さんへの相談
休むとはどういうことかわかりません。
4月に転職して新しい仕事を始め、6月末で辞めました。
職場の空気に馴染めず、
精神的に辛くなってしまったからです。
今は実家で過ごしています。
仕事を辞めて5日ほど経ちましたが、
泣くことをやめることができません。
ずっと泣いているわけではないのですが、
ふとした拍子に涙が溢れてくる状態です。
カラオケにいっても歌詞が自分の心に刺さり、
辛くなってしまいます。
家族や友人は優しく
「今は疲れてるから休むときなんだよ」と
言ってくれているのですが、
休むという行為がどういうものなのか
よくわからないのです。
わたしは早く回復して社会復帰をしたいのです。
人に必要とされたい、強くそう思うのです。
家族や友人も早く回復してほしいと思っています。
しいたけさん、休むとはどういうことなのか教えて下さい。
私のマイブーム
在職中できなかったことに挑戦中です。
なんとなく視界に入るものを明るくしたくなって、
髪をダブルカラーして金髪っぽくしたり、
マニキュア、ペディキュアをきれいに塗れるよう
頑張っています。
僕のお仕事の付き合いのある方で、年に一回
ブラジルのサンバカーニバルに行く方がいるのです。
その方はあるときに
ブラジルのサンバカーニバルに心を打たれ、
毎年行くようになったそうなのです。
一年のうちのあるシーズンに
「来週からブラジルに行きます」
というお知らせをいただくと、
「あ、もうサンバカーニバルのシーズンになったのか」と
なんだかこっちまでその空気を吸い取って、
ほのぼのとした気持ちになるのです。
それでですね、なんでこんな話をしたかというと、
多分、人には「頑張れなくなる周期」って
あると思うんですよ。
仮の名前として
“頑張れない君”が来訪するときがある。
で、この“頑張れない君”は
あるていど話が通じるときもあるけど、
半分以上は話は通じません。
話の通じなさで言うと、風邪よりも
もうちょっとだけ話が通じにくい。
ほら、風邪って
「今はごめん、体調悪いのはわかっているんだけど、
今日だけは頑張らないといけないんだ」
ってときには
「わかった。じゃあ、ツケとくよ。
その代わりこの激務が終わったら必ずまた現れるからね」
と立ち去ってくれたりするでしょう。
まぁでも、本当は風邪引いているときに
頑張らない方が良いのだろうけど。
その一方で、“頑張れない君”はとつぜん来ます。
「え、今忙しいの? 知らない知らない。
だって、僕だってけっこう待ってたわけだし。
チャイムの音聞こえなかった?
あなた7回もう僕のことを無視したよ?」
と言って、急に部屋の中に入ってくる。
ちょっとふざけた回答に聞こえるかもしれないのですが、
人は人生の中で何割か、
“頑張れない君”のご機嫌取りをしなきゃいけないというか、
せめて「あのときは無理に頑張ってくれてありがとう」と
お礼を言うべきときがあると思うのです。
だって、それは無限機関ではないから。
“頑張れない君”も、自分も、
体力があり、精神力があるけど、
それは有限のものだから。
“頑張れない君”が自分の居間に居座って、
どうにもこうにも動いてくれないとき。
そのときっておそらく、体力的な疲れもそうだけど、
色々なことに歯を食いしばって頑張ってきて、
心が動かなくなってしまっている状態なのだと思います。
心ってね、
「この人に喜んでもらおう」とか
「期待に応えよう」とか
「この成果は出さないといけない」とか
「もう心配かけちゃいけない」とか、
他人の顔色を大事にしすぎたまま生活していると
だんだんと動かなくなってしまうのです。
一番初めに話したブラジルのサンバカーニバルの人。
この方がサンバカーニバルに行く前の顔つきを
僕は知りません。
サンバカーニバル後のその方しか知らない。
でも、そのサンバカーニバル後のその人のほうが
良い顔つきをしてると思うのです。
だってね、カーニバルの話をするときのその人は、
まるで幼児なのです。
その人はサンバカーニバルに
“頑張れない君”も連れていっていると思います。
一緒にサンバを楽しんで、
「じゃあ、また頑張ってみようか」と
一緒に肩を並べて成田空港に着くのだと思います。
いきなりサンバカーニバル級の楽しみなんて
見つけなくて大丈夫です。
でも、もしよければ今日から自分の中の
“頑張れない君”にはお礼を言ってみて下さい。
「今日ね、ありがとうね。1ミリ頑張ってくれたね。
疲れたでしょう?」とか。
そして、ときには“頑張れない君”と
共犯関係になってください。
「今日はね、無理だったね。くくく」って。
すでにお気づきだと思うのですが、
“頑張れない君”は大切な自分の一部です。
自分って「ありがとう」と言われていないと
だんだんと心が動かなくなっていくのです。
だから、まずは自分が自分に向かって
「ありがとう」と言う必要があります。
先のことが不安になったときには
「大丈夫大丈夫。あなたツイているから」と
根拠のない励ましをしてあげてください。
そして、もしこれから先、
少しずつ幸せになりたいと願うなら。
そしたら、ほんの少しだけ
不謹慎に生きようとする自分を許してあげてください。
不謹慎というのは、体調が優れない日も
「私は悪だからちょっとお菓子も食べちゃうよ。ひひひ」
と言うことなのです。
反省部屋みたいなところに24時間いてはいけない。
できたら1日1回は反省部屋からちゃんと出て、
自分なりに楽しめることをしてみる。
好きなアニメでも良いし、読書なんかでも良いです。
それができるようになったら、
1日に何回か、反省部屋から出ること。
「それはそれ、これはこれ」と、
大胆な自分も持ってみる。
そして、これも大事なことなのですが、
自分の興味があることを
やっているときや見ているときは、
一瞬だけ「あれ、悩みなんてあったっけ?」と
忘れる自分があっても良いです。
24時間反省部屋にいちゃダメです。
どんな環境でも、心は動かしていて良いわけだから。
少しずつ心を動かしてみてくださいね。
(次回は10/18更新です)
2020-10-15-THU