ひとつ食べると、もうひとつ、もうひとつ。「POMPON CAKES」のクッキーボックス
HOBONIKKAN ITOI SHINBUN
鎌倉にあるケーキ屋さん
「POMPON CAKES(ポンポンケークス)」
ご存知でしょうか。
2022年の生活のたのしみ展では
ケーキボックスで出展し、大好評でした。
おいしいお店めぐりを日課にしている
ほぼ日のおかし担当が
はじめてここのクッキーを食べたとき、
ひとつ食べるともうひとつ食べたくなって、
なんとぺろりと平らげてしまいました。
今回「ほぼ日」で特別に販売するクッキーも、
試食時のみんなの手が、
もうひとつ、もうひとつと伸びていました。

どうしてそんなお菓子が作れるのか、
店主の立道嶺央(たてみちれお)さんと
嶺央さんのお母様でもある有為子(ういこ)さんに
お話をうかがってきました。

駅から遠いこの場所で
お菓子を売るまで

――
今日は平日で、雨も降っているのですが、
どんどんお客さんが来て、
ケーキが買われていきます。
作っているのは嶺央さんですか?
嶺央
はい。母(有為子さん)も作っています。
もともとは、お菓子は全て母が作っていました。
僕が生まれる前から、お菓子の教室をしていたので。
――
じゃあ、「ポンポンケークス」は
有為子さんがはじめたお店なのですか?
嶺央
いえ、「ポンポンケークス」は、
僕が「母のお菓子はおいしいから、
もう少し世の中に出てもいいんじゃないか」
と思ったことがきっかけでできました。
だから、僕はお菓子を作るつもりが
全くなかったんですよ。
有為子
食べるほうばっかりね(笑)。
嶺央
実はそんなにも食べてないよね。
基本的にお菓子教室でつくったケーキは
生徒さんのためのもので
「ケーキをたくさん食べた」
という思い出もないんです。
有為子
そうね。
私は子供の頃からケーキを作ることが好きで、
お教室も開いていたのですが、
子供たちには、
ケーキは誕生日とかクリスマスにいただくような、
特別な感じを残しておきたくて。
もちろん体のことも考えて、
ケーキがいつでも食べられるようには
しないようにしていました。
嶺央
僕自身、お菓子にそんなに興味もなかったんですよ。
デザインや建築でご飯を食べていくつもりでいましたし。
――
建築の勉強をされていたんですね。
嶺央
はい。建築オタクで、
世界中の建築を見て回れば建築家になれると思って、
大学も行かずに建築を見て回っていました。
20歳でアメリカを横断をしていた時には
西海岸のフードカルチャーに触れたりもしつつ。
建築にまつわるいろんな経験をして、
これからどうやって生きていこうかなと
思っている時期に、
ちょうど同世代の間で
西海岸のフードカルチャーが沸騰してきて、
「ブルーボトルコーヒー」とかができ始めたんですね。
それを見たとき、
「あ、直接建築をやらなくても
“建築”ってできるんじゃないか」
というイメージが湧いてきました。
――
暮らしをつくる、みたいな?
嶺央
そういう感じです。
僕自身もどちらかというと、ハード(建物)よりも
実際に中でなにが行われるかのほうに
興味がありました。
それで、地元・鎌倉の町の建築を日々観察しながら、
「町とつながるなにか」を探していたんですね。
サンフランシスコでは
同世代の人たちがコーヒーやフードを通して
町とつながるようなカルチャーがあったので、
コーヒーもいいかなと考えたりもして。
でもよくよく考えると、
母のお菓子なら、おいしいし誰もやってないな、と。
僕がパッケージのデザインもできるし、
なおかつ20代だったので怖いもの知らずで(笑)。
ケーキを通して人とつながれることが、
生業のひとつとして成り立っていけばいいかなと
母を巻き込んで‥‥。
有為子
ふふっ。
嶺央
それで、アパートの一室を工房として借りて、
母がケーキを焼き、
僕が自転車で鎌倉まで持って行って売るようになった、
というのがはじまりです。
――
それまでは、有為子さんのお菓子は、
お菓子教室だけで食べられるものだったんですか?
有為子
そうですね、
お友達のために作るぐらいで。
お教室に来てくださる方たちが、
「こういうのをもっといろんなところで
食べられたらいいのにね」
とはおっしゃってくださったのですけど、
まさかそんな、お店になるとは思っていませんでした。
でも、私はとにかくケーキを作ることが好きなので、
ケーキをたくさん作れるんだったら、いいなと。
それで息子が鎌倉の町を楽しくできたらいいな
ということで、始めました。
――
そしたら評判を呼んで。
嶺央
みんな「おいしい、おいしい」と言ってくれました。
わけもわからない自転車で始めたのに、
初日から売れ残ったことが一回もないんです。
――
初日から? すごいですね!
有為子
でも、もともとは家族のために作っていましたので、
いきなりそんなにたくさんは作れないんですね。
だから朝から一生懸命作っても、
持って行けるような量になるのは
夕方、暗くなった頃になってしまって。
「こんな時間から持って出て、
みなさん買ってくださるかしら」と思いながら
自転車を漕いでいく後ろ姿を見ていたんですけど。
しばらくすると「みんな売れたよ」って。
嶺央
僕は建築をやっていた頃、
都市のリサーチみたいなことしていたので、
このビジネスは鎌倉ではヒットするな、
という確信があったんです。
もちろん1日目は時間がかかりましたけど、
道行く人が買ってくれて、なくなっていきました。
――
観光客の多いお昼じゃなくて、
夜に売っていたわけですよね?
嶺央
いつも、鎌倉のシャッターが全部閉まる
20時30分くらいから売り始めて、
最終の電車が鎌倉に到着する
0時45分くらいに売り切って帰る、
みたいな感じでした。
有為子
うんうん、そうでした。
嶺央
その時間だと、都内から帰って来る
酔っぱらったお父さんとかがお土産で買ってくれて。
「なんか変な自転車のケーキ屋が
夜中にいるんだけど、おいしいんだよこれが」って言って、
たぶん家族の方とかが広めてくださって。
そうしているうちになんか
「POMPONCAKESを見ると幸せになる」
みたいなジンクスまで出てきちゃって(笑)。
――
たしかにおいしいものを食べると幸せになりますから
それは当たってますね。
嶺央
SNSの力もあったし、
いろんなものが奇跡的にかけあわさったことと、
若干の根性とで(笑)、続いてきたっていう感じです。
――
そうやって自転車で売り始めたのが2011年で、
2015年にこのお店を構えることになります。
お店を開くことになった背景は?
嶺央
サクセスストーリーとして、
「自転車で始めて、お店を構える」
みたいな道筋はあると思うのですが、
僕はあまりそういうことに興味がなくて、
お店を出そうとは思っていなかったんですよ。
でも自転車で売り始めて、
だんだん長い行列ができるようになってしまって。
お客様と話しながら、時間がゆっくり流れていく、
というのが楽しかったんですけど、
売りに行くとダーッと売れて、それで一日終了、みたいな。

鎌倉の駅の近くでできることは、
やり尽くしたかな、という気持ちになりました。
そこで、自分が生まれ育ったこの町を
たまたまぶらぶら歩いていたら、
「FOR RENT」ってぶら下がってて。
有為子
(笑)
嶺央
そこで、若い人が町をつくっていくようなことを、
『シムシティ』(都市経営シミュレーションゲーム)
みたいに(笑)、やってみたいと思いました。
それにここなら、店舗を構えても、
一気に売り上げを出さなきゃいけない、
ということにならず、
今の雰囲気でなんとか
続けていけるんじゃないかなって。
空も広くて、景色がちょっとアメリカみたいで
いいところですからね。

ただ当時は、
この規模感でケーキ屋をやるってことが
全くわかってなかったので。
オープンから8年近く経ったいま、
設計でミスってるなみたいなところが
見えてきたんですけど(笑)。
一同
(笑)
嶺央
でもここで始めたらみんな来てくれるようになった。
そんな感じですかね。
――
ちょっと不思議な場所だなと思ったんです。
鎌倉駅からも藤沢駅からもバスで20分かかりますし、
普通の住宅街で、話題のスポットというわけでもないし。
嶺央
ここは鎌倉の中でも「観光」の要素が
あまりないところなんです。
でも僕は、
「生活」や「日常」の延長線上にある商いを
したいなと思っているので、
この場所ならそれができるかなと思いました。
(つづきます。次回はお菓子についてうかがいます)
2022-10-28-FRI
写真:川村恵理
取材・文:中川實穗

もうひとつ食べる?
「POMPON CAKESの
クッキーボックス」を
お届けいたします。

鎌倉にあるケーキ屋さん
「POMPON CAKES(ポンポンケークス)」
ご存知でしょうか。
2022年の生活のたのしみ展では
ケーキボックスで出展し、大好評でした。
おいしいお店めぐりを日課にしている
ほぼ日のおかし担当が
はじめてここのクッキーを食べたとき、
ひとつ食べるともうひとつ食べたくなって、
なんとぺろりと平らげてしまいました。
今回「ほぼ日」で特別に販売するクッキーも、
試食時のみんなの手が、
もうひとつ、もうひとつと伸びていました。

どうしてそんなお菓子が作れるのか、
店主の立道嶺央(たてみちれお)さんと
嶺央さんのお母様でもある有為子(ういこ)さんに
お話をうかがってきました。

POMPON CAKESの
クッキーボックス

3,400円(税込・配送手数料別)

2022年11月2日(水)午前11時 抽選販売開始
※POMPON CAKESのクッキーは、
ひとつひとつが手焼きのため、生産量が限られます。
このたびの販売は、
「11月11日~11月22日出荷分」、
「11月25日~12月6日出荷分」の2回に分けて
お届けいたします。
2022112日(水)午前11時 〜
119日(水)午前11

※お申し込みが商品数を上回る場合は抽選販売となります。
※おひとりさま1点までの購入とさせていただきます。
※常温便でのお届けです。

「POMPON CAKES」の
クッキーボックス
~7種類の焼き菓子の詰め合わせ~
ほぼ日オリジナルのクッキーとグラノーラ、
そしてお店で人気の定番クッキー5種類。
バラエティにとんだ内容のクッキーボックスです。
それぞれのおいしさを損なわないよう、
種類ごとに包装し、詰め合わせました。
  • レモンティー

    レモンティーほぼ日オリジナル
    自家製のレモンピールと
    紅茶をあわせたクッキー。
    心地よい紅茶の香りが口中に広がります。
  • ウインターグラノーラ

    ウインターグラノーラほぼ日オリジナル
    オートミールにナッツや
    ドライフルーツを合わせた
    自家製のグラノーラ。
    今回はクローブやシナモン、紅茶が入った、
    オリジナルの味に仕上げています。
  • はちみつ

    はちみつ
    くまさん型がキュートなクッキー。
    はちみつの風味がクセになるおいしさです。
  • メープル

    メープル
    やさしい味のクッキー。
    メイプルシロップの甘みだけで
    仕上げています。
  • ココア

    ココア
    サクサク食感が特徴的なクッキー。
    しっかりとココアを感じる味わいです。
  • アーモンド

    アーモンド
    お店の人気No.1クッキー。
    ジューシーな甘さとザクザク食感をおたのしみください。
  • きなこ

    きなこ
    香ばしいきなこ味のクッキー。
    軽めの食感なので止まらないおいしさです。

PONPOM CAKES BLVD.
(ポンポンケークス ブールバード)

住所
神奈川県鎌倉市梶原4-1-5 助川ビル
アクセス
鎌倉駅もしくは藤沢駅からバス「梶原口」下車徒歩すぐ
湘南深沢駅から徒歩10分
定休日
月曜日と最終日曜日、不定休(SNSにて告知)

https://www.instagram.com/pomponcakes/