- 金子
-
わたしからのラブコールで実現した、
アサメリーさんとの共同製作。
ずっとアサメリーさんの生地のファンだったので、
こうしてご一緒できてうれしいです!
- 吉田
- ありがとうございます。
- 岩木
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このお話をいただく前に、
ほぼ日さんとなにか一緒にできたらいいね、
って話していたところだったので、
ご連絡をいただいて「まさか!」とうれしかったです。
- 金子
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ほんとですか!
そう言っていただけてよかったです。
今回〈O2〉といっしょに作っていただいたのは、
2つのインナーと2つのトップス。
まず、わたしも年中愛用しているインナーからは、
定番のタンクトップをセレクトしました。
そして、「夏のワンピースの下にはきたい」
というわたしたちからの希望で、
今回はじめて作ってくださったのがドロワース。
- 金子
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仕事柄いろいろな生地にふれて、実際に着て、
確かめたりしてきましたが、
なかでもアサメリーはとくべつ。
夏のインナーはもうこれ一択。
去年の夏、すっごく暑かったじゃないですか。
これはサラッとした着心地で涼しく感じるし、
汗もすぐ乾くので、本当に重宝しました。
- 吉田
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自分で言うのもなんですが、
一度着てその心地よさを覚えてしまうと
やめられなくなりますよね。
たぶん僕はアサメリーの日本一のヘビーユーザー。
宣伝ではなく、たとえ自分が引退しても、
きっと着続けると思います。
- 金子
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やわらかければやわらかいほどいい、
みたいな思い込みをくつがえしてくれたのが
この生地でした。
コットン100%なのに
ここまでシャリ感のあるタッチって、
ほかにはなかなか見つからないと思います。
- 吉田
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やわらかいイコール風合いがいい、
というような考えはいまだ根強いです。
そのために糸を甘撚りにしたり、
無撚糸を使ったりしてやわらかく仕上げるんですが、
アサメリーはその逆。
糸の撚りを強くして、
シャリっとした感じを出しています。
- 金子
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強く撚るとザラザラしたり、
かたくなったりするように想像できるのですが‥‥。
- 吉田
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おっしゃるとおりです。
それを解消するために、とにかく細い糸を作ります。
原料にしているのは、
コットンはコットンでも、繊維長の長い超長綿。
超長綿を使わないと細い糸は作れないんです。
- 金子
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繊維長が短い綿だと、
紡ぐところが多くなって、太い糸になってしまいますよね。
- 吉田
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そうなんです。
強く撚ることでふつうはかたくなりますが、
超長綿を使うことによってかたくなりすぎない。
シャリっとしたかたさと、ふわっとしたやわらかさが
同時に成り立ちうる繊細な糸に仕上がるんです。
- 金子
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さわってみるとコシのあるかたさを感じるのに、
体のかたちに沿うようなやわらかさがある。
ふしぎな感覚です。
- 吉田
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そのバランスを出すために
細い糸を2本撚り合わせて「双糸」にしているんですが、
ここにも秘密があります。
綿糸ってふつうは撚りの方向が左撚りが一般的なんです。
専門的に言えば、「Z撚り」。
その「Z撚り」の糸を2本合わせるときには、
通常は反対方向に撚って、
つまり撚りを戻す方向でやわらかくしますが、
アサメリーでは糸の撚り方と同じ左方向に
さらに撚ることによって、もっとかたくする。
- 金子
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えー!!
そこまでかたくしているなんて知りませんでした。
- 岩木
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開発当時はたぶんご法度だったと思うんですが、
当時の職人が挑戦したんでしょうね。
それが約70年前。
当時はかたい肌着というのを良しとしていない時代だったので、
時代に逆行するというか、挑戦的な取り組みだったと思います。
そうして、かつてない生地が誕生したんです。
- 金子
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やわらかい生地こそいいという考えを鵜呑みにせず、
信念を持って実行した方がいたんですね。すごい。
世界を変えるような発明品って
そういうところから生まれますよね。
- 吉田
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それ以降他社さんでも強撚の下着を作られてきましたが、
あくまでラインナップのひとつであるところが多い。
これだけやわらかい素材が良しとされている世の中で、
アサメリーが強撚のコットンだけで
ひとつのブランドとして展開しつづけているところも、
手前味噌ながらすごいと思います。
- 金子
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生地表面のサラサラした感じも、
ずっと触れていたくなります。
- 吉田
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綿糸って毛羽(ケバ)が必ず出るんですが、
ガスで焼いて表面をフラットにしています。
その糸を使って編み地を作ると、
空隙(くうげき)、すきまができるんです。
毛羽がある状態だと空間が狭くなって
空気の通りがわるくなりますが、
すきまができることで通気性が良くなるんですね。
- 内田
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繊維長が長い超長綿を使っているので、
もともと短繊維の綿よりケバは少ないんですが、
妥協せずガス焼きしてケバをとっています。
- 金子
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そんな手間までかけているんですね。
いっさい手を抜かない。
- 岩木
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独特な編み目のループの形状も
肌になるべく触れないようにという心くばりから。
肌への接地面積が少なくなるようにしています。
- 吉田
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面で触れるというより、
点で当たるようなイメージです。
それもシャリ感の秘密ですね。
- 内田
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汗を吸うのも、糸をギュンギュンに撚っているので、
吸う力と発散する力っていうのが
物理的に叶うような構造になっているんですよ。
強撚糸じたいがそういう構造ですが、
超長綿の毛羽を取り除いているので、
空洞ができてさらに汗を吸い上げて発散してくれます。
- 吉田
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生地ができた後に加工してとか、
人工的に作った素材の機能性ではなくて、
天然素材のポテンシャルを最大限に引き出して
ずっと勝負していることは誇りですね。
- 内田
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「上質な肌着を作る」という
創業当時からの信念は変わらず、
そのために原料選びから編み立て、
旧式ながら丸編み機で筒状に編んでいたりと、
すべては誰もが心地いいと思える肌触りのために
ひとつひとつの工程にベストなものを
追求し続けるというのがアングルの方針です。
- 金子
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トップスのほうは、
〈O2〉のフレフレシリーズではおなじみの
tsuki.s(ツキドットエス)末永津喜子さんに
デザインを監修していただき、
夏にぴったりの2つのトップスができました。
トップス用には
インナーに使っている生地とは
別のものをご用意いただいたんですよね。
- 吉田
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インナーで使っているのは
110番手のすごく細い糸なんですが、
トップスで使うと繊細な印象が際立つので、
それよりは太い、60番手の単糸を双糸にして使っています。
なので、しなやかさは保ったままです。
- 岩木
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編み地も、インナーのほうは伸縮性を重視する
フライス編みにしていますが、
こちらは天竺編みに。
- 吉田
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もともとパジャマ用に使っていたり、
いまはボトムスやTシャツに使っている生地なので、
今回作っていただいたトップスを見て
こういう形に生まれ変わるのか、と感動しました!
- 金子
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サマーフレンチは、
襟ぐりの絶妙な開きかげんや着丈の前後差、
インナーが見えないような袖のデザインなど、
こまやかな気配りがほどこされた
女性らしく上品なデザインに仕上がりました。
- 金子
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サマートップは、
裾と袖口にたっぷりとギャザーがはいって
ふんわりとしたシルエットに。
袖口と裾にゴムを入れているので、
袖をたくしあげたりブラウジングしたりと、
いろいろな着こなしがかないます。
- 岩木
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単独はもちろん、
セットアップで着ていただいても素敵ですね。
- 金子
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トップス用の生地も、インナー同様に
肌ばなれがすごくいいですよね。
- 岩木
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そうなんです。
こちらも強撚糸で作っています。
ふわりとしたシルエットで作っていただきましたが、
空気がこもる感じもまったくないと思います。
- 金子
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わたしは年中着ていますが、
とくにおすすめなのが
真夏のとっても暑い日!
アサメリーの良さがよく分かるはず。
- 岩木
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すこしでも涼しく、快適に過ごしたい真夏に
ぴったりですよね。
この夏きっと欠かせない1枚になると思います。
- 吉田
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アサメリーが発売開始された当時の、
「とにかく、いっぺん着てみとくなはれ」
という売り文句はずっと変わりません。
ぜひためしてみてください!