- ──
- ガーゼは通気性がいいというイメージがありますが、
今回の生地であるトリプルガーゼが、
特に夏にオススメな理由とかって何かありますか?
- 十河
- 夏向きの素材っていくつかあると思うんですけど、
まずサラッとした肌触りで、かつ、軽やかな生地。
あんまり目が詰まりすぎてないほうがいいですし、
ある程度柔らかさを表現するには、
風合いが大事です。
毛羽立たせることで柔らかさはでるのですが、
暑い季節に寝苦しくなるような
ものであってはいけないので、
起毛とは違うやり方で
柔らかい風合いを出していくかと考えました。
ウォッシュ加工という水洗いをすることで、
生地を柔らかくしていくということを
今回はやってくださっていて。
僕らも今までパジャマの生地で
ウォッシュ加工っていうのは
過去何度もお願いしてきたんですけど、
このガーゼ生地は今までと違う機械を
使って洗ってくださったんですって。
いいですか、それを伺っても(笑)。
- 井上
- もちろん。
通常、ウォッシュの機械っていうのは、
簡単にいうと大きい洗濯機の中に
生地をドカンと入れて洗うんです。
温度もかなり高い中で洗って、
糸の、芯をなくしていく、それが通常なんですけど、
今回はそれをやるとどうしても変なシワがでるんです。
強制ジワって言い、
それを味や表情としてやることもあるんですけど、
パジャマには不向きなので、
「FVウォッシュ」というものを使いました。
- ──
- FVウォッシュとは?
- 井上
- FVはフローティングバイブローの略で、
90ヘルツのバイブレーションで‥‥。
- ──
- うわ、ちょっとむずかしいです。
- 井上
- 簡単にいうと泡のお風呂です(笑)。ジェットバス。
強制的に泡を起こして、
その中に生地をゆっくり流していくっていう感じです。
たとえば人間がジェットバスに入って
体のコリがほぐれるのと同じというか、
そういった効果をこの生地に
与えているっていうことなんです。
- 十河
- ジェットバスで気持ちよくなった、
リラックスした生地ということですね。
- 井上
- はい。これをすると、柔らかさが全然違いますね。
- ──
- FVウォッシュにかけることで、
生地は最初からコシが抜けて柔らかくなっている。
それは‥‥着ているうちに
もっと柔らかくなっていくんですか?
- 井上
- そうですね。
洗濯をすることによって、もっと柔らかくなります。
たとえば、古着って風合いがすごくいいじゃないですか。
やっぱりそれって、洗うことによって
だんだんだんだん、糸のコシが抜けてくるからなんです。
- 十河
- もちろん購入いただいてすぐに着たとして、
はじめから気持ちいいと感じてもらえるものを
僕らは作るんですけど、
パジャマって使い込むたびに
どんどん良くなっていくので、
これもますます柔らかく、
気持ちよく着られるようになるとおもいます。
日常で皆さんがゴロゴロするときに
欠かせないものになるんじゃないかなと。
- ──
- いいですねえ。
やわらかいものにつつまれていたら、
気持ちもやさしくなりそうです。
- 井上
- やはり今回は、
「やわらかさ」っていうのが
僕の中でもテーマでした。
だから生地をふんわり仕上げるために、
織るスピードをゆっくりにしています。
- ──
- 織るスピードを、ですか?
- 井上
- 通常は、けっこうな速いスピードで織っていきます。
できるだけ回転数を上げれば生産性、
すなわち一日に織れる量っていうのは増えるんです。
ただ、それを極力抑えて、
ゆっくり糸を送り出すことによって、
生地自体が柔らかくなるんです。
- 十河
- 空気を含む分、やわらかくなりますよね。
- 井上
- はい。
- ──
- なんだか、贅沢ですね。
この生地、ますますすごい気がしてきました。
- 十河
- 僕らも3重というのははじめての挑戦でしたが、
ガーゼ生地の最高峰が
できたんじゃないかなと思います。
- ──
- 最高峰!
- 井上
- 僕たちもはじめて。トリプルガーゼというのは。
- 横田
- じつは、そうなんです。
- 十河
- こんなさらっと言ってますけど、
井上さんも横田さんも、
最後の最後までいろいろ踏ん張って考えてくれました。
おふたりのひらめきでこの生地が実現できたんです。
- ──
- 風合い、デザイン、着心地、
どれもパジャマにぴったりのものができました。
リラックスした生地でつくったパジャマで、
夏をきもちよく過ごせそうです。
みなさん、きょうはありがとうございました!
- 十河
- 夏がたのしみです。
ありがとうございました。
- 井上、横田
- ありがとうございました。
(おわります)