ほぼ日の見習い乗組員、宇宙鳥のシジュちゃんは、
「なんかやることないかなぁ」と
ブラブラしてばかりの日々を送っていました。
そこで、みなさんのお役に立つことが
自分の新たな使命ととつぜん思いつき、
活動することにしたそうです。
最初に向かったのは北海道。
4週間しか収穫できない、めずらしいくだもの
「ハスカップ」の農園のお手伝いです。
銀の鳥はちゃんとお役に立てたのでしょうか。
みなさんこんにちは、
宇宙鳥のシジュだジュよ。
北海道のあつま町で、
ハスカップの収穫の
お手伝いをしているんだジュ。
今日はいよいよ収穫したハスカップを
食べてみるよ。
これが、あつま町産のふたつの品種だジュ。
じゃじゃーん。
前回紹介した、
山口さんちのおばあちゃんが、
「すっぱいハスカップは嫌だ」の情熱で残した、
おいしい品種だジュ。
このふたつの品種は、ハスカップで
2番目と3番目に
品種登録がされたんだジュよ。
それまではみんなひとくくりに
「ハスカップ~」と呼んでただけだったんだって。
山口さんちのおばあちゃんが
このふたつの品種を栽培で増やしたことで、
ハスカップを生で食べる習慣がうまれたんだジュ。
「おばあちゃん前とおばあちゃん後」では
くっきり時代が分かれてんの。
すごいことだジュよ。
2世代前くらいの人たちは、
生で食べてなかったんだからね。
でもシジュは、手がまるいし、
こうしていただくことにします。
もぐもぐもぐ‥‥。
このときの気持ちを、
どう表現すればよいだろう。
働いたあとだったからかなぁ、
(ぜんぜん働きもしなかったけど)
まるでパラダイスでした。
まず、あつまみらいは、
あまさとすっぱさがちょうどよくて、
さわやかで華やかなフルーツだった。
むりに例えると、
ブルーベリーにプルーンとレモンをたして、
かおりを豊かにしたかんじだジュ。
そして、ゆうしげ。
あまさに深みがあって、うまかった。
むりに例えると、
ブルーベリーにぶどうをたして、
味をふかくした感じだジュ。
このふたつ、こうおつ、つけがたし!
いやぁ、うまい。うまい、うまい。
ありがとう、山口さんとこのおばあちゃん!
ああ、
みんなに食べさせたいよ。
みんな!
北海道にこれを食べに来るべきだジュよ。
4週間くらいのあいだしか食べられないから、
いまからカレンダーに◯つけて
(6月下旬から7月下旬くらいだジュよ)
しかし、なんとここで
鳥のミミヨリインドア情報。
冷凍のハスカップだったら
年中食べられるんだって。
ああ、そりゃそうだよね、
ほかのフルーツでも冷凍はあるもんな。
きっとネットで探すと手に入ると思うだジュ。
しかし、できたらいつかは、
「あつまみらい」と「ゆうしげ」を
生で食べてほしいな!
広い農園で、もいでは食べ、もいでは食べ、してほしい。
あつま町では、ハスカップが
保育園にも植わってるらしいよ。
みんな大好きなんだジュな。
シジュも、鳥だけにとりこになっちゃった。
なーんつって。
それから、
ゆみこさんはシジュに
おつかれさまー、といって、
「あつまみらいのソーダ」をくれたんだ。
これは、あつまみらいのシロップを
ソーダで割って作るんだって。
これが、んもう、うまかっただジュ。
ハッキシ言って、
今回おしまいまで食べたものをぜんぶ含めて、
(記事にはしなかったけど
空港でたらふく食べたジンギスカンも含めて)
これが最高だった。
あつまみらいが大粒でそのまま入ってて、
あまくて香り高くてすっきりしてて、
しずんだ実をもぐもぐする食べごたえもあって。
ああ、こうして記事を書いているいまも、
あのソーダが飲みたいよう。
冷凍のハスカップを買って、
シロップを作れば、あのソーダになるのかな‥‥。
(そして通販サイトを検索するシジュだジュ)
いかんいかん、現場に戻ろう。
そしてシジュは、このお昼休憩中に、
最初のゆみこさんとの往復書簡にあった、
ハスカップの木にある
鳥さんの巣を見せてもらったんだジュ。
ねぇ、ゆみこさん。
そういや、どうしてハスカップって
北海道にしかないの?
「北海道にしかないわけじゃないんだけど、
日本最大の群生地が
北海道の厚真町にある勇払原野で、
みんながそのハスカップを栽培しはじめたから、
ここでは盛んになってるんだよ。
北海道以外に分布地として
知られているのは、カナダ。
寒さと山の雪解け水が
環境としては共通しているから、そのせいかな。
でもじつは、ハスカップの原種があったのは
シベリアのバイカル湖あたりなんだって」
シベリア‥‥!
「ハスカップは湿地帯に向く特徴があるの。
厚真町の近くにはバイカル湖とおなじく、
渡り鳥が来るウトナイ湖があるんだよ。
毎年、その湖に寝泊まりして厚真の落穂を食べに、
渡り鳥が来るの。
去年は特に、その渡り鳥がいっぱい来たんだ。
地震が稲刈り前に起きたせいで
みんな収穫ができなかったから」
そっか‥‥。
鳥たちも、なんでお米がこんなにあるのか
わからなかっただろうね。
「うん、そうだろうね」
シベリアのハスカップの原種は
どうやって北海道までやってきたんだろうか。
「なぜだと思う?」
なぜかしら。
「それは、鳥だよ。
渡り鳥たちが
種を運んできたんだよ」
ふんをして!
「そう。それが湿地に根づいて、
勇払原野に増えた。
渡り鳥たちのおかげでいま、
私たちはおいしいハスカップを食べています」
シジュと同じ、鳥のおかげで。
「シジュちゃんも、
みんなとあつまをつないでくれる、
宇宙の渡り鳥だね」
同種ながらほんとうに、
鳥はすごいなぁ。世界をつなぐね。
やるなぁ。
そんな自画自賛の感動のまま、
シジュがくちずさんだ
ハスカップの歌を、本日はみなさまにお届けいたします。
ハスカップのソーダの作り方
「あつまみらい」または「ゆうしげ」の生の実は
なかなか手に入らないので、
通販などで冷凍をゲットしたみなさまに、
ハスカップソーダの作り方を
かんたんにお伝えします。
<材料>
冷凍または生のハスカップ
砂糖
炭酸水
まずはハスカップのシロップを作ります。
鍋にハスカップを入れ、ハスカップの重さの
70%の量の砂糖を入れます。
軽くかきまぜたら、
ひと晩(8時間くらい)そのまま置いておきます。
鍋を火にかけ弱火で1時間程度煮て、
粗熱をさましたら完成です。
清潔なびんなどに入れて、冷蔵庫で保存しましょう。
ハスカップの実がつぶれてしまわないよう
まぜすぎないのがコツです。
そのシロップを、
冷やした炭酸水でお好みの濃度で割って飲みます。
おいしいです。ぜひ。
ゆみこさんは、電子鍋の「ホットクック」で
作っているんですって。
まぜずに煮ることができるので
実がつぶれないのだだそうです。
冷凍のハスカップは、ソーダやシロップのほか、
バナナやヨーグルトといっしょに
スムージーにしてもいいし、
グラノーラに入れてもグーだそうです。
アイスクリームや生クリームとの相性がバッチリ。
塩漬けにして、おにぎりにも挑戦してみてください。
2019-08-08-THU