Shin;Kuu special interview スタート地点に立つ、3人の女性に会いに。

スタート地点に立つ、3人の女性に会いに。

2 永井玲衣さん 哲学研究者 「大切なのは、答えではなく、問いを見つけること」

大学に所属してたくさんの論文を書くという、
従来の研究者のスタイルから離れ、
みんなで集まって、聞き、話す
「哲学対話」を10年以上開催してきた、
哲学研究者の永井玲衣さん。

対話の場は、日本全国の学校、寺社、自治体など。
話す相手も、都心のモーレツ会社員から、
地元のおばあちゃん、小学生まで、さまざまです。
昨年出版された随筆集『水中の哲学者たち』は、
これまで哲学という学問がとらえきれなかった、
日常の「取るに足りないこと」を題材にし、
現在、八版を重ねる話題作になっています。

哲学対話の魅力のひとつは、まっとうに怖がったり、
苦しんだりできることだと、永井さんは言います。
私は、じつは、こんな風に感じていたんだーー
そう気がついたとき、見える景色が変わります。
永井さんの案内で、対話をスタートしてみましょう。

写真:石田真澄

永井玲衣さんプロフィール >>

1991年、東京都生まれ。哲学研究と並行して、
学校、企業、寺社、美術館、自治体など、
日本全国で哲学対話を行っている。
坂本龍一、Gotch主催の『D2021』での活動や、
哲学エッセイの連載など、幅広く活躍中。
趣味は念入りな散歩。

──
昨年秋に出版された『水中の哲学者たち』で、
哲学研究者である永井さんの頭の中を、
初めて知った人も多いんじゃないかと思います。
素晴らしい本でした。
永井
ありがとうございます。
(帯を書いてくださっていた)穂村弘さんとは、
何度か対談もさせていただいたんですけど、
「なんでこの本が売れてるのかわからない」って。
晶文社の編集のかたも、
「こんなにわかりにくい本が、なぜ?」って。
いやいや、私が一番聞きたいです(笑)。
──
本を書こうと思ったきっかけは、
どういうところなんですか。
永井
哲学っていうことをやっているなかで、
「世界をよく見る」っていうことをやりたいと。
それが哲学なんじゃないかっていうふうに思って。
だから、モチベーションとしては、
詩人とか作家にも近いかもしれないです。
──
わかるような気がします。
文学作品を読むようにして、たのしく読みました。
永井
世界をよく見るっていうことを、
どういう仕方で試みられるだろうかと思ったときに、
超越的な目線で体系的にまとめあげるような
言葉を書き込んでいくのではなくって、
私がやってきた「哲学対話」っていう場所で、
取るに足らないとされてきたこととか、
哲学の言葉の中では捨てられてしまうようなものを、
拾いあげるような仕方で、書きたいと思ったんです。
──
なるほど。眼と記憶力がすごく良くて、
やさしい人柄をされているなあと、感じました。
永井
ありがとうございます。
そうすると、論文じゃなくって、
この、エッセイという形式でしか書けなくって。
だから、モチベーションとしては、
哲学をみんなにもっとわかりやすく伝えたい!
とかそういうことではなかったんです。
──
いろんなエピソードが
一冊の中に入っていますが、これは、
つねづね書き留められていたものなのでしょうか。
永井
ちょっと恥ずかしいんですけど、私、
消えてしまいそうなものを捕まえようと思った瞬間とか、
なにこれ? って思った瞬間を、
「哲学モーメント」って呼んでいるんです。
──
哲学モーメント。
永井
哲学的瞬間みたいな。
スマホのEvernoteに、「哲学モーメント」
っていうプルダウンがあって、
そこに、見た瞬間すぐ書き込んでいるんです。
その断片を元に思い出したりとか、
つなげたりして、エッセイを書くようになって。
──
書かないと忘れてしまいますよね。
いろんなことが、速く流れていってしまう。
永井
はい。哲学モーメントを書きためる作業のことを、
世界の適切な保存って、呼んでるんですよ。
文芸誌の『群像』で「世界の適切な保存」
という連載もしているんです。
保存しないと消えちゃうっていう恐れが、
すごくありますね。
──
ご自分の職業を、初めての人に紹介するときって、
なんておっしゃるんですか。
永井
めちゃくちゃ難しいですね。
──
難しいですよね。
永井
肩書問題というのは自分の中にずっとあって‥‥。
鈴木さんはなんておっしゃるんですか?
──
私は‥‥なんでしょう。
職業を説明するというより、
ほぼ日で化粧品を作ってますとか、
インタビューをしていますとか、
日々の仕事を説明するっていう感じですね。
永井
私、ひとりでしゃべるのってすごい苦手で、
こうしてみんなに聞いちゃうんですよ。
哲学研究者って、仮に、言ってますけど、
自分でもなにか言うたびに、
滑り落ちちゃうようなものがあって。
というのも、こういう動き方をしているひとって、
他にいないので。
──
そうですよね。
だから、お会いしてみたかったんです。
永井
自己紹介をするときは文章で言うようにしていますね。
「哲学対話をいろんな場で開いています」とか。
もしくは「文章を書いたりもしています」っていう
言い方をすることも多いですね。
──
なるほど。
永井
肩書は?って聞かれたときには、かろうじて、
「わからないですけど、研究者ですかね」って。
「哲学を研究してるので」っていう言い方をします。
大学に所属してバリバリ研究論文を書く、
みたいなこれまでのあり方とは、
違う仕事の仕方をしてしまっているので。
──
普段はどんな生活されてるんだろうって、
すごく興味があります。
たとえば夜型なのか朝型なのか、とか。
どういう生活ですか?
永井
朝起きて、3、4時間原稿を書きますね。
朝にしか、原稿書けないんです。
だいたい午後から、お呼ばれしていただいて、
「哲学対話」を開きに出張に行ったり、大学で授業したり。
──
ええ。
永井
最近思ってることがあって。
水中に深く潜って考えるようなひとたちを、
「哲学者」って私は呼んでるんですよね。
本の中でも、「深く潜ってともにに考えるとき、
ひとはみんな哲学者になる」
っていうようなことを書いてるんですけど。
この本はおそらく、「哲学は誰のものなんだろう」
という問いに応対しようとしているはずなんですね。
──
たしかに、一冊に流れているテーマですね。
「哲学者たち」と複数形ですし。
永井
いっぽうで、この本を書いてから、一年経って、
私の中でモヤモヤ浮き上がってるのは、
「哲学は誰のものでなく、されてきたのか」
っていうところにすごく惹かれてるんです。
──
なく、されてきたか。
永井
そうです。「誰の傍らに哲学は今いないのか」
っていうことがすごく気になるんです。
つまり、哲学の輪から外れているひと、
外れさせてしまっているひとっていうのは、
誰なんだろう、って思うんですよ。
たとえば、哲学対話は、10年以上開いてますけど、
車いすのかたが一度も来ていないということに
気がついて、がく然としたんです。
──
ああ、なるほど。
永井
「みんなのものだ」とか「対話だ」とか言ってるけど、
そのサークルっていうのは、特定のサークルなんですよね。
基本的に、呼ばれたらどこにでも行って、
哲学対話の会を開くということもしてたんですけど、
なんか、もう少しこちらから出向くとか‥‥。
──
持ちかけてみるとか。
永井
そう、持ちかけてみるとか、そういうことをしたいなって。
別に「哲学っていいですよ、みんなやってください!」
ということが言いたいわけじゃないんです。
「こういうのもあります。どうでしょうか」くらいで。
やっぱり哲学って、昔から、暇なひとが
やるものっていうイメージがあるじゃないですか。
──
散歩しながら、考えるイメージです。
永井
古代ギリシャは、本当にそうなんです。
スコーレって、つまり、スク―ルの語源ですけど、
暇っていう意味ですから。
古代の哲学者は、お付きの奴隷がいて、
身の回りのことは全部やってもらえるから、
暇があって哲学ができたんですよ。
と同時に、非常に男性中心主義でもあって。
哲学対話の初期なんて、男性しかいないかったです。
女性が来ない、若い人もいない、みたいな。
──
想像すると、少しつらいです。
永井
おじさんとずっと「自由とは何か」と話して、
つらい!みたいなこともありましたよ(笑)。
──
それでも、10年続けてこられて。
永井
昨年本を出したおかげもあって、
女性や若いかたが増えてきたり、
入りやすくなってきたって思いますね。
あと、子供たちも。
子供から、ずっと、哲学が奪われてきて、
大人だけのものにされてきたんですよね。
そういうことに立ち返っていくと、
たとえば生活困窮者の方のもとに出向いていくとか、
障がいを持った人々のもとに出向いていくとか、
そういうことをもっとやりたいんです。
──
なるほど。
永井
でもいきなり「哲学研究者です」なんて出ていっても、
ウザすぎると思うので(笑)
一緒にいたり、話したりして、
ちょっとずつ、いろんな人の話を聞こうと思っています。
「聞く」っていうのは、対話の始まりなんです。
自分自身がいろんな人の話をちゃんと聞かないと、
対話なんていっても寒々しい、って思っている最中です。
──
やっぱり、すごく難しい職業ですね。
哲学のやめられなさ、
ハマってしまう魅力というのは、
どういうところなんでしょうか。
永井
ああ、「やめられなさ」っていう表現は、
すごくしっくりきますね。
哲学‥‥をしたことは、多分、
私はいちどもないと思うんですよ。
「させられてる」っていうか、
「やめられない」っていうか。
だって、世界って、怖くないですか?
──
(笑)いや、ほんと、怖いです。
内臓が肉体に包まれて街を動きまわってるのも、
怖いって思うこと、ありますもん。
永井
そう、そうなんですよ!
(目の前のシンクーの化粧品を)
「これを顔に塗るってなに?」みたいな。
あのビルなに、この飲み物ってなに‥‥
謎に満ちていて、やめられないというか、
ずっとびっくりしてるんです、世界に(笑)。
──
幼いころからずっと、
びっくりしているような子だったんですか。
好奇心が旺盛というか。
永井
ほかの哲学者なんかを見ていると、
少年少女のようなワクワクを
持っているひとが多いですけど、
私は、ずっと怖がってきましたし、今もそうです。
震えているっていうか、引きこもってる。
──
そこに「哲学」というものとの出会いがあって、
やめられなくなってしまった?
永井
そうですね(笑)。そうかもしれない。
怖がったり、苦しんだりすることを、
「まっとうにやっていいんだよ」
と言ってくれるのが、哲学だと思っていて。
──
なるほど。
永井
もがいて、怖がっているままでいいんだ、というか。
それを人々と一緒に試みられるということに、
私は感動したんですよね。
──
ともに活動をしている、
同志の女性たちはいらっしゃるんですか。
永井
もちろん。哲学対話を開いてる女性たちは、
全国にたくさんいますね。
学校の先生だったり、ほかにお仕事をされていて、
休日に哲学対話とかを喫茶店で開くとか、
そういう方が、たくさん。
──
女性がそういうふうに自分たちで、
哲学対話の会を開くっていうのは‥‥。
永井
ここ5、6年でしょうね。
哲学対話がここまで広がったのは、本当に最近ですね。
大阪大学の方々が、2000年頃から
すごく大切に育てられてきた営みです。
──
そうなんですか。
永井
鷲田清一さんの臨床哲学研究室の方々が、
ていねいに土壌をつくってくださって。
2013、2014年くらいから、
ちょっとずつ、全国に広がってきました。
──
私たちが参加できるような対話は、
あるんでしょうか。行ってみたいです。
永井
ぜひ来てください。
ちなみに一昨日は「sakumag(サクマグ)」っていう、
NY在住の佐久間由美子さんの集まりがありました。
明日は「WE WANT OUR FUTURE」っていう、
投票呼びかけのイベントがあって、
そこでも哲学対話をやろうって話してます。
ほかにも、お仕事でお会いした方で、
やってみたいという方、たくさんいらっしゃって。
その方と一緒に場を開いたりもしています。
──
ありがとうございます。
あの、素人みたいな質問なんですけど、
永井
はい。
──
そういうのって、
収入ってどんなふうになってるんですか。
永井
企業に呼ばれて「研修」みたいな形もありますが、
あまりお金のことは考えていないんです。
私、哲学対話の値段ってよく分からないから(笑)
全部、言い値でやってるんですよ。
企業さんから「見積もりください」と言われても、
「いや、見積もりとかはないんですよ」って。
「あ、ないんですか」って(笑)。
「じゃあ、こ、この金額でどうですか?」みたいな。
──
へえ、なるほど。
永井
哲学対話って、インプロ(即興)なので、
準備は特に必要ないんです。
その場所に行って、その場の方と問いを出して、話して、
「じゃあ終わりましょう」みたいな感じなので。
そういう意味では、かけた時間に対して「損する」とか
「儲ける」といった感情が起きないのかもしれないですね。
──
即興ということは、誰かがちゃんと見てないと、
誰か一人が話して終わる会になってしまったりして。
ファシリテーターの役割は、意識されてるんですか。
永井
すごく意識してますね。
みんなが「まあ、ここにいてもいいかな」って思える場を、
作れたらいいなと思ってます。
──
いま、ひと月にどのくらい、
哲学対話を開かれてるんですか。
永井
えっと、まず今週だけで4回ぐらい。
全国いろいろ行くんですよ。
先週は福島県の浪江町に行って、
子供たちと対話をしました。
──
大人と子供では違いますか。空気というか。
永井
違いますね。子供はポンポン問いを出すんですけど、
大人は問いが全然出なくって。
──
そうか、問いを考え出すことも、
参加者に求められているんですもんね。
永井
自分が何を考えてるか考える時間を持つ、
っていうことが大事なので。
「子供との対話、楽しそうですよね」って
みんなおっしゃるんですけど、
子供って、本音を言わないんですよね。
──
そうなんですか!?
永井
めちゃくちゃ普通のことを言いますよ。
「なんで勉強するの?」って聞くと、
「将来いい会社に入るためです」って。
社会っていうものにすごく引きずられていて、
親や先生が言ってることをなぞるんです。
そこを壊していく作業になりますね、子供たちとの対話は。
──
壊すとどんなものが出てくるんですか、
子供の中から。
永井
「じゃあ、なんでそう思う?」って言うと、
「あれ、なんでだろう?」みたいになってきて、
だんだん、荒っぽく生々しい言葉が出てきます。
──
おもしろいですね。
永井
大人のほうが、意外と本音を言いますよ。
──
本音かどうかって、わかるんですか。
永井
整った「良いこと」じゃない言葉が出てくるんですよ。
すごくスラスラとしゃべる言葉の方が、すごい怪しくって。
やっぱり、水中に潜っていくと、話しながら、
「あれ? わかんなくなってきちゃった」とか。
──
いいですね、そういうのって。
永井
そうなんですよ。
言いよどむとか、黙るとかって、いいんです。
「ごめんなさい、やっぱり違うかもしれない」
みたいになったりする瞬間が好きですね。
哲学対話って、その、
「何を言いたいか、わかんなくなっちゃいました」って
言えたことが喜ばしい場にしたいんですよ、私は。
──
なるほど、なるほど。
永井
だって、哲学的な問い、たとえば、
「なぜ生きるのか」っていう問いのときに、
ポンポン、ポンポン、言葉が出てくるんなんて、
おかしいですから。
──
うん、うん。
永井
対話が深まってくるときって、
「このこと、初めて思い出したんですけど」
っていう言葉が出てくることが多いんです。
経験とか記憶が掘り起こされて、
それが、こう、たどたどしく語られて。
こういうとき、哲学対話のやめられなさを感じますね。
──
たくさんの対話の場を作っていらして、
いつもいつも、こういうふうな満足だったり、
嬉しい瞬間というのがあるわけではない、
という気もするんですけど。
永井
基本、しんどいです。イライラすることもあります。
でも、言いがたい嬉しい瞬間は、絶対にありますね。
「対話が成功するとはどういうことか」っていう問いは、
すごく難しい問いなんですよね。
その場では盛り上がってなさそうに見えても、
一週間後またその学校のそのクラスに行くと、
「あれからずっと考えてたんですけど」とか、
言われることがあったりするんです。
子供たちの中に、哲学の種はたしかに埋まってて、
育ってて、伝えてくれますから。
何が成功なのか、本当に、わからないですね。
──
今後、やってみたいことはありますか。
永井
なんだろう‥‥たくさんありますよ。
もっとたくさんの人の声を聞きたいなとは思ってます。
見て、聞かないと、ちゃんと問えないから。
──
たくさん問いたい、ということでしょうか。
永井
そうですね。いい問いを持ちたい。
いい問いがあったら、生きられるじゃないですか。
──
逆に、悪い問いもある?
永井
いい質問だなー(笑)。
これはちょっと、メモしておかないと(笑)。
私、最初は、世界がわけが分からなさすぎて、
「なんで生まれてきたんだ」とか、
「どうせ死ぬのになぜ生きるんだ」とか、
そういう問いを、解決したかったんです。
その問いを粉砕したいくらいに思っていた。
でも、いろんなひとと哲学対話をしているうちに、
「問いは偉大だから、そんなに簡単に壊れないぞ」と。
むしろ、その問いに見合うような私として、
自分を育てないといけないと思って。
──
ああ、おもしろいです。
永井
たとえば「なぜ生きるのか」っていう問いって、
すごい問いなんですよ、問い自体が。
焦って、ちょっとした本とか読んで、
パラパラーッとページをめくって、
「なんかこんなことらしいぞ」みたいなふうにして、
「あ、もうこの問い、OK」みたいなふうに
したくなっちゃうんですけど、
そういうときって、その問いに、
自分自身が見合ってないんですよ。
だから、問いに見合うように、もがきたいって。
「その問いとともに、ちゃんと生きる」
みたいなことをやってみたいですね。
なんてね、わかんないけれど(笑)。
──
問いを探すのって、宝探しみたい。
永井
あるひとが、哲学対話にいらして、ポツリと、
「自分は答えが欲しいんじゃなくて、
ただ考えたかったんだ」っておっしゃったんです。
もちろん答えが欲しいときも、
答えが必要なときもあるんですけど。
もがいていいんだよ、っていう場であることが、
私の「哲学対話」の意味だと思ってます。
──
永井さんのおっしゃってること、
すごくおもしろくて、
多分この後、電車に乗ってるときとかに、
ひとりで「うーむ」って考えてると思います(笑)。
考えたくなるというか。
永井
そうですか。それはうれしいです。
──
今日はありがとうございました。
永井玲衣さんとstarting!

まさに、
はじまりのスキンケアでした。

まず、シンクーのコンセプトが、
すごく好きだなと思いました。
新しいものを、どんどん作るのではなく、
いいものを、ゆっくり大事に作る姿勢は、
私が哲学対話でも心がけている、
「世界にもっと隙間や余白をつくる」
ということとも通じているように感じます。

文具やおもちゃみたいなパッケージも、
「わあ、超いい!」と思いました。
なんていうか、美意識のすごく高い、
一部の女性だけのものでなくて、
みんなのものであろうとしている感じがして。

私、化粧品はあんまり詳しくなくて、
化粧水も去年初めて買ったくらいで(笑)。
売り場にずらっと並んだ化粧品を見ると、
化粧品のほうが偉いように感じて、
萎縮してしまっていたんですね。
でも、starting!は、手に取りやすいし、
まさに「スタート」の一本になりました。

ある建築家の方とお話したときに、
面白いことをおっしゃっていました。
今、エコという視点で家を選択するひとが
増えているそうなんですね。
「電気代が安くなる」とか「お得になる」とか、
そういう動機だと思われがちだけど、
じつはそうじゃないんだよって。
「あったかくて気持ちいいなぁ」とか、
「安心するなぁ」という理由で、
人は動くんですよね、って言われて、
すごくよくわかるなあと思ったんです。
化粧品も、まさにそうで、
「ああ、気持ちいいなぁ」とか、
「いい香りだなぁ」と感じてはじめて、
安心してそばに置きたくなるんだと思うんです。

どんなふうにセルフケアするかも、
もちろん大切だと思うんですが、
化粧品自体がていねいに作られていて、
自分のためにそういった商品を選べること自体が、
すごく贅沢なことだと思いますね。
starting!は、セルフケア一年生の私に、
ぴったりな一本です。

(続きます)
2022-08-12-FRI