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蒸し暑い日本の夏でも、
さわやかに過ごせる服をつくりたい。
そしてそれは、男女ともに着られるものにしたい。
そう思った〈O2〉チームは、カットソーメーカーの老舗
小野莫大小(メリヤス)工業さんにご相談しました。
夏向きの素材といえば麻がありますが、
今回わたしたちが採用したのは、和紙とコットン。
涼しくてかるくて、そして丈夫な生地が出来上がりました。
その特徴をくわしくお伝えします。
―〈O2〉和紙コットンの、5つの特徴。―
〈POINT1〉和紙とコットンのいいバランス。
〈POINT2〉和紙を裂いて撚った糸で編んでいます。
〈POINT3〉軽いうえにハリがあるのが新しい。
〈POINT4〉天然の機能性にすぐれています。
〈POINT5〉生地開発のスペシャリストが手がけました。
〈POINT1〉
和紙とコットンのいいバランス。
生地をすべて和紙でつくってしまうと
高級になりすぎたり、硬くなってしまったりして、
カリッとした肌当たりになります。
そこで、コットンをブレンドすることでやわらかさが加わり、
肌当たりもぐっと良くなりました。
なんども試作を重ね、和紙30%+コットン70%の混率が
もっとも適したバランスだと導き出しました。
〈POINT2〉
和紙を裂いて撚った糸で編んでいます。
和紙の特徴をきちんとのこすために、
わたの段階でコットンと混ぜるのではなく、
縦に裂いて撚った和紙とコットンの糸を交互に編み込んでいます。
遠くからみると気づかないほどですが、
近くでよーく見ると、色の濃淡が
こまかな縞模様のようになっているのはそのためです。
ちょっと立体感もあって、表情豊かです。
〈POINT3〉
軽いうえにハリがあるのが新しい。
アメリカで作られる度詰めのがっしりした
Tシャツのようなハリ感があります。
和紙はもともと硬さがあるので、
編む際に目の間隔を甘く調整し、
ほどよいハリ感を残すようにしました。
本来ハリを出すためにはコットンを度詰めで編んで
重量感のある生地にするところですが、
和紙を入れているのでうすく仕上がり、
コットン100%でつくる生地にくらべ、軽さがあります。
それでいて、くったりせずに体の線も拾いませんから、
一枚で着たい夏のTシャツにぴったりです。
〈POINT4〉
天然の機能性にすぐれています。
和紙の原料は楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、
雁皮(がんぴ)といった植物で、
その木の皮の部分の繊維を使っています。
木の皮は、人間でいえば皮膚に当たります。
幹本体を守るために紫外線をブロックし、
表面の湿度を一定に保ち、菌の繁殖をふせぐなど、
木がもともと持っている力が備わっていて、
加工後の和紙もその効果は失われず持続されます。
水分を早く吸って乾くのもはやいので、
汗をかいてもすぐに吸って放出してくれます。
消臭効果もあり、天然の高機能がたくさん。
〈POINT5〉
生地開発のスペシャリストが手がけました。
今回、この生地の開発をしていただいたのは
創業97年の小野莫大小(メリヤス)工業さん。
世界の名だたるハイブランドへ生地を供給しています。
あたらしい生地をつくるためには
原料の種類から糸の撚り方、編み方まですべてを理解し、
完成後のイメージを想像して着手するそう。
たくさんの経験も必要になってくるので、
生地開発で一人前になるには10年かかるといいます。
そんな生地開発のスペシャリストが手がけた
ことしのフレフレシリーズは、この夏の自信作です。
(次回は、tsuki.s 末永さんにきいた、
デザインのお話です。)