毎日使うものだから、
使いやすいものがいい。
ジュースをいれたときに
きれいに見える、かっこいいコップがほしい。
そんなわがままなお願いを、
ガラス作家の高橋禎彦さんが叶えてくださいました。
▷高橋禎彦さんのプロフィール
まいあさのコップについて
高橋禎彦さんに
お話を伺いました。
- ――
- 使いやすくて、
見た目もすてきなコップができましたね。
- 高橋
- よかったです。
最初にみなさんと打ち合わせをしたとき、
高さがありすぎず、ある程度は横の広さがあって、
しかも倒れにくいコップがいい、
そういう声があったので、
まずはそこを意識してつくりはじめました。
- ――
- 横の広さがあることで
ジュースが入れやすいですし、安定感があります。
あと、底の厚みも特徴的ですよね。
ここの厚みがあるおかげで、
ポンと普通に置いているだけで、
ちょっと特別な雰囲気が出ます。
- 高橋
- 底の厚みについては、
最初はあまり厚くするのもどうかな、
と思っていたんだけど、
やっぱり厚みがあったほうが特別感が出るし、
ジュースのほかにお酒を入れても使えるかなと。
ほかのことにも使えるって、わりといいことなので。
- ――
- たしかにこれ、たとえば
冷酒を入れて飲んでもよさそうです。
- 高橋
- 実はぼくも、ジュースを飲む以外に、
お酒を飲むときにも使ってます(笑)。
- ――
- 試作段階から比べると、
けっこうかたちが変わりましたよね。
- 高橋
- そうそう、最初は、底の面積を広くするために
四角っぽいものを目指していたんです。
そしたら、たまたま底にまるみがあるコップができて、
それを試作としてほぼ日さんに送ったら、
このほうがいいという話になりまして。
でも、たまたまできちゃったんで、
どうやって再現しようかと‥‥(笑)。
- ――
- えっ、たまたま?
- 高橋
- 全部たまたまなんです。
ま、ものづくりってそんなものですよ。
料理もそうじゃないですか。
「あ、今日の玉子焼きはうまいな。
‥‥どうやってつくったんだっけ」みたいな(笑)。
これも、どうやってつくったのかわかんなくて、
けっこう試行錯誤しました。
▲試作段階のもの
- ――
- 無事に再現できてよかったです。
これ、見た目もすてきですが、
使ってみるとその良さがもっとわかりました。
今回発売する野菜ジュースは、
朝起きてすぐ飲んでいただくことを
推奨しているんですけど、
起き抜けでぼうっとしているときでも(笑)、
しっかり持てて安心感があるんです。
全体に少し厚みがありますよね。
- 高橋
- ぼくが今までつくっていたのは、
わりと薄めのコップが多かったんですけど、
今回、実際にジュースを入れて自分でも試しているうちに、
もうちょっと厚みがあってもいいかなと。
あとは、側面にスタンプを押すので、
あまり薄くできないという理由もありまして。
- ――
- なるほど。
- 高橋
- それともう一つ、
今回は容量が100gのジュースが入るもの、
というしばりがあったので、
大きさやかたちをある程度そろえるために
いろいろ手法を変えてやってみたんです。
ふだんは完全にフリーでやるんです。
質感重視といった感じで、
大きさを気にせずにつくることが多くて。
- ――
- たしかに、いつもの高橋さんのコップは
ひとつひとつがちょっとずつ違って、
そこが魅力なんですけど、
今回のコップには、
このジュースが入るサイズ、という
しばりのようなものがあって。
- 高橋
- ただ、それでもやっぱりある程度しか
揃えていません。
全く同じものはぼくの作品ではできないので。
いわゆる、型に入れてきっちり寸法合わせて‥‥という
工業製品のようなつくりかたじゃなくて、
吹き竿でプーッとコップを膨らませる
18世紀ぐらいのヴィンテージみたいな手法を
とっているんです。
- ――
- はい、「宙吹き」というんですよね。
※宙吹きについては、
こちらの動画をご覧ください。
「はじまりのコップ」(2012年の動画です)
- 高橋
- そうです。産業革命より前は、
みんなそのつくりかたをしていたんですけど、
産業革命後、19世紀くらいからは
機械でガラスをつくるようになって、
そのやり方をしないほうが量がつくれるとなって、
ほとんどのところがやめちゃったんですよ。
- ――
- とても手間がかかる、
むずかしいつくりかたですよね。
- 高橋
- ヒビが入っちゃったり、
吹いてるときに落っこっちゃったり。
慣れないといろいろあるんです。
その大変さがおもしろいところでもあるんですけどね。
ぼくのつくったコップの底を見てもらうと、
中心のところに必ず、
ポンテという道具を外す際の跡があるんです。
- ――
- ありますね、跡。
- 高橋
- ポンテ跡を焼いてなくしちゃう工場もあるんだけど、
ぼくはそのポンテ跡が好きなので、残したいんです。
今回、ロゴを底にいれるアイデアもありましたけど、
そうするとポンテ跡が残らないし、
それもあって横にロゴを持ってきました。
- ――
- そうでした。
HOBOのロゴも、
もともと底につけようという話がありましたね。
▲最初は底にロゴを入れる予定でした
- 高橋
- ロゴのスタンプを押すのは、
結構ハードルが高い作業なので、
なるべく難しくない場所といえば底だったんです。
厚みがあるところのほうが失敗が少ないから。
でも、やっぱり、つまんないなと思っちゃって、
横につけるのは難しいけど、やってみようか、
と思って、最終の試作を送るときに、
ぼくが勝手に横にロゴをつけたものを送ったんです。
- ――
- はい、それをみんなで見て、
ああやっぱり横にあったほうがかわいい、
という話になりまして。
- 高橋
- 自分で言ってそうしたものの、
やっぱり側面にスタンプを押す加減が難しくて、
その部分だけ繰り返しやり直しました。
20個くらいは練習したかな。
昔、ほぼ日さんとつくった「BIGINNING」のロゴで
だいぶ練習したので、それも役に立ちました(笑)。
- ――
- そのときの経験を活かされて、
さらに偶然性から、このかたちが生まれて、
最終的にいいものができたというのが、
すごくおもしろいです。
デザイン性と使い勝手が共存したコップで、
ふだんづかいで使えるのに、
でも大事にしようっていう気持ちも
ちゃんと芽生える‥‥というか。
- 高橋
- それはよかったです。
使い勝手でいうと、結構ガツガツ使っても平気、
みたいな部分はちょっと目指しました。
それは、ぼくがあんまりやったことないことの
一つでもあるんです。
完成までに時間は相当かかりましたけど(笑)、
でも、たのしくつくれましたよ。
- ――
- 性別や年齢を選ばず、ほんとうに
どなたが使っても合うコップだと思います。
どうもありがとうございました。
- 「畑deしぼり」ジュースの、
高橋禎彦さんの「まいあさのコップ付き」セットは
数量限定販売です。
畑deしぼり まいあさのコップ
<サイズ>高さ:約8.7cm/直径:約6.7cm/重さ:約194g
ぜんたいにしっかりしたつくりで
安定感があり、持つと手にしっくりなじみます。
ジュースが注ぎやすいよう口は広め。
口当たりはやさしく、
底の部分に厚みがあるのが特徴です。
側面には「HOBO」のロゴが入っています。
ひとつひとつ手づくりなので、
大きさや重さなど「きっちり同じ」ではありませんが、
畑deしぼりのジュース(100g)が
ちょうどよく入るサイズでつくっていただきました。
※単品での販売はしておりません。