名店「洋菓子ヴィヨン」のふたごのバウムクーヘン。
バウムクーヘンはお好きですか?
ふだんのおやつの定番だけど、手土産の定番でもある、
高級専門店もあるけど、コンビニにもある、
そんな、あらゆる姿が楽しめる親しみ深いお菓子です。

そのバウムクーヘンが、
ほぼ日のおかしシリーズに登場します。
その名も「ふたごのバウムクーヘン」。
1965年創業。東京・桜新町で愛される「洋菓子ヴィヨン」の
ふたつの自慢の味をセットにしました。
どちらのバウムクーヘンも
ドイツ農業協会が主催するコンテストで
200項目に及ぶ項目すべて満点を獲得しています。

自然な「しとり感」が魅力のバウムクーヘンは、
今ではもう珍しくなった、職人さんの手焼きです。
どちらも甲乙つけがたい「ふたごの味」を
食べ比べでお楽しみください。

ヴィヨン自慢の
バウムクーヘンがセットになった
「ふたごのバウムクーヘン」を
お届けいたします。

2月の販売で
限定数を大きく上まわるお申し込みをいただいた
「ふたごのバウムクーヘン」を、
ヴィヨンの職人さんにご相談し、
再販売することにいたしました。
今回も2月と同じく抽選での販売といたします。
お申し込み期間は3月29日(火)からです。
「ほぼ日のおかし」特別パッケージで
みなさまのお手元にお届けします。
どうぞおたのしみに!

ふたごのバウムクーヘン

2022329日(火)午前11
抽選販売スタート

再販売決定!!

3,180(税込・配送手数料別)

「洋菓子ヴィヨン」のバウムクーヘン
プレーン1個と特選1個の2個セット
(プレーン/直径13.5㎝×厚さ3㎝、
特選/直径12.0㎝×厚さ3㎝)
  • プレーン
    口どけがよく、
    バターやほどよいスパイスの香りを感じられる
    バウムクーヘン。
    卵は「しんたまご」、バターはカルピス発酵バターを使用。
    卵やバターはもちろん、
    わき役となる砂糖などの材料も、
    職人が厳選し、使用しています。
  • 特選
    素材の風味、生地の「しとり感」を究めたスペシャリテ。
    芳醇なナッツやスパイスの香りが特長で、
    深いこくのある味わいが楽しめます。
    砂糖は4種をブレンドし、
    マダガスカル産天然バニラ、ゴールドアーモンドを使用。
    生地の仕込み、焼き方にもひと手間を加えた、
    ほかにはない味わいです。
どちらのバウムクーヘンも乳化剤は使いません。
ドイツ農業協会が主催する世界最高峰の
DLGコンテストで、
200項目に及ぶ審査項目すべてで満点の
金賞を獲得した逸品です。 ※ヴィヨンのバウムクーヘンは、
ひとつひとつが手焼きのため、生産量が限られます。
このたびの販売は、4月8日と4月15日の
2回に分けて出荷いたします。
商品撮影:有賀傑

焼き重ねること、18回。

──
石伏さん、本日はどうぞよろしくお願いします。
石伏
よろしくお願いします。
──
石伏さんは「洋菓子ヴィヨン」の
バウムクーヘンを焼く職人さんです。
石伏
工房にはぼくを含めて4人の職人がいます。
早速ですが、
作業は始まっているので中へどうぞ。
──
おじゃまします。

混ぜているのはバウムクーヘンの生地ですか?
石伏
そうです。これは、
今回ほぼ日さんのセットに入る、
ふたつのバウムクーヘンのうちのひとつ、
「プレーン」の生地です。
ヴィヨンでは「卵黄」と「卵白」に分けて、
それぞれ混ぜ、最後に合わせる
「別立て」という方法で生地を作っています。

▲生地は手で混ぜます。

──
卵を分けて混ぜることで何か変わるのですか?
石伏
食感が変わります。
ヴィヨンのバウムクーヘンは
乳化剤や膨張剤を使わずに、
メレンゲの力だけでふわっとさせるので、
卵白をしっかり立てることが大切です。
だから別々で混ぜるんですよ。
──
うわ~、卵黄の色がすごくおいしそう。
石伏
うちは生でもおいしい「しんたまご」という卵を
使っています。
黄身が濃いオレンジ色で、
焼いた時にも卵の色がわかります。
──
直接手で混ぜるんですか?
石伏
機械だとどうしても混ぜ過ぎたりしますし、
その日の生地の状態もよくわかるので、
手で混ぜています。
ぼくが以前修業していたお店でも
手で混ぜていました。
ここに小麦粉を入れたら生地は完成です。
──
生地がシルクみたいにツヤツヤしています。
石伏
これをバウム機で焼いていきます。
こちらへどうぞ。
──
これがバウム機‥‥初めて見ました。
このオーブンは昔からあるものなのですか?
石伏
オーブン自体は二子玉川工房のために
新しく特注したものですが、
つくりは昔からあるものと同じです。
──
バウムクーヘンの本場はドイツですが、
このオーブンはドイツ製ですか?
石伏
いえ、これは北海道のメーカーの
機械なんですよ。
──
なんだかオムレツみたい。
このまま食べたくなります。
石伏
焼いたほうがおいしいですよ(笑)。

この「芯棒」に生地をかけながら
焼いていきます。
──
なるほど。その棒があるから、
バウムクーヘンは真ん中に
穴が開いた形になるわけですね。
今はなにをなさっているのですか?
石伏
芯棒と生地を少しだけ温めています。
生地や道具が冷えていると
焼きあがりが違ってくるので。
──
温度計で計るわけではないんですね。
石伏
厳密に温度を調整しているというよりは、
生地の状態を目で見て、
タイミングをはかっているような感じです。
ほら、生地に少し熱が入って、
やわらかくなりました。
──
ほんとだ。やわらかくなりました。
このやわらかさで
焼き始めるタイミングが
わかるということですか?
石伏
はい、そうです。
──
うわぁ~、ドキドキします。
石伏
一層目だけは道具を使って、
平らになるようにならしてから焼きます。
土台の部分なので、
ムラができないようにします。
──
一層目はどのくらい焼くんですか?
石伏
焼き時間は一応は設定しているんですが、
それはあくまで目安で、
目で見てその都度判断します。
はい、一層目が焼けました。
──
この黄色! 玉子焼きみたい。
石伏
ここからは生地をかけて焼いていくだけの
地道な繰り返しです。
きっと、見る分には楽しくないですよ(笑)。
──
何回くらい生地をかけて焼くのですか?
石伏
小さいものなら18回ぐらいかな。
──
18回も!
その間、ずっと熱いオーブンの前に
張り付いているんですか?
石伏
はい、そうです。
──
ボーっとして焦がしたことはないですか。
石伏
その余裕はないです(笑)。
今日は1本だけ焼いているので
こうしてお話しもできていますが、
通常は2本一緒に焼くので、
もう、絶え間なく作業しています。
──
集中力が必要ですね。
石伏
はい。それでもやっぱり
一気に2本までしか焼けません。
お菓子づくりのペースとしては、
効率は良くないと思います。
全自動で焼く工房であれば、
ひとりの職人で6本動かすこともありますし、
工場であればもっと多いこともあります。
うちのような「手焼き」では、
どうしても限界があります。
──
今焼いている「プレーン」はどんな味ですか?
石伏
オーソドックスな味ではあるんですけど、
一般的なものとはほとんどが違います。
──
‥‥ほとんどが違う?
石伏
一般的には、
バウムクーヘンのメインの材料は
卵なんです。
でもうちは、卵以外の材料も多かったり。
材料のことはあまり詳しく言えないですけど、
「プレーン」という名の、
実はヴィヨンの個性が詰まった味だと思います。

▲バウムクーヘンに使うバターはカルピス発酵バターです。


▲天然のバニラビーンズ。

──
「ふたごのバウムクーヘン」には
「特選」と「プレーン」の
ふたつの味が入っています。
「特選」のスパイシーさに
気を取られていたけど、
「プレーン」も実は特殊だったんですね。
石伏
もちろん「特選」は
「プレーン」よりさらに個性的で、
豊潤なナッツやスパイスの香りが特徴的です。
「特選」は材料、生地の仕込み、焼き、仕上げ、
どこをとっても
他のものとは違う方法で作っています。
(明日につづきます)
2022-02-17-THU
イラスト:丸山素直
取材・文:中川實穗