「ほぼ日ハラマキ あたためるもののお店。」が、
2018年の冬にひきつづき、
暑い季節も心地よく着られる
夏のパジャマをつくりました。

今回も一緒につくってくれたのは、
ご夫婦でパジャマづくりをしているチーム
NOWHAW(ノウハウ)です。

パジャマにつかう生地ができるまでを
NOWHAWの十河さん、
桑村繊維のおふたりにお聞きしてきました。

夏のパジャマは、7月3日(水)販売。

どうぞ、おたのしみに。

みなさん、夏、どんなスタイルで寝てますか?

Tシャツにスウェット?

タンクトップにショーツ?

もしかしたら、はだか?

浴衣や甚兵衛さん、なんて人もいるかもしれません。

どの室温を気持ちいいと感じるか、汗かきかどうか、
体調や感じ方はひとそれぞれ。
空調をつけて寝る人もいれば、つけたら眠れない人もいるし、
そもそも住環境だってみんなちがう。

同じ部屋に寝る家族でも、
「眠りやすい夏のパジャマ」って、
なかなか正解を見つけにくいんだと思います。

でも‥‥やっぱりほしい、快適な夏のパジャマ。

ほどよく通気性があって、さらりとしていて、
汗冷えしにくくって、きゅうくつじゃない、
そんなパジャマが。

そこで、2018年の冬、
一緒にパジャマを作ってくれたNOWHAW(ノウハウ)に
もういちど、相談してみました。

あんなに快適な冬のパジャマがつくれるチームなら、
夏にきもちいいパジャマも、
いっしょに考えてくれるんじゃないかな、って。

結論から言うと、できました。

リラックスして夏の夜がすごせるパジャマが!

素材は、オリジナル生地のトリプルガーゼ、
コットン100%の素材です。

リゾートバケーションをイメージして、
休日に着たら楽しくなるようなデザインの
“island”(アイランド)、
静かでシンプルなデザイン
ワンピースタイプの“shhh sleeper”(シースリーパー)、
そして冬、とても好評だった
前・うしろ・おもて・うら
どの面で着てもOKなパジャマ“any”(エニィ)
の3つが登場です。

この予告編では、NOWHAWの十河さん、
そして生地づくりをしてくださった、
桑村繊維の井上さんと横田さんといっしょに、
今回のパジャマができるまでのこと、
ふりかえってみたいと思います。

ちょっと専門的な話もまじりますが、
プロフェッショナルの凄さが
お伝えできたらと思います。

  • 左:十河幸太郎(とがわこうたろう)さん
  • 右:十河美紀(とがわみき/チューソン)さん

寝ること・寛ぐことが好きな夫婦が営むパジャマメーカー。

パジャマによる
「新しく思いがけない驚きのある休日と世界」
を過ごす為のノウハウ
Know-how for passing
“New Odd Wonder Holiday And World” by pajamas

暮らしに潤いと、精神的・感覚的豊かさを与える
“インテリア(空間)” , “ファッション(スタイル)” , “アート(表現)”
の要素を “寝心地最優先”という信念のもと、
“パジャマ”に落とし込む取り組みです。

“インテリア(空間)”としての“パジャマ”
“ファッション(スタイル)”としての“パジャマ”
“アート(表現)としてのパジャマ”

http://www.nowhaw.com/

  • 左:井上浩孝(いのうえひろたか)さん
  • 右:横田百恵(よこたももえ)さん

──
去年NOWHAWのみなさんと
冬のパジャマをつくらせていただいて、
そのとき、すでに、
「夏に気持ちいい素材のパジャマもつくりたい」
という話はしていたんですよね。
十河
そうですね。
前回、寒い季節に向けた、気持ちよく暖かいパジャマを
「ほぼ日ハラマキ」のチームと一緒につくり、
今度は、暑い季節に涼しく心地よく着られるパジャマをつくろうと、
素材をどうしようって相談したとこから始まったんですよね。



いくつか生地をお見せしたなかで、
ほぼ日さんが、ふんわりとした柔らかさが特徴の
ガーゼ生地がいいなっていうことで気に入っていただいて。
──
一目ぼれでした。

ガーゼなら汗も吸ってくれそうだし、
なによりやさしい肌ざわりが魅力的でした。
十河
そのガーゼ生地っていうのは、
甘撚りの糸を低密度な平織りにした、
通気性や吸湿性に富んだ生地でした。

さらに、生地の厚みだとか風合いに関して、
お互いに意見を出し合う中で、
「だったら、私たちの理想のガーゼ生地をつくろう」
っていうことになって。



ガーゼ生地って、薄くて低密度なので、
一重のシングルガーゼだと肌が透けてしまいますし、
毎日着る日用品としては耐久性も弱いので使えません。

そこで、2重のダブル、
もしくは3重のトリプルにする必要がありました。

──
生地は3重にすることによって、
肉厚感とやわらかさがでるんですよね。
十河
同じ厚みでも1枚の厚いガーゼ生地より、
薄いガーゼ生地3枚のほうが、
通気性もよくなるんです。

その中で、せっかく生地を重ねるんだから、
表・裏でデザインが違う生地にしようっていうような
お話になったんですよね。
──
はい。そうすれば、前回も好評だった、
表と裏でちがう表情の布になる! って思いました。

前回は一重の布でしたが、
あや織りというデニム生地のような織り方をしていたので、
表地がネイビー、裏が杢のグレーの色だったんです。
十河
その前回の生地の見え方をふまえて、
今回は、片面が涼しげな水色のストライプで
もう片面がライトグレーのもの、
もうひとつは、片面が鮮やかなオレンジ色のストライプで
もう片面が黄色のもの、
この2種類の生地にしようって決めて。

十河
そうしてデザインが決まったところで、
僕たちNOWHAWが活動初期から
パジャマのための生地づくりでお世話になってる
桑村繊維の井上さん、横田さんにご相談しました。

前回の綿100%の両面起毛やナチュラルストレッチ加工という、
天然素材なんだけど少しストレッチがきくっていう生地も
井上さんのところで一緒につくらせていただいたんです。
──
前回のナチュラルストレッチ加工もびっくりしました。
十河
そうなんです。

今回も、糸の色は横田さんにすぐに相談して。

糸を染めた見本がたくさんあるんですけど、
それを見せていただきながら、
パソコンでシミュレーションしていただいたり‥‥

横田さんとふたりで、「こういう感じじゃないか」っていうので、
なんども調整しましたね。
横田
そうですね。色だしがかなり苦労しました。

──
最初は、蛍光色のストライプにしたかったんです。

でも蛍光色はどうしてもむつかしいということで、
できる範囲で鮮やかな色を目指しました。

でもその鮮やかさもなかなか出なくて‥‥

何度もご無理を言って試していただきましたね。
井上
蛍光色はどうしてもパジャマには向いてないんですよね。

色が落ちやすいんです。

パジャマでは洗濯回数がかなり多いものなので、
洗うほどに、だんだん色が薄くなります。

また、強い薬剤を使うので、生地の耐久性が悪くなります。
十河
パジャマとして体感的ににいいものにしたかったので、
色落ちしづらく、耐久性のある先染めの糸でだせる色で
一番イメージに近いものを目指しました。

──
あともうひとつ、
大変だったとお聞きしたことがあるのですが、
前回発売したパジャマで、any(エニィ)という、
前・後ろ・表・裏どの面でも着れるというモデルがありまして。

それを今回もやりたい! と思ったときに、
生地で表と裏が違う表情だと、
その良さが出るじゃないですか。

それで今回も無地の面とストライプの面で表現したのですが‥‥。
十河
トリプルガーゼでそれを実現するのに、
けっこう苦労があったんです。
井上
そうですね。

3枚のガーゼを1枚の生地として扱うために、
「とめ」というのが必要になるのですが‥‥

その「とめ」っていうのは、
ボンドでくっつけるわけではなく、糸でとめるので。
その糸が、どうしても目立つんですね。
たとえば今回のグレーの生地に白の糸でも、
どうしても点点々と出ちゃうっていうのを、
どう防ごうかって考えてて。



無地の面の糸色とまんなかの布、
ストライプの面の糸色とまんなかの布を
それぞれとめることによって、
表面的にはすごく自然な仕上がりにすることができました。
──
なんと、こまやかな!
井上
そして、これはお客さんからは
ぜんぜん見えないところなんですけど‥‥

じつはまんなかのガーゼも
うすくストライプをひいているんです。
──
え?!

どうしてここにストライプを?
井上
まんなかに無地のガーゼをはさむよりも、
たとえば、グレーの布のときは
ブルーストライプと同じ位置に
グレーのストライプをもってくることで
グレー側に反対側のストライプが透けにくいんです。

──
これはすごいです!!
十河
もちろんうすい生地なので
100%透けないっていうことはないんですけど、
その透ける影響をなるべく抑えようと、
いろいろアイディアを出してくださって。

おかげで、本当にいいものができましたよね。
井上
初めはもう、すっごい、どうしよう、どうしよう。

どうしたらできるんだろう、って思ってました。

──
桑村繊維さんでも初めてのことですか?
井上
そう、やったことがないことだったんですよね。

おもて側で使う糸色を裏にも使うっていうのが、
基本的な両面リバーシブルの生地の接着方法なんです。

十河
今回の色と柄のちがう生地のくみあわせは、
新しいチャレンジだったんですよね。

そんななか、井上さんが突然
「ひらめいた!」と、言ってくださって。



僕が井上さんにすごく信頼をおけるのは、
僕らも「こんなことやってみたいんですけど」っていう話で、
井上さんにご相談しにいくわけです。

「どうやるかな」「どうやったらできるかな」って、
前例がないようなケースも多々ある中、
井上さんが今までの経験だとかを組み合わせながら、
なるべく理想に近いものを作ろうとしてくださる。
──
頼もしいですね。
十河
横田さんにしても井上さんにしても、
寝ることは日常の中にあるわけですよね。

その寝るときに身に着けるものって、どんな素材がいいのか、
お二人とも普段から意識していただいて。

これは寝心地が悪くなりそうだよねっていうものは、
お二人のところでもストップをかけていただけるので、
着る人みんなが寝心地のいいものを作ろうっていう思いで、
一緒にものづくりができてるなっていう実感はありますね。

(つづきます)