友森 | 最近はお年寄りが猫を飼ってて 飼えなくなるケースが多いようです。 子猫が生まれる時季は子猫の処分が多いんだけど、 そういう場合は大人の猫もセンターに入ってくる。 知らない場所に来た猫はみんな 「シャーシャー」になっちゃって さわれないし、すぐに処分だったんです。 家族によって持ち込まれた子も、処分でした。 でも、成猫であっても、 うちもほかの愛護団体さんも、保護します。 この前、愛護センターの人が 猫のシェルターを見にきてくれました。 「シャーシャー」だった子が ドテーンとなってるのを見て、 「成猫も、日数かければ慣れるんですよね。 やっぱりなるべく残しておきます」 とおっしゃっていました。 年寄り猫も残してもらえるようになったし、 あとは老犬を持って来ちゃえば、 行政で処分する動物がいなくなっちゃう。 そうやって、みんなでどんどん連れてきて、 欲しい人にもらってもらえばいい。 |
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中川 | そういうことですね。 | |
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糸井 | 今、東京都の殺処分数って、 あきらかに減っているんでしょ? |
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友森 | 減っています。 昔は、センターが愛護団体に 「この子、明日処分なんです」なんて言っちゃうと、 どの団体さんもめいっぱい保護してて 受け入れられない状態でいることがほとんどで でも処分はしてほしくないから感情的になって、 「絶対その子を処分しないで」と 保護しないくせにとめちゃったりしたことがあって、 ややこしいことになってた。 だから、処分することをなかなか 教えてくれなかったんです。 でも、愛護センターと愛護団体の 信頼関係ができてきて、 最近は教えてくれるようになりました。 愛護センターに行くと、たまにほんとうに 満室になっちゃってて 「もういっぱいなので、明日の朝、 この子たちを出すんです」 と教えてくれます。 その子たちを保護したらうちの団体がつぶれる、 というときは「ごめんなさい」と言います。 でも、無理すれば大丈夫なときは、持ってくる。 そのあたりは、きちんと判断をするので、 そういう意味で、お互いの状況を出し合って 信頼関係を築いているんだと思います。 |
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糸井 | これからの愛護活動は、しょこたんが言うように 「ちょっと手伝う」という人がいっぱいいるほうが たぶん、いいと思う。 プロじゃなきゃできないことは山ほどあります。 お医者さんもそうだし、訓練師もそうだし、 素人が、どうしていいかわからない行き詰まりは、 絶対ある。 |
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中川 | そうですよね。 |
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糸井 | それをわかる人はちゃんと お金をもらってやる。 そして「ちょっと手伝う」人がいっしょになってやる。 たぶん、その形が理想なんだろうね。 捨てる人は、もう永遠にいますよね。 |
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友森 | いますね。 |
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糸井 | 捨てる人さえいなくなれば、 ミグノンは解散できるんだけど、それはない。 |
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中川 | 犬も捨てられてますね。 5歳くらいで、首輪もついてて、 お手もおすわりもできる子が、 うちの通学路の前を 2日くらい往復してて、あきらかに探してて、 捨てられていたことがありました。 でも、犬は大きいし、私は当時子どもだったし 怖かったんで、 残飯でちょっとずつおびき寄せて、 うちへ連れて来て。 |
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友森 | 連れて来たんですか(笑)? |
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中川 | あと1日遅かったら、きっと保健所行きだったと思う。 お手もおすわりも 全部覚えさせてから捨てるって、 人間の沙汰じゃねぇ‥‥。 |
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糸井 | そんなのだらけだよね。 | |
友森 | この子猫たちだって、箱に入れて、 よく外に捨てられるなぁと思う。 「これ、外に置いて来い」って言われただけで 持ってウロウロしちゃいそうです。 |
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中川 | 捕まえてきて、 そいつのことを、ほんとうに、 もう、とくとくと説教する。 「お前、何したかわかってるのか」 |
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糸井 | 呪いをかけたいね。 |
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友森 | 呪いをかけたい。 |
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中川 | 追いかけてこられないようにするためか、 ひげをハサミで切ってから 捨てたりするやつがいるそうです。 この前もらいにいった子が、みんなそうでした。 ほんとうに、捨てたやつを、追い詰めて、 そいつの髪の毛全部切ってやりたい。 どうしてそういうことができるんだろう。 |
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糸井 | 恐怖マンガで退治しなきゃね。 |
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中川 | ヘチャムクレに顔を描いてやる。 許さない、そんなやつ。 |
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友森 | でも、絶対にそういう人って、 自分も、どこかでそういう目にあうんだ。 |
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糸井 | その人にとっては、その分だけ、 世界がそういう形をしてるわけだからね。 それを抱えて生きていくんだもの。 |
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中川 | まったく! それがわからないなんて、 人間じゃないですよ。 人間だから、守ったり助けたりできるんです。 そっちにエネルギーを使うのが、 とてもハッピーだと思います。 (腕の中の子猫を見て) ニャー。ウワァー。 |
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糸井 | これから友森さんの活動が どうなるかわからないですけど、 「ちょっとでもできる気がする」 っていうのがいいよね。 |
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中川 | 知ることがちょっとでも増えていって、 「こんな気軽に触れることができて、 そして、何かできることがある」 とわかって、それで、 自分もハッピー、 猫もハッピー、犬もハッピー、 大きな未来が変わっていく。 それを実行していく人のパワーって、 こんなにもメラメラしてて、 すばらしいんだって、感動しました。 |
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糸井 | このお姉ちゃんが(笑)。 |
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中川 | すごいカッコいいです。 こんなにカッコいい女子がいたとは。 |
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友森 | どこがカッコいいんだろう(笑)。 |
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糸井 | (笑)ちょっと吹いてしまいましたが、 それはご愛嬌で。 |
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中川 | すごいです。 |
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友森 | でもね、みんなでやれば、 そんなに大変じゃなくできる。 |
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中川 | 私も、できることを、これからいろいろ、 やりたいと思います。 |
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友森 | よろしくお願いします。 |
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糸井 | よろしくお願いいたします。 |
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糸井 | この方、社長で代表ですから。 |
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友森 | 大丈夫なのかな、社長。 |
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糸井 | 大丈夫だと思うよ。 |
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中川 | 大丈夫すぎると思います。 |
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友森 | そうかなぁ。 |
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中川 | 大丈夫にしていく力がある。 |
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糸井 | 社長が失敗したら、失敗したで、 「あぁ、失敗」って言えばいいわけじゃん。 文句言う人いないんだから。 |
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友森 | まぁ、いままで以上に、とにかく動物を助ければ、 何を失敗しても、大丈夫だ。 |
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中川 | (腕の中の猫を見て) わ、動いた。夢見てる! |
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友森 | わぁ、ほんとうだ。 |
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中川 | だけど、夢といっても、 まだ1ヶ月しか宇宙を知らないから、 たいした夢じゃないですよね。 走るとか、そういうことかな。 |
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糸井 | 俺も65年しか知らないよ(笑)。 |
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友森 | 走ったり、ミルク飲んだり、くらいでしょうね。 ちょっと兄弟に噛まれたりとか。 |
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中川 | あぁ、寝ながら前足が走ってる、かわいい。 あぁあ、もう。 なんという、まぁ! |
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(おしまいジャス!) | ||
写真:小川拓洋 |