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山手線の内側が、まっ平ら。
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阪本 |
すごいでしょ?
加えて、ヨーロッパのほうに
モンブランて高い山がありますけど、
あれ、標高4800メートルくらいですけど、
アタカマはそれ以上、
標高が5000メートルあるんです。
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── |
かの有名なモンブランより、高いと。
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阪本 |
そんなところが「まっ平ら」なんですよ?
条件的には、これ以上ないです。
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── |
もともと、こういう土地だったわけですか。
地ならしとか、したわけじゃなくて。
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阪本 |
地ならしなんか、やってられないよね‥‥。
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── |
そ、そりゃそうですよね、失礼しました。
では、場所が決まったら、まず何を?
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阪本 |
きちんとした地図なんかもなかったんで、
地形が正確にはわからない。
実際に現地に入ってみたら
フカフカで
車がスタックしちゃうような箇所もありました。
だから、どこに道を通すのか‥‥から始まって
実際に車で走り回って徹底的に調査したんです。
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── |
阪本さんたちが行くまでは、誰かいたんですか?
その場所には、何というか‥‥「誰か」が。
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阪本 |
だーれもいないし、なーんもない。
ぼく、ハエに出逢ったとき
本当に愛おしい気持ちになったもの。
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ハエに「愛おしさ」を‥‥。
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阪本 |
たまーにですけど、
ビクーニャというラクダの一種を見かけたり、
鳥が「走って」たりはするかな。
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鳥が、走る?
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阪本 |
鳥だって、飛ぶの大変なんですよ。
空気半分しかないんだから。
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── |
そういうこと‥‥なんですか?
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阪本 |
空気が半分しかないってことはつまり、
2倍羽ばたかなきゃふつうに飛べない。
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マンガみたいな話ですね‥‥。
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阪本 |
酸素だって半分なわけです。
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── |
そうか。
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阪本 |
つまりですよ、アタカマを飛んでる鳥は
酸素が半分にも関わらず
2倍、羽ばたかなきゃならないんです。
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そ、それはたいへんですね。
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阪本 |
ゼェゼェ言いながら飛んでんですよ。きっと。
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はー‥‥。
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阪本 |
とにかく、そういうところなんです、
一事が万事。
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なんか、今のお話で
「アタカマとは、たいへん過酷な場所である」
ということが、よくわかりました。
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平松 |
少し、話を軌道修正いたしますと‥‥。
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恐れ入ります。
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平松 |
さきほど「性能もケタ違い」と申しましたが、
ALMA計画では
望遠鏡と望遠鏡との間の間隔を
最大18.5キロまで広げることによって
「直径18.5キロの望遠鏡」に相当する分解能、
つまり「視力」を持ちます。
そうすることで
ハワイ・マウナケア山頂の「すばる望遠鏡」や
「ハッブル宇宙望遠鏡」の
「10倍」の解像力を、実現するんです。
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ハッブル宇宙望遠鏡って
地上約600キロメートルの宇宙空間を飛んでる
望遠鏡ですよね?
すごく遠くの宇宙を綺麗に撮影できる、あの。
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平松 |
ええ。 |