みうら |
今回、いちおう断っておきますが。 |
ほぼ日 |
何でしょう?
|
みうら |
ビジュアルについて
ちょっと断っておきたいんです。
──ぼく、50歳になりまして。 |
ほぼ日 |
あ! おめでとうございます。 |
みうら |
ありがとうございます。
50歳になって、
人生のシェイクスピア期を
迎えており、リア王を演じているつもりなもので、
髭が生えています。 |
ほぼ日 |
‥‥? |
みうら |
つまり、人生で演じているキャラクターが
いま、リア王に変わったんです。
『リア王』は読んだこともないんですが、
とりあえず、今日は
リア王に訊いてる感じにしておいてください。 |
ほぼ日 |
では「リア王に訊け!」という気持ちでいきます。 |
みうら |
いいですね。
ま、とにかく、50歳からの何ヶ月間かは
リア王の時期を迎えていますので、
みなさんよろしくお願いします。 |
ほぼ日 |
(ややこしい‥‥)よろしくお願いします。 |
みうら |
(県くじを引く)
くじが少なくなってるじゃないですか。
もう終わりが見えてきましたね。
あ、大きい県ですよ、これは。 |
ほぼ日 |
はい。北海道の北部ですね。
(北海道は南北に分けました) |
みうら |
はい、はい、いいですね、いいですねぇ。
摩周湖‥‥霧の摩周湖っつってねぇ。 |
ほぼ日 |
はい、はい。 |
みうら |
霧が、ほんとにすごいんですよ。
「霧の摩周湖」という歌が有名でして、
「まさか今日は霧の摩周湖じゃないだろうな!」と
思って行ったら、霧の摩周湖なんですよ。
3回ぐらい行きましたが、
ぼくは結局、摩周湖は見たことがありません。
見たのは霧です。 |
ほぼ日 |
霧で湖が見えないんですか? |
みうら |
真っ白です。何も見えません。
横にみやげもの屋さんがあるんですが、そこで
「ここに何回も来たんだけど、
いっつも霧なんですよ」
と言ったら、お店の方に
「よかったですねー、霧の摩周湖だもん!」
と言われました。 |
ほぼ日 |
でも、いつも湖が見えないのも‥‥。 |
みうら |
ええ、ずっと服を着たまんまの人を
見ている状態なんです。
一度も水着姿を見たことがない感じです、
摩周湖は。 |
ほぼ日 |
なるほど、もどかしいですね。 |
みうら |
あとね、北海道の北部といえば、
網走の刑務所の記念館がありますよ。 |
ほぼ日 |
また記念館ですか。 |
みうら |
はい。網走刑務所記念館
(正しくは博物館 網走監獄)、
そこが見たくて
ぼくはわざわざ北海道の北を巡る
ツアーに申し込んだんです。
ところが、そのツアーの途中で
「今回のツアーに網走刑務所は入っていません」
と、突然言われまして。 |
ほぼ日 |
ええ?? |
みうら |
お客さんが何人か
同じ観光バスに乗っていたんですが、
不平を漏らしたのはぼくだけでした。
あまりにも不平を漏らしたせいで、
「わかりました」ということになり、
ぼくだけタクシーを手配してもらって
わざわざその記念館に行きました。
そのくらい楽しみにしていたんです。
だって、ぼくが見た歴代の夢の中で
もっとも怖いのは
刑務所に入る夢ですから。 |
ほぼ日 |
怖い夢ナンバーワンが「刑務所」ですか。 |
みうら |
はい。
『それでもボクはやってない』という映画が、
去年、いちばん怖い映画でしたね?
数あるホラー映画の中でも、
いちばん怖いホラーだった。 |
ほぼ日 |
ホラーじゃないです、あれは。 |
みうら |
刑務所に入ると、
いろいろ作業をさせられたりしますでしょ。
ぼくにはね、
エロスクラップとか、
日々、やりたいことがいろいろあるんです。
それを止めさせられることほど
怖いことはありません。
やっぱり、これまでずっと
自由人でやってきましたんでね。
自由人にとっていちばん怖いことは
刑務所に入ることなんです。 |
ほぼ日 |
用心していても、冤罪とか、
いつふりかかってくるかわかりませんね。 |
みうら |
そうですよ、怖いですからね。
刑務所にハサミを差し入れしたら
それでアウトなんですから。 |
ほぼ日 |
つまりは、エロスクラップをやりつづけたい、
ということですね。 |
みうら |
ええ。昨日の段階で199巻になりました。
これがズボッと欠番になっていくことが、
この世の中でいちばん怖いことですよ。 |
ほぼ日 |
ええ、たしかに。 |
みうら |
だから、その怖さを体験しておこうと思い、
網走刑務所の記念館は
ぜひとも見ておきたかったんです。
あれはマネキン受刑者というのでしょうか、
マネキンの方が雑魚寝したり、
一緒にお風呂に入ったりして、
刑務所のようすを再現してします。
また、重い大八車のようなものを引いて
作業されている後ろの風景の部分が
ジオラマになっていました。
そこに、受刑者の方の5倍ぐらいの大きさの
熊の剥製が置いてあるんです。
グリズリーどころじゃない大きさの
熊が襲っているところで
大八車を引いて作業されてるんですよ。
ものすごく恐ろしい、ジオラマです。
そのほか、マネキン受刑者の方が
刑を執行されて、ものすごく苦しい顔を
されているんですけども、その顔が
平成では生まれない人の顔なんです。
昭和丸出し──というか、縄文人に
近いぐらいの人たちです。
それを見るにつけて、
「ああ、怖い、
罪を犯さないでおこう」
と思うんです。そう思いたかったから、
ぼくはそこに行ったんです。
ほんとうにしたいことがあって、
それを止めさせられることが嫌な人は
罪を犯してはいけません。
逆に言うと、趣味がある人は罪は犯せない。
それがよくわかる記念館ではあったと思います。 |
ほぼ日 |
趣味が犯罪の抑止力になるということですね。 |
みうら |
そういうことから、ぼくは「怖いもの見たさ」で
受刑ものの映画やドラマを見るのが好きなんです。
松本清張さんの小説にはまったのも、
そのホラー度からです。 |
ほぼ日 |
ホラーじゃないです、あれは。 |
みうら |
トリックのすばらしさとかには
あんまり気がいかなくて、
「悪いことしたらこんな目に遭う」という
怖さだけで読んできました。 |
ほぼ日 |
はああ、なるほど。
ありがとうございました。 |
みうら |
あれ? もういいんですか?
屈斜路湖のクッシーの話もしてないですよ? |
ほぼ日 |
はい、はい、そうでした、お願いします。 |
みうら |
鹿児島県の池田湖にはイッシー、
広島県の比婆山にはヒバゴンがいた、
あの昭和30年代〜40年代の
続々とUMAが登場した時代に、
屈斜路湖にもクッシーが出現しました。
しかし、いまはクッシーの話を
あまり問う人はいません。
屈斜路湖ではアイスクリームが有名で、
いまではアイスクリームのほうが
クッシーよりも勝ってるようでしたが、
屈斜路湖には、ブルーの体をした
クッシーの像が立っています。 |
ほぼ日 |
目撃された方が建立されたんでしょうか。 |
みうら |
その看板には当然
「クッシー」と書いてあるんですが、
「クッシー」よりも大きな字で
「損傷した人は100万円」と
書いてありました。
そっちの文字のほうが大きいということが
みんなをドキドキさせています。
そこだけは言っておきましょう。 |
ほぼ日 |
網走の熊といい、屈斜路湖の賠償金といい、
スリル満載な場所なんですね。 |
みうら |
それから、北海道の足寄(あしょろ)という町に、
松山千春さんの家があることは
もうご存知だと思います。
足寄駅には「足寄駅」という案内看板より
ビックリするほどに大きな字で
「松山千春」と書いてあります。
「松山千春」っていう駅なのかな? と
思うぐらいの大きさです。
駅の2階が
松山千春さんの記念館になっています。 |
ほぼ日 |
駅の‥‥! |
みうら |
これだけかなと思ったら大間違いで、
町を歩くと、
「松山千春の家はここ」という
指差し看板がいくつも並んでいるんです。
千春さんの家に近づくと、
すごい大看板で
松山千春さんの家は近い
ということが書いてあります。 |
ほぼ日 |
「近い」ということが。 |
みうら |
ご自宅に行ってみると、
またものすごい特大看板が2枚、
駐車場だか納屋だかの屋根の上にあります。
向かって右がフサフサの頃の千春さん、
左が現在に近い千春さんの絵の看板です。
その2枚がビフォー・アフターのように
並んでいて、ビックリします。
ほんとうに、ビックリします。
うわぁ、北海道って広いな、
でっかいな、と
みなさんも思うにちがいありません。
初期の頃のファンの方には馴染みのある顔、
現在のファンの方にはこちら、
つまり「親切」ですよね。 |
ほぼ日 |
ああ、なるほど‥‥。
松山さんにプライバシーは、ないんでしょうか。 |
みうら |
ないと思います。
ご自宅の向かい側には、観光バスが
停まるぐらいのでかい広場がありました。
きっと観光ルートになってるんでしょう。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |