STAMPSの紙上旅行 フィンランドの光 STAMPSの紙上旅行 フィンランドの光
フィンランドの光をテーマにした
「STAMPSの紙上旅行」のアイテム。
STAMPS代表の吉川修一さんに、
STAMP AND DIARYの洋服と、
抽選販売となるコレクションのヴィンテージアイテムの
解説をお願いしました。
[ヴィンテージ]
カイ・フランク
タンブラー6個セット箱付き
(トーベ パッカウス / TOIVE PAKKAUS)
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▲[ヴィンテージ] カイ・フランク タンブラー6個セット箱付き
(トーベ パッカウス/TOIVE PAKKAUS)

88,000円(税込)
まずこのギフトボックスに付けられた名前が
すごくいいんです。
「TOIVE PAKKAUS」(トーベ パッカウス)、
願いを込める箱。
そのなかに、カイ・フランク(1911-1989)がデザインした
色違いの6つのタンブラーが入っています。
フィンランドで最も古いガラス工場だった
ヌータヤルヴィで
1953年から1967年の間に作られたものです。



僕が買ったのは、ヘルシンキです。
見つけたときから、
このギフトボックスに入った状態でした。
ほんとに、こう‥‥、
「なんだ、これ?」みたいな感じで、開けてみたら、
このカラフルなタンブラーが出てきたんですよ。



吹きガラスで、薄さもすごいんですけど、
やっぱり色にびっくりしました。
いろいろ聞いていくと、
いまではもう製造ができない色もあって、
バラで売られているものでも、
色の濃いものは、そうとう人気が高いのだと知りました。
それがセットになっていたわけですが、
これ自体の値段に、送料や旅費を含めると、
当時はすっごく高く感じて。
「清水の舞台から飛び降りてやる!」
っていう気持ちで買ったものです。



マウスブローで一個一個つくっているので、
個体差があります。
作り手のぬくもりがあるような感じ。
そういうところが、より価値を高めてると思います。
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箱をデザインしたのは、サラ・ホペア(1925–1984)。
カイ・フランクと一緒に働いてた
女性のデザイナーですね。



このパッケージのおかげで、
スタッキングをアピールすることとか、
個々のデザインをちゃんと表現していますよね。
ガラスのこの色と、このバランスで、
ほんとにミニマムなのに、
ここまで広がりを出せる表現力というか、
デザイン力に感心しました。
みんな同じ形なのに、なんか違って見える。
そこもフィンランドらしいなって。



カイ・フランクのものは、以前から
イッタラのカルティオは使ってましたけれど、
この、ヌータヤルヴィ時代のものを見て、
よりその歴史と深さがわかったんです。
ちなみにこのタンブラーは、
カルティオの原型とも言われています。



戦後にフィンランドが復興していくなかで、
庶民が使えるもの、量産できるものを
求めていったらしいんですね。
デザインを削ぎ落としてスタッキングできたり、
小さなキッチンでも使いやすいデザインを目指した。
量産して、それをひとつの産業にするっていう、
その世界をもう目指してたんです。
それまではデザインもデコラティブだったのが
こういう、シンプルなものになっていったんですね。
[ヴィンテージ]
SVシリーズ デカンタ / グラス
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▲[ヴィンテージ] SVシリーズ デカンタ/グラス

55,000円(税込)
フィンランドで1950年代に活躍した女性ガラス工芸家
ナニー・スティル(1926-2009)のこのセットは、
完全に色に魅かれて買いました。



たしか6年前くらいですかね。
フィンランドで年1回、HABITAREっていう
インテリア関連の展示会があるんです。
そこには現行のマリメッコとか、
ラプアンカンクリとかが出るんですけれど、
フィンランドのローカルの展示会なので、
全国から有名なヴィンテージ屋さんが
集結していて。
その中の1社、地方のお店から買いました。



この光と色の奥行きですよね。
どうしたらこういう表現ができるのか、って、
思わず手が出てしまった。
持ち帰ってからは、よく窓際に置いてて、
これにすごく癒されてました。



グラスはたぶんショットグラスですね。
強いお酒を飲むんだと思います。
北のほうは強いお酒が多い。
映画の『かもめ食堂』でも
そういうシーンがありましたね。
[ヴィンテージ]
Faunaグラス(S)(M)
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▲[ヴィンテージ] Fauna グラス(S)(M)

5,500円~6,600円(税込)
この琥珀色のグラスは、Faunaという名前で、
「動物誌」という意味だそうです。
動物や植物、人などが描かれています。
これは、フィンランド人デザイナー、
オイヴァ・トイッカ(1931-2019)の
1970年のデザインですね。
オイヴァ・トイッカは、デザインのモチーフに
フィンランドの自然をよく取り入れてます。



これは実際は5色つくられているんですけれど、
グリーンとか、この茶色のような色の濃いものは、
製造コストが高くなっているので、
作られていたのも短い年代なんですね。
7年間だけだそうです。



このエンボスの模様のモチーフも、
SとMとでは違うんですよ。
違うものが描かれているんです。



フィンランドのガラスは、
眺めているだけでも、ほんとに飽きない。
癒されるんですよね。
窓辺に置いて、光が差すと変化する。
そのようすを見ていると、時を忘れます。
2023-04-15-SAT