『あたらしい家中華』酒徒さんに、大好きな中華料理について聞く。 『あたらしい家中華』酒徒さんに、大好きな中華料理について聞く。
2023年秋に刊行されて以来、売れ続けている
1冊の中華料理本をご存知でしょうか。
SNSやブログでおいしい情報を発信し続ける
中華料理愛好家、酒徒(しゅと)さんの
『あたらしい家中華』。
中国の人たちが普段から食べている、
非常にシンプルな78品を紹介している本です。
鶏ガラやオイスターソースなどは使わず、
意外とあっさり、簡単、ヘルシー。
「家で本当に作りたい中華はこれかも!」
という気持ちになります。

そんな酒徒さんがなんと、
顔出し無しであれば、という条件で
「ほぼ日の學校」に登場してくださいました。
酒徒さんが語る料理の話、愛情がこもっていて、
なんだか本当にいいんです。
あなたもぜひ、あたらしい家中華の
とびらをひらいてみてください。
イラスト:ミツコ
2.ほぼ日乗組員、酒徒さんの料理をいただく。
──
さて、料理3品の試食役として、
今日はおいしいものを食べるのが大好きな
ほぼ日の乗組員に来てもらいました。
酒徒さんの本をすでに愛用して
作りまくっているというおーたと、
食べる企画によく登場するスガノです。
写真
▲ほぼ日の乗組員のおーた(左)とスガノ(右)
スガノ
私は、半年前におーたさんに
「最近自分の中ではやってるものはなに?」
って聞いたら、
「酒徒さんのインスタです」と教えてもらって、
それをきっかけに、本を買わせていただきました。
おーた
本、すごく愛用させていただいておりまして、
今日はうれしくてしょうがないです。
酒徒
なんと、ありがとうございます。
よろしくお願いします。
スガノ&
おーた
よろしくお願いしまーす!
──
ではさっそく、試食していただきましょう。
さきほど作っていただいた
「小葱拌豆腐(シャオツォンバンドウフ)」
小ねぎの中華冷ややっこ。
「拍黄瓜(パイホワングア)」
きゅうりの冷菜、
「肉末蒸蛋(ロウモーツェンダン)」
豚ひき肉の中華茶碗蒸し、です!
スガノ&
おーた
いただきまーす。
スガノ
ではまず、お豆腐から
(小葱拌豆腐/作り方は第1回に)
写真
おーた
自分でも本を見て作っていたのですが、
豆腐をこのぐらいグシャグシャにするんだ
というのが知れて、うれしかったです。
酒徒
そう、親の仇くらいに(笑)、
けっこうグシャグシャにします。
本にも一応「グシャグシャに」と書いてますけど、
完成直後のきれいな写真を載せてるんで、
なかなかね、みなさん思いきって崩すことが
難しいみたいで。
スガノ
崩すことで、なにか味変はあるんですか?
酒徒
塩とごま油がすごく豆腐になじんで、
味に一体感が出るんです。
スガノ
(食べながら)たしかに一体感がありますね。
しかもこのお豆腐、いろんな味がします。
グシャグシャにすることで、塩が濃いところや
油がまみってるところなど、いろいろあっておいしい。
豆腐が大きいところは豆腐の味がするし。
写真
酒徒
あっ、そうですね。
崩し具合に濃淡つけていただくと、
また面白いかもしれない。
おーた
なんか断面がね、おいしいです。
スガノ
すっごい薄味なのに、ごはんに載せても
食べられるぐらいの味わい深さがあるっていうか。
酒徒
そう! ほんとにそう思います。



味つけ、今日紹介しているのはどれも
非常にシンプルにしているので、
もし足りなければ塩でもなんでも足してください。
スガノ
そしてこのきゅうりを‥‥うまっ
(拍黄瓜/作り方は第1回に)
使っている調味料はなんですか?
写真
酒徒
きゅうりは塩と酢、ごま油ですね。
酢もほんのちょっとだけですけど。
スガノ
私も本の料理をいくつか作らせてもらったんですが、
どれも少ない材料なのに、
めちゃくちゃ複雑な味がするんですよ。
それが驚きで。
おーた
そう、酒徒さんの紹介されている料理って、
シンプルなのにすごくおいしいんです。
鶏がらスープの素とか、
使ってないのがすごいなあって。
写真
酒徒
そういうのを使わなくても、
実はちゃんと中華料理になりますよね。
うま味やコクって、けっこうごま油だけで、
ある程度出るなと思ってまして。



特にこういう前菜だと、
オイスターソースとか全然いらないなと思うし。



オイスターソースをしっかり使う料理や
地域は中国でもあるんですけど、
日本人が思ってるほど、何にでも使うわけではない。
むしろ使わない料理の方が多いんです。
スガノ
そして、本の表紙に載ってる茶碗蒸し
(肉末蒸蛋/作り方は第1回に)
おーたさん、けっこう作ってるという噂ですけど。
写真
おーた
はい、とても何度も作ってます(笑)。
すっごい簡単だし、疲れた日とか、
温かくてやさしい気持ちになれるものを食べたいなと。
酒徒
ありがとうございます。
スガノ
この味のポイントは‥‥紹興酒ですか?
酒徒
そうですね、具の豚のひき肉に、
しょうゆと紹興酒と塩で
ほんのちょっと下味をつけてます。
あとは卵と水をといたものと合わせて蒸すだけ。
そういう簡単な料理です。
スガノ
いいですね。
これは、おーたさんが
夜に食べたくなると言うのですが、
よくわかります。
おーた
疲れた夜、これで気持ちが休まるんです。
スガノ
帰ってこれだけでいいね。
これは表紙に載るわ(笑)。
写真
酒徒
これもほんとに簡単なので、僕としては
「それが表紙でいいんすか?」ってぐらいの
気持ちではあったんですけど(笑)。



でも茶碗蒸しって、日本だとやっぱり
「難しい」「面倒」といった印象が強いから、
こんな簡単でいいんだ!って驚きがあるみたいで。
おーた
とてもわかります。
酒徒
たぶんこの本、中国人の方が見たら、
「えっ、その作り方、わざわざ載せる?」
みたいな料理ばかりなんですよ。



ほんとにどの家庭でも、簡単に、
適当に作ってる料理だと思いますね。
スガノ
この茶碗蒸し、
出汁はいらないってことですよね。
酒徒
「出汁は豚肉から出ます」っていう。
卵自体にもうま味があるし。
スガノ
何杯でも食べられる。
おーた
そう。本にはシラスを具にして作るものも
載ってて、それもおいしかったんです。
スガノ
調味料もほんとに簡単ですよね。
だって‥‥紹興酒、しょうゆ、塩だけ?
酒徒
そうです。最後に蒸しあがったあと、
しょうゆチョロリとごま油チョロリ。
スガノ
全部、家にあるじゃん。
おーた
あるの。だから作りやすいんです。
写真
酒徒
そうですね。
紹興酒がなければ日本酒でもいいんですよ。
スガノ
中国を回られてるときに、
「日本の中華料理と違うな」と感じられたのが、
家中華にハマられたきっかけですか?
酒徒
そうですね。
全然違うし、やっぱり日本で
中華料理として知られているものって、
もう氷山の一角どころか、
ほんの端っこでしかないなっていう予感を、
大学生の旅のときに感じて、
ハマってしまった感じですね。
スガノ
なるほど。
日本の私たちが普段食べてる
「中華料理」と言われてるものは、ほんの一部。
酒徒
そうですね。
しかも日本に伝わったあと、
日本の人の嗜好に合わせて、さらに変わってますから。
「ごく一部の料理が、さらに日本風に変わったもの」
というイメージかもしれません。
スガノ
しかもさ、健康になれる気がする。
おーた
そうなの。そこがいいですよね。
スガノ
無理がないっていうか。
私は中華料理って、ちょっと元気なときじゃないと
食べれないイメージがあったんですけど、
こういう料理はもう、いつでも食べられる。
酒徒
ありがとうございます。
写真
スガノ
おいしい。
もうみなさん、載ってるもの全部つくればいいね。
おーた
そうだと思いますよ、ほんとに。
スガノ
おーたさん、それをやってるんでしょ?
おーた
それやってるぐらいなの。
酒徒
それはうれしいです。
おーた
あの本、もうほんとに最高ですから!
私、大好きすぎて、
この1か月ぐらいずっと、
寝るとき隣に本を置いて寝てる(笑)。
たぶんちょっとおかしいんだと思いますけど。
スガノ
すごいでしょ(笑)。愛がすごいんですよ。
おーた
すいません、自分でも変なのはわかってるんです。
なんだか近くに置いときたくて。
酒徒
そこまでの方は初めてです(笑)。
ありがとうございます。
写真
▲おいしくいただきました。ごちそうさまでした!
(つづきます)
2024-11-06-WED
手軽 あっさり 毎日食べたい

あたらしい家中華

酒徒 著
写真
鳥がらスープ、 オイスターソース、
豆板醤…すべていりません!
中国の家庭で愛されている
本場の家庭料理78品。
日本で「中華料理」と聞くと、
「こってりしてる」「味が濃い」
「調味料が多い」「油っぽい」
「胃がもたれる」などのイメージが
先行しますが、中国の食卓に並ぶ
家庭料理はすべてが逆。
あっさりして、やさしい味で、
調味料も少なく、油も少ないから、
毎日食べても身体が楽。
そんな日本にまだ知られていない
「本当の家中華」をご紹介します。



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