- くみ
- 最初にこの話を聞いたときは、
「元になるレシピ」があって、それをただ、
再現する仕事かと思ったんです。
ほぼ日の人がジャムを煮る時間がないから、
誰か作業する人が必要なんだろうな、って。
- 糸井
- 違うよね(笑)。
- くみ
- 違いました(笑)。
最初に果物がずらーっと並んだリストを渡されて、
どうやるかも、何をどれだけ合わせるかも、
ぜんぶわたしに任されていたんです。
だから「おおおおお」とびっくりして。
「何を考えてるんだろう、この人たちは」と思って。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- ぼくとおなじような
とくにジャムづくりの専門的な知識がない人に、
じぶんの感覚を使って、考えながら、
試作をしてみてほしかったんです。
お金はかかるし、めんどうだけど
ぼくがそういうふうにして、
すごくおいしいのができたから。
ぼく自身が「じぶんでやるときと同じこと」を
試してみてほしかったんだよね。
- くみ
- やりながらだんだん、
そういうことなんだ、とわかりました。
- 糸井
- またそれを、くみちゃん、
ものすごく素直にやってくれたんです。
- くみ
- 最初、まさか、そこまで自分で考えて
やるものだとは思わなかったから、
呆然として。
だけど、ぼーっとしてたら
材料がどんどん届くんです。
「あ、またきた」「うわ、冷凍庫まで届いた」
「部屋がビンで埋め尽くされていく‥‥」って。
- 一同
- (笑)
- くみ
- でも、やりはじめたら
材料もどんどん減っていくし、ビンも減ってくし。
なによりいろいろ作ること自体が
とにかくたのしかったんです。
熱中しすぎて、1日に4回
ジャムを煮てた日とかもあります。
- 糸井
- 変な作り方なんだろうけど、
この方法自体が大発明だったなあ。
- くみ
- 冷凍庫が届いたときが、一番笑いました。
- ―――
- 毎回、相当量のくだものを送るから
「これはないな」と思って
くみちゃんに相談して、
ジャムの材料を保管してもらうための
冷凍庫を送ったんです。
- くみ
- 試作をはじめた当初は
「まず、うちの冷凍庫をあけなきゃ」と思って、
冷凍してたお肉とかをぜんぶ解凍して、
冷凍の肉の日が毎日続いて。
ただ、とどく果物の量が多いから
「うわ、とうとう入んないな」って思ってたら、
良いタイミングで冷凍庫が届いた(笑)。
- 糸井
- それは申し訳なかったね。
- くみ
- でも、そういうのも含めておもしろかったです。
冷凍庫がきてからは
ポーンと入れておけばいいだけになったし。
- 糸井
- それにしても、今回のジャム作り、
最高のキャスティングだったよね。
くみちゃんにお願いしたレシピ作りの部分って、
今となってみると、くみちゃん以外の
ほかの人にお願いするのが考えられない。
これ、たぶん社内のほかの乗組員に任せても、
できなかったと思うんです。
「感覚的」じゃなきゃいけないし、
「真面目さ」だって要るし。
- ―――
- くみちゃんほどたのしく、
ばりばり自由にできる人は、そういない気がします。
- くみ
- ‥‥いや、もうそれは、
やってること自体がおもしろかったから。
- 糸井
- ものすごく向いてる人と
いっしょにできたというのが
「感じるジャム」のしあわせだったね。
- くみ
- 今回のことで、いろんなケーキ屋さんとか
パン屋さんのジャムを見るのも
たのしくなりました。
「あ、こんな組み合わせもあるんだ!」とか
発見もいろいろあって。
- 糸井
- 「どんなジャムが好きか」の基準って、
実際、ふつうはそんなに厳しくないよね。
だけどこうやって実験のように作りはじめると、
「自分の作るジャムとと買ってきたこれ、
どっちが好きなんだろう?」
とか、ものすごく考えるようになる。
- くみ
- はい、そうなってます。
- 糸井
- そういう視点でものすごく考えて、
ぼくは「じぶんはこれがいちばん好きだ」と、
はっきり確信が持てたものだけしか
製品にしていないから、
やっぱり「おらがジャム」も、
今回の「感じるジャム」も、
ほかのジャムと比べたときに、
まだ一回も負けてないですね。
やっぱり、うちで出しているジャムが
いちばん好きだと思うもの。
- くみ
- そういえばわたし「おらがジャム」って、
つい、ジャム自体をパンとかにぬらずに
そのまま食べちゃうんですよ。
- 糸井
- わかる、食べちゃう食べちゃう。
不経済なんだけどね(笑)。
- くみ
- あと、やってみたことで
「市販のジャムって、なんて安いんだろう!」
と思いました。
ジャムって、ものすごく手間がかかるし、
みんな、どうやって作ってるんだろう、と思って。
- 糸井
- たぶん、ふつうはここまでやらないんだよね。
‥‥あと、そうだ、
まったく違う話になるけど、
このジャム、やっぱりバターとかと
いっしょに食べるの、うまいよね。
- くみ
- あ! それ、思いました。
ずっとバターとかぬらずに食べてたんですけど、
この前、バターをぬったパンにつけたら
すっごいおいしくて、びっくりして。
あと乳製品といっしょにしたりしても、
すごくおいしい。
- 糸井
- おいしいよなあ。
果物には油脂っ気がなくて、
バターを塗ったパンにはあるから
合わさってぐんとおいしくなるんだよね。
だから、クロワッサンとかだと
すなおにおいしさがわかりやすいと思う。
‥‥話してたらやりたくなってきた。
やってみよう。
(ぬって食べてみる)んんー!!
- 一同
- (笑)
- 糸井
- ほんとうまい!
- くみ
- わたしもじゃあ。
(食べてみる)‥‥ん―――!!
- 一同
- (笑)
- くみ
- おいしい! おいしい!
これ、やったほうがいい。
- ゆーないと
- わたしもやってみよ‥‥
めっちゃうま!
- 糸井
- ああ、うまい。
だめだこれ、食べすぎる。
- くみ
- ジャムおいしい。
- 糸井
- このジャムって、材料もいいんだよねぇ。
- ―――
- はい。材料はサンクゼールさんに
選んでいただいたんですけど、
「うちのベリーは
いいものを使ってるんですよ」って
ちょっと自慢されました。
- 糸井
- じぶんでジャム作っていて思うんだけど、
やっぱり材料がおいしくないと、
おいしいジャムって作れないんですよ。
それはもう、はっきりしてる。
- ゆーないと
- ああ、めっちゃうま。
分量の割合だけで、ここまでおいしくなるんだ。
- 糸井
- そう、めっちゃうま、だよなあ。
クロワッサン、爆発だな。
- くみ
- うん。爆発的においしい。
おいしいー。
- 糸井
- これ、大成功だね。
くみちゃんに頼んだのが大成功で、
作り方が大成功で、サンクゼールが大成功で。
くみちゃんが偶然、
この仕事が大好きだったおかげですね。
- くみ
- すごくたのしかったです。
- 糸井
- 「感じるジャム」シリーズ、
まだまだ増やしていきたいね。
- くみ
- はい、またやりたいです。
- 糸井
- ぜひ、やりましょう。
パン好き、ジャム好きの乗組員を中心に、
ほぼ日のいろんな乗組員に
「みっくすベリージャム」を食べた感想を
聞いてみました。
味や印象の参考に、どうぞ。
んん‥‥(しばらく考えたあと)
甘いのに、さっぱりしてます。
ブルーベリージャムって
ちょっとくどい味のものもあるんですけど、
これはむしろ、さわやか。
これ、たっぷり食べられそうです。
(多田)
おいしい!‥‥これ、なんだろう。
プチプチがおいしいです。
プチプチが。これ、なんだろう?
クランベリーかな。ラズベリー?
とにかくおいしいです。おいしい。
(ふじた)
うちの家族はみんな
ベリー系のジャムが大好きなので、
これ、ぜったい買います。
ヨーグルトとかに入れると、すごくおいしそう。
甘さがちょうどいいです。
このジャム、大好きです。
(いのうえ)
この、つぶつぶがおいしいです。
この大きいのは、ブルーベリー‥‥?
(粒だけを食べてみる)
たくさんのせちゃおう(また食べる)。
あれ? 何の味だろう。
すみません、もう一回(また食べる)。
このジャム、すごいですね。
ついつい食べちゃいます。
(杉本)
大人っぽい味で、おいしいです。
甘いのに、甘すぎない。
友達へのプレゼントとかにもよさそう。
(さくら)
(じっくり味わってみて)
‥‥香りがいい!
おいしくて、すごく香りがいいです。
(シノダ)
実のところわたし、
ブルーベリーのジャムはあんまり
得意じゃないのですが、
このジャムは、おいしいです。
‥‥なんでだろう?
ぜんぜん加工品感がないからかな。
フレッシュな感じがすごくします。
(モギ)
すごくおいしいです。
ほぼ日で出しているジャムのなかで、
これ、いちばん好きかも。
食べたあとも、けっこう長く
余韻がのこっている気がします。
(田口)
2015-02-06-FRI