桜島から降り注ぐ火山灰を使った
鹿児島のローカルクラフト。
──「ONE KILN」のテーブルウェア──
今週、「5DW メンズショップイシカワ」で発売するのは、
毎日の食卓のご飯を賑やかに美味しく感じさせてくれる
鹿児島の陶器工房「ONE KILN」(ワンキルン)の
テーブルウェアです。
鈍く、どっしりとした、鉄のような陶器は、
自ら掘るという地元の土と、
鹿児島のシンボルである桜島の
“火山灰”の釉薬を掛け合わせた
「ONE KILN」ならではのローカルクラフト。
型でつくるプロダクトを基本としながらも、
焼き上がった表情や色合い、手触りは、
手仕事の仕込みが伝わる工芸品のよう。
城戸さんが、まだ実家の車庫で
小さくつくっていたという時代から
ものづくりをお願いしていたのが、
ほかならぬ石川顕さん。
人柄も、使い心地もよく知っている「ONE KILN」の器が
いかにかっこよくてハンサムなのかを、
城戸さんへのたっぷりの質問とともに、迫ります!
- 石川
- 城戸くんとの仕事は、「Bonzaipaint」のクッカー(*)を
陶器でつくってもらったのが最初だったかな。
(*編集部注:
アウトドアで使われる、主にステンレスや
アルミの小型調理器具。ドイツ語ではコッヘル。)
- 城戸
- まだ僕が実家の車庫でやっていた頃ですよね(笑)。
「ONE KILN」を立ち上げた2008年頃だと思います。
まだ小さい工房で、少ない数でやっていましたからね。
- 石川
- その頃の城戸くんは2個からつくってくれるような
フットワークの軽さをもっていて、
ちょっとした無理も楽しんでくれる
頭の柔らかい人って印象かな。
いまも変わらず、作り手としてはいい意味でデタラメで、
とても楽しい人なんです。
- 城戸
- 僕の中では、石川さんと一緒に何かをやるのは、
「自分の頭を柔らかくする時間」なんです。
焼き物をつくるのが本職ですが、
自分では考えつかないようなことを
石川さんは提案してくれますし、
独立した直後でしたので
いろいろなものをつくれるのが嬉しかったですね。
- 石川
- 最近もつづけていると思うけど、
つくった器を使って
食事会をやるようになったのはいつ頃から?
- 城戸
- 2014年くらいからですかね。
自分ひとりでは無理なので、
鹿児島の友達を集めて始めました。
コンセプトは、「みんなのテーブルをつくろう」でしたね。
食事会は『TABLEs』という名前をつけて、
新作の器の発表会も兼ねて行ったりしています。
『TABLEs』としては、いちばん最初は
2015年にサンフランシスコでやったんですよ。
鹿児島の『ククルクク』という
自家製パンと焼き菓子をつくるお店の料理人さんと一緒に。
ギャラリーで器を見て終わり、ではなくて、
土を掘っている場所や、
つくっているところも見てもらって。
そうなると、せっかくだったら、
この器でご飯も食べたいよね、ってことで
『TABLEs』が始まったんです。
- 石川
- そうだったんだね、
いきなりサンフランシスコか!
いまは料理は誰が?
- 城戸
- 料理はそのときそのときでいろいろな人とつくっています。
『TABLEs』をやることで、
器作りのアイデアもさらに広がっていくんですよね。
自分の工房にこもって新しい形を考えるよりも、
食事会を開いて、みんなでワイワイやっているほうがいい。
この料理なら、こういう器が合いそうだな、って、
食事会のたびに、足りない器の形が出てくるので、
それを実際につくっています。
- 石川
- やっぱり城戸くんはフットワークが軽いし、
自由なんだよね。
これまでに何型くらいつくってるの?
- 城戸
- コラボレーションなども含めると
100型以上はあると思います。
- 石川
- 誰かと一緒につくると思考も広がっていくよね。
城戸くんは柔軟な人だから、みんなやりやすいのかな。
- 城戸
- 石川さんは信頼して僕に任せてくれるので
すごくやりやすいですけどね。
- 石川
- 城戸くんが料理会をやりだしたときに、
この人、変わったなって思ったんだ。
ただのつくり手から、もう一歩踏み出した。
とてもいいことだし、楽しそうだなと思う反面、
僕はちょっとだけ寂しい。
2個からつくってくれた時代を知ってるから(笑)。
今回のこの黒い器はハンサムな感じがしてかっこいいんだ。
僕は料理人ではないから、
ただ単純にかっこいいから気に入ったんだよね。
2023-07-26-WED
(つづきます)
[STAFF]
スタイリング・プロデュース:石川顕
ヘッダ写真:吉嗣裕馬
本文写真: ONE KILN
文:小笠原民織
協力:北川幸江、
みよし屋
「ONE KILN」(ワンキルン)のテーブルウェア
5DW WEBショップにて販売中。