アトリエシムラHOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

アトリエシムラのストール

うつろう色、残る色、いま生きている色。

第1回
いい色が出る枝は、光って見える。
桜と茜(夜桜、薄墨桜、茜雲、茜空)

夜桜(よざくら)

薄墨桜(うすずみさくら)

染料:桜

桜での染色は、季節を選んで染めます。
花が咲く前、直前の枝を使う。
木の状態はまだ冬ですけれど、もう花の準備をしてる。
だから、赤がすごく強く出ます。
いい色が出る枝は、光って見えるんですよ。
枝が光って、「色出るよ」って言っているんです。

日に日に溜めてるんです、桜って。
だから、早い時期に切られた枝は、ちょっと儚く、
まだ幼い感じの色が出て。
それが花に近づけば近づくほど、大人になるというか。

▲「夜桜(よざくら)」(桜)。¥38,880(税込・販売手数料別)

「夜桜」はとても初々しい色に染まって、
それを1枚ものに織っていただいたら、
華やかな感じに、とても春らしいというか、
あたたかい色に仕上がったなと思っています。

「薄墨桜」は、桜を鉄で媒染したもので、淡いグレーです。
鉄を使うと、その背後に、
その植物の持ってる特色というか、
色がフッと見えます。
「薄墨桜」は、桜っぽいなって思わせる色が
グレーの背景に出てくれている。
それがすごいうれしかったんですよ。

特別に作ってもらった
シルクコットンの糸の特徴でもあるのかな。
こんなキレイなグレーって、
なかなか、出せない――。
この「薄墨桜」のグレーは特別です。

▲「薄墨桜」(桜+鉄)。¥38,880(税込・販売手数料別)

茜雲(あかねぐも)

茜空(あかねそら)

染料:茜

今回の茜の色は、上品に仕上がりました。
アトリエシムラの色は、透明感を大切にしていますが、
今回の茜の色は、いずれも
透明感とあたたかみが良く出たと思います。

染料は茜の根を乾燥させたものを使います。
古くから染料として用いられてきたもので、
薄い赤系統の色をした根を、
たくさん使って色を染めます。

▲「茜雲」(茜)。¥38,880(税込・販売手数料別)

同じ茜を染めていくにしても、
ずっと同じ色が取れるかというとそうじゃない。
茜の色は黄色系からはじまって、
媒染剤と合わせることによって、
赤に変化させるんですけど、
茜の力が弱いときは黄色が濃くなります。
薄い色は弱く染めないといけないけど、
ただ弱いと黄色のほうにふれてしまう。
これがとてもむずかしいんです。

色の境目を見極めて、せめぎあいながら
「ここだ」というところに色を留める。
「茜空」のグラデーションは、
色を出す者の見せ場でもありました。

▲「茜空」(茜)。¥45,360(税込・販売手数料別)

STAFF
モデル:KIKI / 撮影(モデル):菅原一剛 / 写真(取材):神ノ川智早 /
スタイリング:轟木節子 / ヘアメイク:草場妙子

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