みうら |
(目を閉じて県くじを引く)
こりゃ、ちっさい県だねぇ。
岐阜? |
ほぼ日 |
宮城県です。
初の東北ですね。 |
みうら |
宮城県かぁ。
‥‥宮城県の思い出は、
長くてもいいですか。 |
ほぼ日 |
はい。大歓迎です。 |
みうら |
宮城というのは、
この位置からわかるように、
実は仙台なんですよ。
これは、意外と知られてないんですが。 |
ほぼ日 |
‥‥いやいや。 |
みうら |
もう「宮城」と呼ばないで、
「仙台」と呼んだほうがわかりやすいじゃないか、
ということでしょうけども、
それじゃシャレがきいてないから、
「宮城」と言っているわけです。
「仙台」と言ったら
みんなに「ああ!」って言われるけど
「宮城」と言ったら
イメージがちょっとぼけるでしょ?
それが宮城のよさ、
奥ゆかしさということなんですよ。
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ほぼ日 |
なるほど。 |
みうら |
手で湾を表現するのが流行っているんですが、
知ってます?
この、指でぎざぎざしているところが
岩手県のリアス式海岸です。
親指の付け根が、湾になってるでしょ。
この下が宮城県なんですが、
この微妙な、
岩手県と宮城県の
どっちに入ってるかわからないような場所が
気仙沼(けせんぬま)です。 |
ほぼ日 |
気仙沼。 |
みうら |
ここでぼくは、気仙沼ちゃんの話を
させていただきたいと思っているんです。
昔、しろうとが
欽ちゃん(萩本欽一さん)にスカウトされて
テレビに出演することを機に
大ブレイクすることが、頻繁にありました。
イモ欽トリオをはじめ、
歴代、いろんな方がおられます。 |
ほぼ日 |
欽ちゃんの番組は、
いろんなものが毎日放映されて
大人気でした。
どれもよく憶えています。 |
みうら |
そういえば、こないだ欽ちゃんはテレビで
66歳をおやじと呼ばせないよー、
なんて言ってたでしょ。
あれは、まちがってますよ。
おれは、おやじは55までだと思ってます。
55から上は、おやじじゃなくて
おじいさんなんです。
「呼ばせないよ」じゃなくて、
もうおやじの範疇に入っていない、ということに
気がついてないというところがまた、
欽ちゃんは、すばらしいんですけどね。
「おやじと呼ばせない」じゃなくて
「おやじと呼べないよ」が
正しい表記です。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
話を戻して、
「欽ちゃんのドンとやってみよう!」
って番組、ありましたよね。
そのなかで、欽ちゃんの見つけた
しろうとさんのなかに
気仙沼ちゃんという女の人がいて、
人気を博した時代がありました。
気仙沼ちゃんは、当然、気仙沼出身です。
そして、気仙沼ちゃんは、番組終了とともに
気仙沼に戻られました。
気仙沼から船でちょっと行ったところにある
大島という島で、
旅館業をなさってる方と結婚されたんです。
ほら「気仙沼ちゃんの宿」って
書いてある、これ。
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ほぼ日 |
これは、みうらさんの事務所にいつも
ふつうに置いてある灰皿ですね。
気仙沼ちゃんの宿「アインスくりこ」‥‥? |
みうら |
ええ。これは、宮城の思い出のために
ずっとここに置いてあったんですよ。
この「アインスくりこ」の意味が
ちょっとわからないんですけど。 |
ほぼ日 |
わからないですね。
しかも、この「アインスくりこ」灰皿、
内部にびっしり教訓が書いてあります。
一日を楽しくしたいなら床屋に行け。
一年を楽しく過ごすなら家を建てよ。
一生を楽しく送るつもりなら結婚せよ。
すごい。
しかもぜんぶ宿泊に関係ないです。 |
みうら |
でね、ぼくは旅人ですので、
宮城県に行ったときに
ふと気仙沼ちゃんに会いたくなって、
船に乗りました。 |
ほぼ日 |
その、大島に渡る船ですね? |
みうら |
ええ。船着場に、みやげもの屋がありました。
「カモメのエサ」って書いて売ってるんだけど、
どう見てもかっぱえびせんなんですよ。
それじゃ「人のエサ」なんです。
そのエサを買って、ぼくは船に乗りました。
船上でエサを取り出して
かっぱえびせんを指で持っただけで、
カモメがピューッと取っていくんです。
「やめられないとまらない」
というもんですよ、カモメの野郎も。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
そんなことを楽しんでいたら、
すぐに大島に着きました。
世間では、なにやら、
旅館に「アポを取る」とか
言うらしいですね。
昔、ジャイアント馬場さんも
「アポー」とおっしゃってた。
しかしここは旅人だ。
アポは取らずぷらっと行って、
「気仙沼ちゃんのファンです。
会いたいんですけど」
と言ってみました。
そうしたら旦那さまが出て来られて
もうウェルカム、ウェルカムと、
大広間に通されました。
そのとき、ぼくは知り合いと
5人くらいのグループだったんですけど
刺し盛りをバーンと出していただきまして。 |
ほぼ日 |
面識もないのに。 |
みうら |
ええ、面識もないのに。
ウニがうまいと言ったら、
生きてるウニをバーンと切って、
食べさせてくれるんです。
「ワー」なんて言ってたら
いよいよ気仙沼ちゃんの登場です。
みんなで記念写真を撮りました。 |
ほぼ日 |
歓迎されてよかったですね。 |
みうら |
そこは、小さな山の頂上あたりにある
旅館なんですよ。
「帰り道、山を下りる途中に
頂上が見えるところがあるから、
そこでいったん
車を停めて上を見てくれ」
と言われました。
「そんなポイント、どこなんだろうなぁ」
なんて仲間と言いながら、
山を下りる途中に、ためしに見上げたら、
頂上付近で夫婦が国旗を
振ってるんですよ。 |
ほぼ日 |
‥‥ははは。 |
みうら |
夫婦で、2本。
みなさんも、旅館のおじさんやおばさんに
帰り際に手を振られた経験はあるでしょう。
しかし、旗を振られることって
あまりないことではありませんか。
もう、茫然とするしかありませんでした。
それは、何かのメッセージかもしれない、
よくわからないです。
よくわからずじまいで帰ってきたという話です。
それだけです。 |
ほぼ日 |
ありがとうございます。
‥‥気仙沼以外の宮城県については
何かないでしょうか。 |
みうら |
さとう宗幸という方の
「青葉城恋唄」が大ヒットになって
仙台が盛り上がったことがありましたね。 |
ほぼ日 |
ええ。 |
みうら |
しかし、鎮火しました。
なぜ鎮火したのか。
調べに行ったところ
青葉城は現存していない、
ということがわかりました。
そのかわり、青葉城跡地に
青葉城をCGで見られるコーナーがあります。
CGで組んだ青葉城を鑑賞して、
ポカーンとして帰るのも
また一興だと思います。 |
ほぼ日 |
CGで、という考えはすごいですね。 |
みうら |
それと、伊達政宗公の顔出し看板は
アイパッチのまんま顔を出すんです。
これは意外ですよ。
顔ハメ界でもそうとう珍しいんじゃないかな。 |
ほぼ日 |
ところで、みうらさんの旅は
いつも旅館はノンアポなんですか? |
みうら |
ゴールデンウィークとかには
行かないから、
だいたい泊まれます。
だいたい泊まれるんだけど、
だいたい不審者の扱いです。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は、
下の動画でどうぞおたのしみください。 |