ほぼ日 |
今回は、千葉県です。
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みうら |
千葉県、いいねえ。 |
ほぼ日 |
千葉県は、大きいですね。 |
みうら |
千葉県というと、いろいろありますね。
しかし、その中でも、
特筆すべきことを教えるコーナーですもんね? |
ほぼ日 |
あ(笑)、いや、そうですね、
無理なお願いだと認識しております。 |
みうら |
ほんとうはすべての町のことを
言いたいんですけども、
その中でもとりわけ、
この短い時間にとりわけ、ですもんね? |
ほぼ日 |
お願いいたします。 |
みうら |
では、まず御宿(おんじゅく)を選びましょう。
ここは御宿の海女祭りが、当然、
語られるべきところです。
海女さんがおられる場所は
日本全国にありますけれども、
海女祭りは、たいまつを手に持った
たくさんの海女さんが夜の海に入って行く
とても幻想的な祭りです。
海女のことは、三重県の回で
さんざん語ったとは思いますが。 |
ほぼ日 |
はい、はい。 |
みうら |
わかっておりますけれども、
ここの海女祭りについては、言わせてください。
さきほど言いましたように、夜に海女さんが
1列になって海に入って行かれるんですが、
実は、お祭りは昼間からやっております。
「今か今か!」「今か今か!」
もう最後には
「今か今か!」コールが
「海女か海女か!」
になってるぐらいの盛況ぶりです。 |
ほぼ日 |
夜の盛り上がりをみなさんが
たのしみにされているということなんですね。 |
みうら |
でね、その、最前列に歩く海女さんの年齢は、
ぼくぐらいの方でした。
歩く順番というのはふつう、年功序列です。
「あれ?」と、
「トップが俺かよ」と思ったんですが、
年功序列で、どんどん年を取っていかれて、
最後のほうはものすごいお年の海女さんでした。
スピーカーからは、ちょっと音が割れた、
ピンクフロイドのようなプログレのような
音楽が鳴っています。 |
ほぼ日 |
ますます幻想的ですね。 |
みうら |
たいまつの光が夜の海に
きれいに映るんですけれども、
じーっと見ていると、
後ろのほうの海女さんの金歯も
光っていることがわかります。
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ほぼ日 |
はははは。 |
みうら |
それほどまでに
海は映していくんだということが、
わかるお祭りでした。 |
ほぼ日 |
ええっと、千葉県といえばほかにも、
成田空港、ディズニーランド、
九十九里浜などたくさんあります。 |
みうら |
ああ、九十九里浜というと、プロモビデオですね。 |
ほぼ日 |
プロモーションビデオ、
昨今は「PV」といわれるやつですね。 |
みうら |
MTVでプロモビデオが頂点を極めましたね。
しかし、1990年代に入ってからは、
プロモビデオを扱う番組が
少なくなってきまして、最終的に
テレ東の深夜枠に落ち着きました。
テレ東の深夜枠、とくに
深夜から朝4時〜5時ぐらいまでのあいだ、
ロシアンルーレットのように
ビデオが流れる、あの枠をご存知でしょうか。
いちばん最後の人はもう
10秒ぐらいしか放映されない
あの番組を垂れ流しのように見ていて、
わかったことがあります。
あの時間帯に流れるビデオのうち、たいがいは
九十九里浜で撮影されています。
つまり、予算のないプロモビデオは
九十九里浜で撮っていると思って
間違いありません。 |
ほぼ日 |
そうなんですか。 |
みうら |
ぼくは「青春ノイローゼ」という、
シングルCDを出したんですが、
プロモビデオの撮影は、当然、九十九里浜でした。
海辺にラジカセを持ち込んで、
曲を薄く流しながらギターを弾いたり、
あるときはギターも置いて、手ぶらで
カメラに向かって歌いました。
それはそれはトンマな図で、道行く人たちの
「誰? 誰?」
という声が耳に届きました。
しかし、そこは耐えてやりきりました。
ビデオは夕方までしか撮れませんから。 |
ほぼ日 |
そりゃ焦りますね。 |
みうら |
撮影後は近くに蛤を焼くところがありますんで、
そこで軽く打ち上げをして帰るのが
低予算プロモビデオの定説でした。
千葉県にはシェイクスピア記念館もあるんですよ。 |
ほぼ日 |
え‥‥ええっと、
シェイクスピア・カントリー・パークと
いうようですね。
いらっしゃったことがあるんですか? |
みうら |
もちろん行きましたよ。
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ほぼ日 |
‥‥日本中は、
いろんなゆかり(縁)で
いろんな記念館があるんですね。 |
みうら |
はい。日本中はもうゆかりだらけです。
油断しているとすぐ
「ゆかりゆかり」言い出します。
何かご質問があればどうぞ。 |
ほぼ日 |
はい。では、読者のOTさんからのメールです。
「自分は千葉県に住んでいますが、
全てにおいて中途半端なところが好きです。
位置的にも自然も気候も特色も半端です。
世界の気温が上がって水位が上昇したとき、
日本で真っ先に沈むのが千葉県だそうです」 |
みうら |
あのね、いまはそんなに
入ることはないと思いますけども、
昔は五右衛門風呂というものがありました。
ドラム缶のような鉄製のお風呂で
薪を燃やして
下からお湯をあたためる方式のお風呂です。
小学生のときのぼくの家がそうでした。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
お風呂の底に足がつくと
素材が鉄なだけに熱いので、
円形の木の板を下に沈めるんです。 |
ほぼ日 |
足もとに板を敷いて
湯槽に足が当たらないようにするんですね。 |
みうら |
ただ、その板は
木でできているので、浮くわけです。
浮いて大変なんです。
一方を沈めると、
逆側からブーンと上がってしまう場合があります。
次に反対側を押さえると一方がまたブーンと出る。 |
ほぼ日 |
はい、はい。 |
みうら |
ですから日本も、
五右衛門風呂で考えると、
千葉県をぐっと押すと
石川県のあたりが
ブーンと上がってしまうんですよ。
石川県を踏むと千葉県が上がるわけです。
そうやって、たまに出たり、
引っ込んだりしてるだけのことです。
スイッチだってそうじゃないですか。
押すほうと押されるほうで
そういうしくみになっています。
考えてみてください、もっとも浸水しているのは
どこでしょうか。真ん中なんですよ。 |
ほぼ日 |
日本を五右衛門風呂やスイッチに見立てると、
たしかにそうですが‥‥ |
みうら |
ずっと浸水しているのではなく、
浮き沈みがあるのは端のほうです。
そういう意味では、人生もそうですが、
浮き沈みがあったほうが
波瀾万丈でおもしろいじゃないですか。
真ん中の、なにかいっつもぬるま湯に
浸かってるようなことではいかんと思います。
人生は、やっぱり
波瀾万丈あってこそのものでしょう。
浮き沈みは
外因からどんどん攻められることもありますが
自分から沈んだように持っていくことも
必要なんじゃないでしょうか。 |
ほぼ日 |
浮き沈みがないのは寂しいですね。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |