Miknits、勢ぞろい。 Miknits、勢ぞろい。

Miknits歴代作品の編み図を
ほぼ集めた本、
『ミクニッツ 大物編』、
『ミクニッツ 小物編』に掲載されている
作品を編むための糸パックができました。
2020年10月に文化出版局より、
Miknitsで発表してきた歴代作品の編み図をたくさん集めた、
作品集『ミクニッツ 大物編』、『ミクニッツ 小物編』が出版されることになりました。
40作品以上が集まった、とっても贅沢な2冊の作品集。
ほぼ日ストアでは、本に掲載された作品の指定糸を販売します。
これまでのMiknitsや本ができるまでのことを、
三國さんにうかがいました。

『ミクニッツ 大物編』『ミクニッツ 小物編』ができるまで。 『ミクニッツ 大物編』『ミクニッツ 小物編』ができるまで。

──
Miknitsを立ち上げて8年が経ち、
これまで発表した40作品以上があつまるとは、
とっても贅沢な本ですね。
三國
うれしいですよね。
自分で言うのもなんですけど、
Miknitsは、
すごく丁寧に実らせてきたものなんです。
ほぼ日のMiknitsチームと一緒に、
時間をかけて、じっくり育ててきた。
だから、私たちのエネルギーがたっぷりと
つまっています。
もう、わが子のようなもので、
そこには主観しかないんですね。
──
そうですね。
目に入れても痛くない、といいますか、
大事に育ててきたと思います。
三國
なので、これまでのMiknits作品を
本にまとめるにあたっては、
外部の目が絶対に必要だと思いました。

冷静にMiknitsをみてもらって、
あたらしい命を吹き込んでほしい。
それに、私たちも新鮮な目でもう一度、
Miknitsをみつめることができるいい機会じゃないですか。
それで、たびたびお世話になっている、
文化出版局の編集者である三角さんにお願いをしました。
──
三國さんと三角さんは、
はじめての著書『編みものこもの』にはじまり、
『編みものワードローブ』『きょうの編みもの』
『冬の日の編みもの』『編みものともだち』
『アラン、ロンドン、フェアアイル 編みもの修学旅行』と、
いくつも一緒に本をつくられています。
三國
わたしたちは三角さんにお願いできて
心強いですよね。
──
そうですね。
どんな本になるのか、とってもたのしみです。
今回、スタイリングも三國さんが
されていますね。
三國
そうですね。
やっぱり、わたしのつくるものっていうのは、
普段わたしが着ているものから派生して
できあがった作品なんですね。
「じぶんの、どの服と組み合わせようかな」と、
着やすさを考えてつくることがほとんどです。

なので、今回のわたしのスタイリングをみてもらうと、
つくる作品のトーンというのかな、
雰囲気だったりイメージだったり
感覚的なものが伝わるんじゃないかなと思います。
──
以前、ほぼ日で連載いただいていた
「編んで着て(ときどき)うろちょろするわたし」でも
たくさん私物を披露いただいていて、
どれもとってもかわいくて。
あの時も、お手持ちの服とMiknitsの組み合わせが
すてきでした。
三國
たしかに、あれが
はじめてのスタイリングだったかもしれない。
あのときもおもしろかったですね。
──
今回はどのようなスタイリングになったのですか?
三國
わたしの普段着がベースにあるので、
自由に好きなものをつめこみました。

男の子のスタイリングもあったので
リースもしましたが、
基本は、わたしの持っている洋服で
組み合わせを考えました。
本とか漫画とか絵とかカゴとか布団とか、
小道具もほとんど私物です。
リースの仕方がわからなかったという
理由もありますけど、でもね、
じぶんのものが好きなんです。
「個人的」ということ、つまりわたしが
何が好きかってことを、本を作る上でも大事にしたいと思う。
──
買い物はエネルギーだと、
連載の中でもおっしゃっていました。
エネルギーがつめこまれたものたちですから、
三國さんのものが、いいと思います。
三國
料理をつくる人は、食べものからエネルギーをもらって
つくる気持ちを高めているんだと思います。
私は、誰かが一生懸命つくった服やものから
メラメラとエネルギーをもらって、
「じぶんもやるぞ」と思いながらつくっているんですよね。
ものからいただく力は、大きいです。
──
スタイリング、という仕事については
いかがでしたか?
三國
初心者ですけど、たのしかったですね。
たのしい、という気持ちがベースにありながら、
じぶんではない、すらっとした細いモデルさんが
着られたときに素敵になるように、
調整するむずかしさも感じました。

それに、写真作品として、
とくべつにみせたい気持ちがあって。
写真で、ときめいてほしい。
どの作品も清潔感があって、
普段から着られるものです。
でも、写真をめくるたびに
知らない世界をのぞいているような、
ちょっと夢がある。
そんなスタイリングにできると
いいなと思ってやりました。
──
あと、ほぼ日では毛糸と編み図がセットになっている
キットをつくってきましたが、
「編み図だけでほしい」という声もいただいていました。
もちろん、いい糸ですぐに編めるキットのよさはあるのですが、
そういう声に応えられる本がでるのは、
とってもうれしいことですよね。
三國
わたしもキットのよさを感じているので残しつつ、
そうした要望に応えたいと思っていたのでよかったです。
本になって、編み図が手元にあれば
いつでも好きなときに編めますからね。
──
本をつくられているときに、
これまでの作品を振り返ってみて、
それぞれの作品のとらえかたは変わりましたか?
三國
そうですね、変わりました。
Miknitsは糸と編み図をセットにして
販売する「編みものキット」なので、
糸のことも考えながら作品をつくっていました。

じぶんで糸からつくることができるなんて、
「なんて贅沢なんだろう」と思いながら
つくりはじめたわけです。
でも、はじめのころの作品を見かえすと、
糸を活かしきれていなかったなと
思う部分もあります。
──
はじめはお互いに手探りなところも、
ありましたよね。
三國
糸をつくるなんて、はじめてでしたからね。
でも、アランカーディガンだったかな。
三國
はじめのころにつくったものですが、
わりと難しい作品だったんですよ。
「こんな手の込んだものを、
 キットで編んでもらえるのだろうか」
という不安もあったのですが、
ほんとうにたくさんのかたが編んでくれました。
あれに、とっても救われましたね。
──
そうでしたね、
たくさんのかたに編んでいただきましたね。
三國
なので、今回あらためて作品を振り返ってみて、
じぶんなりに反省を繰り返しながら
作風がどんどん変わっていったんだなとか、
その当時の反応やじぶんの心境を思い出しました。

担当編集の三角さんとたくさんやりとりしています。
そこに、アートディレクターの有山達也さん、
カメラマンの長野陽一さんが、
重石のようにいてくださる。
意向を実らせようと努めながら、
「ここは違うと思う」ということは
はっきり言ってくれます。
──
すばらしいチームですね。
三國
当事者になると、ほんとうに大変ですけど(笑)。
──
三國さんは本づくりに対して、
特別な思いがありますよね。
三國
わたしは本が好きな子供だったんです。
本に育てられた、という気持ちがとてもあります。
だから、わたしなんかが本をつくっていいのだろうか、
という不安が30歳過ぎまでありました。
でも、編みものを続けるうちに、
個人ではなくて
ニットを通じたプロジェクトとして本を発表したら、
ちいさくても社会に貢献できることが
あるかもしれないと思えるようになったんですね。

いいチームとご縁があって、
何冊も本を出させてもらって、
本をつくることにのめり込みました。
本は、力を注げば注ぐほど、いいものになるんですよ。
だから、今回もよろこんでもらえると
いいなと思います。
2020-07-22 WED
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