「旅のチカラ・シアワセの編み方を探して ■中村裕さんのプロフィールはこちら |
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▲アラン諸島にて撮影中。左が中村裕ディレクターです。 |
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10日間のロケを通して、良い意味でしつこく、 そんな番組をつくった中村裕さんが、 「色を奏で、いのちを紡ぐ 志村ふくみさん・洋子さんの世界を 中村裕さんの事務所を訪ね、 |
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中村 | ある日、昔からの知り合いのプロデューサーに、 いっしょにお仕事しないかと誘われたんです。 内容を聞いたら、 「染織家の番組をつくりたい」 そんなことを急に言われて。 ですから最初は、 「難しくてとてもぼくには撮れません」 とお答えしました。 人間国宝と聞いただけでおじけづいてしまうし、 なにより着物の知識がぼくにはぜんぜんないんです。 自分の手に負える対象ではないと思いました。 そんなふうに感じていたとき、 洋子先生の講演を聞きに行ったんですね。 場所はたしか静岡だったかな。 その講演を聞いて‥‥ 「この方のおっしゃっていることは、 非常におもしろい」と。 ‥‥おもしろいって、失礼な言い方ですね。 とにかく、強く心に響いたんです。 |
─── | 中村さんの心に響いたものは、具体的には? |
中村 | 志村ふくみさんと洋子さんの人生です。 人生が仕事に深く関わっているということ。 女性としての幸せや 生きるエネルギーを、 どんどん仕事へと傾注していくご様子。 |
─── | それを、撮りたいと思った。 |
中村 | そうですね。 その角度からなら、 自分にも関われるんじゃないかと。 じゃあやってみようと、まずは、 ふくみ先生と洋子先生の本をぜんぶ読みました。 |
─── | ぜんぶ‥‥。 |
中村 | そして、 インタビュー、撮影、編集と。 時間や費用をかけられなかったので、 集中してつくりあげた記憶があります。 |
─── | 着物のことをわからないまま、 一気にのめりこんだのですね。 |
中村 | ええ。 着物の前にじっと座って それをわかろうとしていたら、 たぶんいつまでも撮れなかったと思います。 なんて言うんでしょうね‥‥ できあがった先生の着物が「草花」だったとしたら、 地中に張り巡らされた根が、 「考え」や「感情」や「思想」や「知識」など、 様々なものを吸い上げて、 それで、あのみごとな 「草花」をつくっているんです。 それはやっぱり、すごいことだと思いました。 先生の人生を知ることで、 着物が、ぜんぜんちがうものに見えてくるんです。 |
中村 | あとはそう、この作品はですね、 ふくみ先生と洋子先生、 「おふたり」を描くものにしようと思いました。 |
─── | 〜染織家 志村ふくみ・洋子の世界〜 という副題がついています。 |
中村 | はい。 洋子先生の着物も、ほんとうに素敵です。 そして洋子先生は、 ご自分たちの次の展開を常に考えていらっしゃる。 ふくみ先生にとっては、 とても刺激的な存在なのではないでしょうか。 |
『しむらのいろ―志村ふくみ・志村洋子の染織』(求龍堂)より 写真:大石芳野 |
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中村 | 「はじめての志村ふくみ」という意味では、 そうですね、 このDVDを観ていただくのもいいと思います。 でも、志村先生の世界を新しく撮った 10分くらいの映像もあるんですよ。 |
─── | 10分くらいのものが。 |
中村 | はい。フリーで観られる映像として。 |
─── | フリー。無料で。 |
中村 | ええ。 先生たちのされていることを 世界に届けようと思って、 前にDVDをいっしょにつくったスタッフたちと、 短い作品を撮り直したんです。 「しむらのいろ」をテーマにして、 日本の、京都での紬織りと、 志村先生の思想をわかりやすくまとめました。 |
─── | それは、観せていただけるのでしょうか? |
中村 | 大丈夫だと思います。 展示会などでお使いくださいと、 先生にお渡ししてますので。 |
─── | ああ、たのしみです。 きっと、 きれいな映像なのでしょうね。 |
中村 | きれいですよ。 ご覧になってください。 |
2014-11-28-FRI
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