「ほぼ日ハラマキ あたためるもののお店。」が、
2018年の冬にひきつづき、
暑い季節も心地よく着られる
夏のパジャマをつくりました。

今回も一緒につくってくれたのは、
ご夫婦でパジャマづくりをしているチーム
NOWHAW(ノウハウ)です。

パジャマにつかう生地ができるまでを
NOWHAWの十河さん、
桑村繊維のおふたりにお聞きしてきました。

夏のパジャマは、7月3日(水)販売。

どうぞ、おたのしみに。

──
ガーゼは通気性がいいというイメージがありますが、
今回の生地であるトリプルガーゼが、
特に夏にオススメな理由とかって何かありますか?
十河
夏向きの素材っていくつかあると思うんですけど、
まずサラッとした肌触りで、かつ、軽やかな生地。

あんまり目が詰まりすぎてないほうがいいですし、
ある程度柔らかさを表現するには、
風合いが大事です。



毛羽立たせることで柔らかさはでるのですが、
暑い季節に寝苦しくなるような
ものであってはいけないので、
起毛とは違うやり方で
柔らかい風合いを出していくかと考えました。



ウォッシュ加工という水洗いをすることで、
生地を柔らかくしていくということを
今回はやってくださっていて。



僕らも今までパジャマの生地で
ウォッシュ加工っていうのは
過去何度もお願いしてきたんですけど、
このガーゼ生地は今までと違う機械を
使って洗ってくださったんですって。

いいですか、それを伺っても(笑)。
井上
もちろん。

通常、ウォッシュの機械っていうのは、
簡単にいうと大きい洗濯機の中に
生地をドカンと入れて洗うんです。

温度もかなり高い中で洗って、
糸の、芯をなくしていく、それが通常なんですけど、
今回はそれをやるとどうしても変なシワがでるんです。

強制ジワって言い、
それを味や表情としてやることもあるんですけど、
パジャマには不向きなので、
「FVウォッシュ」というものを使いました。
──
FVウォッシュとは?
井上
FVはフローティングバイブローの略で、
90ヘルツのバイブレーションで‥‥。

──
うわ、ちょっとむずかしいです。
井上
簡単にいうと泡のお風呂です(笑)。ジェットバス。

強制的に泡を起こして、
その中に生地をゆっくり流していくっていう感じです。

たとえば人間がジェットバスに入って
体のコリがほぐれるのと同じというか、
そういった効果をこの生地に
与えているっていうことなんです。
十河
ジェットバスで気持ちよくなった、
リラックスした生地ということですね。
井上
はい。これをすると、柔らかさが全然違いますね。
──
FVウォッシュにかけることで、
生地は最初からコシが抜けて柔らかくなっている。

それは‥‥着ているうちに
もっと柔らかくなっていくんですか?
井上
そうですね。

洗濯をすることによって、もっと柔らかくなります。

たとえば、古着って風合いがすごくいいじゃないですか。

やっぱりそれって、洗うことによって
だんだんだんだん、糸のコシが抜けてくるからなんです。
十河
もちろん購入いただいてすぐに着たとして、
はじめから気持ちいいと感じてもらえるものを
僕らは作るんですけど、
パジャマって使い込むたびに
どんどん良くなっていくので、
これもますます柔らかく、
気持ちよく着られるようになるとおもいます。

日常で皆さんがゴロゴロするときに
欠かせないものになるんじゃないかなと。
──
いいですねえ。

やわらかいものにつつまれていたら、
気持ちもやさしくなりそうです。
井上
やはり今回は、
「やわらかさ」っていうのが
僕の中でもテーマでした。

だから生地をふんわり仕上げるために、
織るスピードをゆっくりにしています。
──
織るスピードを、ですか?
井上
通常は、けっこうな速いスピードで織っていきます。

できるだけ回転数を上げれば生産性、
すなわち一日に織れる量っていうのは増えるんです。

ただ、それを極力抑えて、
ゆっくり糸を送り出すことによって、
生地自体が柔らかくなるんです。

十河
空気を含む分、やわらかくなりますよね。
井上
はい。
──
なんだか、贅沢ですね。

この生地、ますますすごい気がしてきました。
十河
僕らも3重というのははじめての挑戦でしたが、
ガーゼ生地の最高峰が
できたんじゃないかなと思います。
──
最高峰!
井上
僕たちもはじめて。トリプルガーゼというのは。
横田
じつは、そうなんです。
十河
こんなさらっと言ってますけど、
井上さんも横田さんも、
最後の最後までいろいろ踏ん張って考えてくれました。

おふたりのひらめきでこの生地が実現できたんです。
──
風合い、デザイン、着心地、
どれもパジャマにぴったりのものができました。

リラックスした生地でつくったパジャマで、
夏をきもちよく過ごせそうです。

みなさん、きょうはありがとうございました!
十河
夏がたのしみです。

ありがとうございました。
井上、横田
ありがとうございました。

(おわります)