このジュースができるのを
誰よりたのしみにしていたのは、糸井重里です。
もともと糸井はベルファームさんの
野菜やフルーツのジュースが好きで
飲み続けていました。
ベルファームさんの畑で、
ほぼ日オリジナルのジュースを
野菜から育ててくださることになり、
つくば市の畑を訪れ鍬入れ式を行ったのが半年前。
そして2021年1月、
フレッシュな100%ジュース「畑deしぼり」が
ついに完成。届いたばかりの3種類を、
さっそく飲んでみることに‥‥。
- 糸井
- (3種類のジュースを前にして)
こうして完成したものをみると、
うれしいですね。
- ――
- はい。ついにできました。
はじめてベルファームのかたと
お会いしてから、一年以上経ちます。
- 糸井
- では、さっそく、
どの順でいきましょうか。
- ――
- それでは、まんなかの、
にんじんのジュースからお願いします。
「ひとみ五寸」という品種を使ったものです。
- 糸井
- いただきます。
- 糸井
- ‥‥ああ、いいね。
おいしいです。
- 糸井
- にんじんって、すごいよね。
ぼく、にんじんのきんぴらが
大好きなんです。
すいすいといけますね。
- ――
- はい。「ひとみ五寸」は、
まろやかですっきりとした味わいが特徴です。
では、次もにんじんのジュースで、
真っ赤な色の「京くれない」をどうぞ。
- 糸井
- たしかに赤いね。
じゃ、いただきます。
- 糸井
- (目を見開き)
おお?
- 糸井
- ‥‥これ、すごいよ。
にんじんじゃない。
違う味だ、これ。
- ――
- 違う味。
- 糸井
- あのさ、人が聞いたら、
「ふざけてる」って言われそうな、
コメントしてもいい?
- ――
- は、はい。
- 糸井
- これ、メロンだよ。
- ――
- ‥‥メロン!
- 糸井
- 実が赤っぽい色のメロン、あるでしょう。
あれをしぼったら、
きっとこんなふうにあまいぞ。
これさ、中身を言わずに誰かに飲ませたら、
メロンだって言う人、いると思いますよ。
‥‥伝わるかなぁ、これ。
- ――
- ああ、でも、たしかに‥‥!
この「京くれない」、
メロンのような、
さわやかなあまみがありますね。
砂糖も入っていないのに、
こうなるってすごいです。
最初の「ひとみ五寸」も、
また違ったおいしさがあるので、
飲み比べて楽しんでいただけたらなと。
- 糸井
- うん、最初に飲んだ「ひとみ五寸」も、
すっきりとしたあまさがあって、
ああ、にんじんっておいしいよなぁ、
にんじんがまずいと思っている人たち、
かわいそうだな、これ飲めばいいのにって
飲みながら思いました。
そして、今飲んだこの「京くれない」は、
クリーミィで、香りがあって、
あまさが熟したくだもののようで‥‥。
いや、おっどろいたなぁ。
もうね、ほんとうに、やられた!
- ――
- ああ‥‥よかったです!
ベルファームのみなさんのおかげです。
では最後に青汁、
品種は「ハニーケール」です。
- 糸井
- ベルファームさんも、
もともと青汁をつくろう、
というところからスタートしたわけで、
いわば原点ですね。
いただきます。
(す――っと、一気に飲む)
- 糸井
- ああ‥‥これは、
にんじんみたいなあまさは
もちろんないけど、でも飲みやすい。
- ――
- よかったです。
いま糸井さん、すーっと飲まれましたよね。
青汁って、苦くて飲みにくいと
一般に言われていますが、
この「ハニーケール」は、
エグミと苦味が少ない品種なんです。
- 糸井
- たしかに、口のなかに
少しあまみが残ってます。
ぼく、野菜はいくら摂ってもいい、って、
お医者さんに言われてるんですよ。
それで自分なりに工夫はしていますけど、
「野菜か、どうしようかな」って思ってまして‥‥。
これ、解決しますね。
「野菜摂ってる感」がすばらしくある。
- ――
- はい。添加物などを一切加えていない、
ハニーケールの葉っぱそのものですから。
- 糸井
- これさ、朝起きて最初に飲むものとして
習慣づけたいね。
- ――
- ベルファームさんも、
朝飲むのがおすすめとおっしゃってました。
- 糸井
- 3つとも全部いい。
このプロジェクト、
途中でいろんなことがありましたよね。
- ――
- はい、試行錯誤しました。
特に前半は、品種をどうするかなど、
ベルファームさんと
何度も話し合いを重ねて、ようやく決まりまして。
- 糸井
- そういう苦労を、この味がぜんぶ乗り越えてますよ。
とくに、この、にんじんの「京くれない」、
これはもう、別世界です。
- ――
- 別世界!
- 糸井
- 高橋禎彦さんのコップで
飲んだのも良かった。
まさにこういうのが欲しかったんです。
- ――
- ジュースがきれいに映えて、
毎日つかえる丈夫なコップを、ということで、
高橋さんに試作を
繰り返していただいて完成しました。
このコップがついたセットも販売します。
- 糸井
- このサイズが、ジュースを入れたときに
ちょうどいいんだよね。
あと、そうそう、
このジュースは冷凍だけど、
解凍が案外簡単だってことも伝えたい。
水道水をじゃーっと流しながら、
袋をかるく揉んでると、わりとすぐ溶けちゃう。
- ――
- そうですね。
- 糸井
- こういうのって、そもそも
氷を入れて飲みたい気分になるじゃないですか。
だから、溶けきるのを待たずに、
シャリシャリの部分が残っててもオッケーだし。
- ――
- 糸井さん、ベルファームさんの
ジュースを飲まれてるので、
詳しいですね。
- 糸井
- そう、飲んでますし、ベルファームさんの
玄米おにぎりも食べてます。
でも、実はもっと昔、何十年も前、
ベルファームさんの青汁を飲んで
原稿を書いたことがあるんです。
だから、その実力は知っていたんですけど、
当時はまだ冷凍の商品を
ふだんづかいするという習慣がなかったし、
ああ、たしかにからだにいいものですね、
という感じですませてしまっていたんです。
言ってみれば、時代がまだ
追いついてなかったんですよね。
- ――
- 今は、わりとなんでも
冷凍で保存しますよね。
- 糸井
- うん、冷凍の力ってすごいと思う。
うちはブイヨンがいたころ、
犬にあげる用の生肉を冷凍保存しておくために、
普通の冷蔵庫とは別に、
冷凍庫だけを追加で買ったんです。
- ――
- 冷凍庫を追加で。
- 糸井
- そう。冷凍食品を量を気にしないで買えるし、
家でつくったものも冷凍できるし、
すごく楽になったんです。
でも、このジュースは1袋あたりが小さいから、
家庭の冷蔵庫の冷凍エリアが
食品でいっぱいでも隙間におさまると思いますよ。
‥‥いや、しかし、
こういうジュースができるってすごいなぁ。
これ、畑でにんじんを育てた人も、すごい。
- ――
- 「ひとみ五寸」も「京くれない」も、
農場長が収穫時期を的確に見極めているんです。
実がじゅうぶん土の中で熟した、
という時期をさらに超え、
ぎりぎりまで追熟させてから
収穫してジュースにしているので、
ここまであまくなるそうです。
- 糸井
- はああ、そうか。
あの農場でやってることって、
「たまたまこういうものができたから
ジュースにしました」じゃないですよね。
にんじんも、どう育てたら
おいしいジュースになるか、
そこをわかってて、その通りに仕上げている。
そこが、ほかと全然違いますよね。
- ――
- 鈴木社長が青汁をつくる決意をされて、
土づくりをはじめて、
畑の隣にジュース工場を建てて。そこには、
一貫生産する、という信念があったそうです。
- 糸井
- それは現地に行って痛切に感じました。
はじめから先を見越してますよね。
原料を自前の畑から仕入れる、
というところからスタートしたのも、
最終的な品質をイメージできていたからで、
そこに向かっての努力を重ねてこられて。
ベルファームさんの取り組み方は、まさに、
うちが掲げている「夢に手足を。」だと思います。
- ――
- はい、学ばせていただくことばかりです。
今年は新型コロナの問題で
実現できなかったですけど、
いつか、状況が落ち着いたら、
ベルファームさんの畑でも、
ジュースを買ってくださった方々を招いて、
いろんなことができればと思ってます。
- 糸井
- 畑の野菜をみんなで収穫して、
キャンプのようなことができるといいかもね。
にんじんをそのまま焼いたり、
ふかしたりしてもおいしいだろうなぁ。
昔はさ、にんじんって、特に子どもとかが
「にんじん、嫌い」なんて言ったりして、
苦手な野菜の代表選手でしたよね。
でも、変わっていくと思う。
トマトも変わったでしょう。
いま、トマト大好き、っていう人、
いっぱいいるでしょう。
- ――
- たしかに。
- 糸井
- これは絶対、主役になれるにんじんですよ。
‥‥ああ、さっきのおどろきと、
感想を言いたい気持ちが、
まだ尾をひいてる。
みんなに早く飲んでもらいたいですね。
というか、俺も買うよ(笑)。