みうら |
青森県は、この季節、いいですよ。
ぼくね、ファンタジーが嫌いなんですよ。
ファンタジーという言葉がいやなんです。
ファンタジーとかファンシーとか。 |
ほぼ日 |
つまり、ファンが? |
みうら |
ええ、ファンが嫌いなのかもしれません。
ランジェリーのほうが好きです。
ということは、
ジェリーが好きなのかもしれません。 |
ほぼ日 |
そうですね。 |
みうら |
しかし、この季節はどうしても、
日本はファンタジーになるんですよ。
川端康成さんの
「トンネルを抜けると雪国であった」
みたいな一節が、各地で登場してくるんです。
どこか抜けると、もう全部が雪国です。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
それはなぜかと思ったら、
トンネルは雪が降らないから
なんですよ。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
みうら |
トンネルまで雪が降ってると
台無しですからね。 |
ほぼ日 |
そりゃそうですね。 |
みうら |
ですから、バーンとトンネルを出ると
銀世界ということになります。
こんなにファンタジー嫌いなぼくでも
「コロボックルはどこにいるんだ」とか、
「野うさぎを探してみたいな」という
気持ちになったりするんです。
「ライオンが出てきて、
どこかへ導いてくれるんじゃないか」
なんて、それじゃ
リアル・ナルニアの世界になってしまいますね。
しかし、そのナルニア国が日本にあったんです。
それが青森県です。 |
ほぼ日 |
‥‥と、おっしゃいますと? |
みうら |
日本のナルニア国には、
当然、キリストの墓もあります。
そこへは五戸(ごのへ)から行くんですが、
近くの人に、
「キリストの墓はどこですか?」
と聞いても、
「知らね」
って言われるくらい秘密なんですよ。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
ぼくは事情がよくわからなくて、
バスに乗ればよかったのに
タクシーに乗ってしまい、
1万円以上かかってしまいました。
ナルニア国ですから、いろんな動物が
ぼくに語りかけてくるんです。 |
ほぼ日 |
‥‥ほう。 |
みうら |
「キリストいるよ?」とか、
「不思議な魔法、かけてあげようか?」とか
おもにそれは、運転手さんなんですけど。 |
ほぼ日 |
はははは。 |
みうら |
運転手さんは、
「もう帰れなくなるよ、おまえ」
なども言ってきます。 |
ほぼ日 |
電車がなくなるからタクシーに乗れ、
ということでしょうか。 |
みうら |
そして、そこでは
ナニャドヤラというお祭りが開催されます。
響きがちょっと
ナルニアと似てるでしょ? |
ほぼ日 |
ナニャドヤラですか? |
みうら |
お祭りの現場にいても、
その意味はわかりませんでした。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
まぁ、ファンタジーです、ファンタジーですよ。
キリストの墓のところには、
何回かキリストさまが来日されて、
そこで亡くなられたということが
記されていました。
キリストの墓の横には
キリストの伝承館があります。
ご存知のとおり、ぼくは会館が好きなので、
行くことにしました。
ぼくが行ったのはちょうど
クリスマスイブの前の日でした。
しかし伝承館には
「春まで休館」と書いてありました。
‥‥ふつう、やってるもんじゃないですか。 |
ほぼ日 |
ふはははは。 |
みうら |
ふつう、盛り上がってる時期じゃないですか。
赤プリだって1ヶ月くらい前から
ネオンが点灯しているというのに、
本場は電気すらついてないなんて、
いや、ほんとうにファンタジーです。
びっくりしました。
そこから弘前方面に向かいますと、
大釈迦(だいしゃか)という駅があります。
大きい釈迦と書きます。
タイトルを見て思わず飛び降りてしまいました。 |
ほぼ日 |
タイトルじゃなくて、それは駅名です。 |
みうら |
そこにも何かファンタジーが
あるに違いないと思ったら
やっぱりありました。
そこの山で、インドから来られたお釈迦さまが
悟りを開かれたということでした。 |
ほぼ日 |
またですか。 |
みうら |
お釈迦さまはその後もう一度インドに渡り
仏教を広められたと記してありました。
それはクラッとくるほどのファンタジーです。
もう、ランジェリーと言っていいくらい
クラッときました。 |
ほぼ日 |
たしかにクラッときます。
青森県では、そんなおおごとが
次々と起こっていたんですね。 |
みうら |
しかも、キリスト伝承館から
タクシーで5分も行かないところに、
ピラミッドがあるんです。
日本のほうがエジプトより先だということが
そこには記されていました。 |
ほぼ日 |
ファンタジーだらけですね。 |
みうら |
そのように青森県には
ファンタジーがいっぱいです。 |
ほぼ日 |
知りませんでした。 |
みうら |
青森県は、語りきれないほど、
いいところなんですよ。
だって、恐山もありますもんねぇ。 |
ほぼ日 |
まったくですね。 |
みうら |
恐山は賽の河原というところに
石が積んであります。
「ひとつ積んでは母のため」ってね。 |
ほぼ日 |
そうですね。 |
みうら |
ここで、オリンピック競技の
スキーを考えくださいよ。
あの旗を倒すと気持ちが悪いですよね? |
ほぼ日 |
旗を、倒すと‥‥? |
みうら |
賽の河原を歩いていると、
積んである石が
ものすごく足に接近してくるんです。 |
ほぼ日 |
ほう。 |
みうら |
スキーのあの旗のように、足に接近します。
友達とばか話でもしていようもんなら、
石を転がしてしまう場合があるわけです。
そこはスキーの方法で切り抜けていかないと、
倒しまくりになってしまいます。 |
ほぼ日 |
参考になります。 |
みうら |
それから、恐山には
霊場アイスというものが売っています。
それはそれは、冷たいアイスです。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
霊場アイスは、
霜がカッチンコッチンになっています。 |
ほぼ日 |
味は?
バニラ味みたいな感じでしょうか。 |
みうら |
いや、味もわからないくらい、
シャリシャリになったやつでした。
一度、食べていただければ、
霊場の厳しさがわかると思います。 |
ほぼ日 |
食べてみたいと思います。 |
みうら |
あ、そうそう
青森県の太宰治さんの斜陽館の近くに
羽柴秀吉さんという方の大邸宅があります。
国会議事堂を模したお家で、
ぼくはそこに宿泊させてもらったことがあります。
部屋の名前は「鶴の間」とかじゃなくて、
郵政省とか、文部省とか、
そういう名前になっております。 |
ほぼ日 |
すごいですね。 |
みうら |
ぼくは、テロ事件があった直後に行ったので、
羽柴さんが
「ウチのピンタゴンがヤバイ、
ピンタゴンがヤバイ」
ということを何回もおっしゃっていました。
「ペンタゴンですよね、ペンタゴンですよね」
と、ぼくは何回も訂正したんですが
「そ、ピンタゴンがね」
とおっしゃるだけでした。
ペンタゴンは、きっと、青森弁では、
ピンタゴンなんですよ。 |
ほぼ日 |
それは、ファンタジーですね。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |