群馬県で
真の自由について考え、
歩みを止めそうになりましたが、
次に進むことにしました。
次の県は、みうらさんの大好きな
あの人たちがいる場所でした。
三重県 海女NIKEを提案します。
みうら
(県くじを引く)
これは石川県じゃないでしょうか?
ほぼ日
違います、三重県です。
みうら

三重県はエビの祭りで有名なんですよ。

ほぼ日 エビ‥‥ああ、伊勢エビですね。
みうら
伊勢の「伊勢えび祭り」っつったらね、
ちょっとそばに行っただけで
「すごい!」と気づかれると思います。
ほぼ日
どういう祭りなんでしょう。
みうら

エビラという、
怪獣マニアだったらピーン! と来る、
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』
に出てきた、エビの怪獣がいるんです。
そんなエビラのような巨大エビが
山車の屋根にドーンと乗っていたり、
あちこちのポールにくっついていたりします。
車などを運転したりする方は、気をつけないと、
エビがものすごく視界に飛び込んできて、
事故を起こすかもしれないぐらい、
エビがいます。
三重県がエビのオブジェ地帯ならぬ、
エビジェ地帯と化します。

ほぼ日 そんなに。
みうら

しかし、みなさんも意外と
気がついているとは思いますが、
伊勢エビは食べるところが少ないんですよ。

ほぼ日 パカッと開けたら、身がちょっとしか
入っていませんね。
みうら

パカッと開けて、
ケシゴムが3つぐらい入ってるような
筆箱ですもんね。

ほぼ日 ‥‥筆箱?
みうら

あれはちょっと筆箱がデカすぎますよね。
でも、ま、おいしいですけどね。

ほぼ日 そうですね。
ええっと、エビ以外に、そうですね、
伊勢神宮なども三重県です。
みうら

ああ、伊勢‥‥そういえば、伊勢の夫婦岩が
ずいぶん形が変わって、
浸食されてきているんですよ。
夫のほうは大きいんですが、
嫁のほうがちょっと小さくなっている、というか、
ま、実家のほうに入られた、
という感じでしょうか。
ナリを潜めている雰囲気なんです。

ほぼ日 ご結婚がだんだん
つらくなってきているんでしょうか。
みうら

はい、なにか、息苦しい感じで、
昔の家制度を感じさせられました。
いまの若い人だったら耐えきれないだろうな、
というぐらいの、小ささになってましたよ。

ほぼ日 ご苦労がしのばれます。
みうら

まあ、三重県というと当然、
海女の話をしないわけにはいかないですよね?

ほぼ日 そうですね。
みうら ね? 三重県は『潮騒』なんていう小説の
舞台にもなりました。
えー、ミキモトの横から入って
ちょっと行ったところに、
海女スタンドと書かれた舞台があります。
ほぼ日 スポットじゃなくて、
スタンドなんですね。
みうら

海女スタンドです。
マニアでない方は
何のことかホワイ?
という感じでしょうけれども
マニアからしたら、
海女が出る! という、
ガソリンスタンドみたいなものです。
海女スタンドの前の海では、
海女さんが船からドボンと落ちて
アワビを獲るというショーが
連日行なわれています。
ところでぼくは、かつて「ほぼ日」で
海女については熱く語りましたっけ?

ほぼ日 2回ほど、いただきました。
「海女に恩返し」
おっしゃったりして。
みうら

ぼくはそのとき、
熱く語りましたか?

ほぼ日 はい。
「そんなに好きじゃなかったものを
 無理に好きになることこそが真の“好き”だ」
という話まで行った記憶があります。
みうら

そこまで話が行きついていますか。

ほぼ日 しかし、何度みうらさんにおうかがいしても
海女のよさについて、
悔しいですが、いまいちわかりません。
みうら

ぼくも、海女スタンドに行くまでは
半信半疑でした。
ヤングのときだったら
きっと気づかなかったでしょう。
自分もある程度歳をとって、
海女レベルになっていた、ということも
あると思います。
ま、つまり、海女さんって、
そんなにお若くないんで。

ほぼ日 ああ。
みうら

若い頃はやっぱり若い人が好きでしたが、
ストライクゾーンが広がったこともあり、
ちょっと高めの歳の人がいいんじゃないかと
思いはじめた頃、海女を見に行ったら、
バッチリの年齢の人
ドボンと海に入っていらっしゃったわけです。
白装束に水がピターッとくっついて、
お尻のところに気泡みたいなものができて、
お尻が4つぐらいに見えるんですよ?

ほぼ日 ははは。
みうら いまは若い海女の方も
デビューなさっていることですし、
「ダイビングが好き!」と言って
沖縄あたりに行っておられるみなさんは
そろそろシフトしてもいいんじゃないでしょうか。
だって、ダイビングの人もアワビ獲るでしょ?
ダイビングと海女の違いはなんなのかな?
アワビの形状ですか?
ほぼ日 いや、まずは
お仕事とレジャーの違いじゃないでしょうか。
みうら お仕事とレジャーが一挙両得なのに。
ほぼ日

あとは、素潜りとシュノーケルの
違いも大きいかと思われます。

みうら コスチューム問題は大きいでしょうね。
NIKEかどこかが取り組んで
「海女NIKE」みたいな商品が出れば、
気に入っていただけることでしょう。
ほぼ日 アマナイキ‥‥。
みうら

三重県の駅には、
中尾ミエさんが
貝殻の中から海女の格好をして
出てきている、
「中尾三重県」というポスターが
貼ってあったりしました。
それで若い客をゲットしようとしているんです。

ほぼ日 なるほど。
みうら それほどヤングを呼びたいという気持ちが
三重県にはあると思います。
ですから、「海女NIKE」で
海女とNIKEがコラボすれば
ほんとにいいと思うんですよ。
そういうことによって地方は
活性化していくんです。
安倍さんから変わってからも、
地方に目が届いてないでしょ。
あの方もあまり漫遊していないと思います。
ほぼ日 いま、福田首相も、
いろいろと大変かと思いますけれども。
みうら 山積みでしょ。
ほぼ日 いろんな問題が。
みうら 三重県のことまで、まだ目が行ってないでしょ。
ほぼ日 ええと、もうちょいですね。
みうら ね? そこをちょっと残念に思いますね。
そこは任せてくれればいいのに、
とは思ってますけどね。
ほぼ日 え?
みうら

いろんな方が
観光大使などをやられているなかで
思うんですが、
みんな実はその場所に、
そんなには行っていないんですよ。
それは、ベストジーニスト賞の人が
そんなにはジーパンをはいていないのと
似ているんです。
観光大使は、ぜひとも
「行っている人」にしてください。
ぼくはたくさん行って、
ここはこうしたほうがいいとか、
毎回、思っていますから。

ほぼ日 それで、「海女NIKE」を提案したり。
みうら はい。そういうことって
重要だと思うんですよ、ほんとに。
ほぼ日 ありがとうございます。
みうら ありがとうございます。
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。

日本一短い地名と言われる
三重県の県庁所在地、津を
長くしようという目的で、
(つまり、歌にして
 「なんとかかんとかツーーーーー」と言えば
 長くできるじゃないか、という発想で)
みうらさんは、あのすばらしい
「勝手に観光協会」をはじめられたそうです。
みうらさんは、田中角栄さん以来の
日本列島改造論を打ち立てていらっしゃいます。
この連載、毎回
話が大きくなって終わるパターンが
つづいておりますが、
年末に向けて
さらに大きくまいりたいと思います。
また来週、次の県に移ります。

2007-12-02-SUN
みうらじゅんさん&安斎肇さんが
結成した「勝手に観光協会」作の
すばらしい三重県ご当地ソング
「潜ってエスパーニャ」を
どうぞお聞きください。